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稲作を守る田の神様に感謝。奥能登に伝わる神事「あえのこと」

今年も残すところ約3週間。朝方に奥能登を車で移動していると、道路や家々の屋根に雪が残っている日がありました。今冬、北陸では例年よりも雪が多く降ると予想されています。雪かきなどは大変ですが、雪の日のスナップはとても楽しいので、来たる積雪を待ちたいと思います。

さて、今回は奥能登地域に伝わる「あえのこと」という神事の撮影に行ってきました。昨年同様に今年も数えるほどしか祭りの撮影は行えませんでしたが、あえのことは一年の締めくくりとしても有難い撮影機会です。開催されることを楽しみにしていました。

「あえのこと」は田の神様に感謝する農耕儀礼で、毎年12月5日と2月9日に行われます。12月には田んぼから田の神様を家に迎え入れ、その年の収穫を感謝し、2月には田の神様を家から田んぼに送り出し、豊作を祈願します。ユネスコ無形文化遺産にも認定されていることから、あえのことの注目度は上がり、石川県内外から見物客が訪れます。

今回は、石川県能登町の合鹿庵(ごうろくあん)と国重(くにしげ)のあえのことへ行ってきました。写真中心になりますが、紹介したいと思います。

- 合鹿庵

合鹿庵は、石川県能登町の柳田植物公園内にあります。茅葺き屋根が特徴の古民家で、雰囲気がとても素敵な場所です。合鹿庵で開催されるあえのことは、観光客にも向けたオープンな形で、解説や質疑応答も交えた実演形式の神事です。

合鹿庵に入ると、田の神様をおもてなしするための食事が用意されています。田の神様は「夫婦」とされており、食事は二神分並びます。ちなみに合鹿庵では、直会(なおらい)も開催されているため、興味がある方はぜひ予約して、田の神様が食べる料理を体験してみてください。

室内ということで明暗差が激しく、写真を撮るときはピントが合わなかったり、ブレてしまったりすることが多いのですが笑、神事ならではの独特な雰囲気が本当に素敵で、日本の昔ながらの伝統文化を撮影できるのは貴重な機会です。あえのことを撮ってみたいという方は、まずは合鹿庵のあえのことへ行かれることをオススメします。

- 国重

午前中に合鹿庵のあえのことを撮影した後、午後3時から同じく能登町にある国重地区の民家へ。写真家の友人に教えていただき、数年前からお邪魔させていただいています。家によって並べられる食事の種類が多少異なったりするのも見どころなので、ぜひ注目してみてください。

国重地区のあえのことは古民家で行われ、昔ながらの雰囲気の良さを感じることができます。観光客に向けてオープンな形で行われた合鹿庵に比べると、国重地区では地域の方々が協力して行っているイメージです。関係者以外では、ほとんどが地元のメディアや写真仲間なので写真自体は撮りやすいかもしれません。

春以来の神事の撮影でしたが、1年以上お会いしていなかった写真仲間と久しぶりにお話しすることができて良かったです。今年の祭りの撮影は今回のあえのことが最後となる予定でしたが、今後は世の中の状況がもっと良くなることを願って、来年の祭りを楽しみにしていたいと思います。

それでは。

吉岡 栄一 Eiichi Yoshioka
Instagram:@tsukinoto
Twitter:@EiichiYoshioka


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