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【四銃士対談】病院・施設のクラスター対策

2021年2月15日まで累計でコロナのクラスターは5,104件発生。そのうち高齢者福祉施設、医療機関が37%を占めている。

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介護施設や病院でクラスターが発生すると、利用者や患者の命にかかわる。第四波に向けて、全国の先進事例をふまえ、クラスター対策を考える。3人の識者を招いて対談を行った。

<対談者>
Osa 長 英一郎(公認会計士、患者視点の医療経営アドバイザー)
Dr.S(医師、地方で働く救急医、専門は災害医療)
Matsumura 松村 眞吾(医療法人理事、横浜市立大学大学院特任教授)

Dr.K ドクターK眼科医(病院勤務眼科医、「オンライン眼科」編集長)
<対談日>
2021年2月27日(第2回緊急事態宣言下)

第4波にどう備える?


(長)今日はクラスター対策ということでお話をしていきたいと思います。

(Dr.S)クラスター対策は興味ある方が多いと思います。長先生はいろいろな地域の病院、介護施設を見てきている。僕は一つの拠点となっている救命センターでコロナと向き合って感じてきたことをそのまま語るので、何かしら面白いことが見つかれば面白いですよね。

(長)近隣介護施設の情報って入ってきますよね?

(Dr.S)もちろん。私たち(地域中核病院)はそもそもゲートキーパーとして拠点を炎上させないための門番みたいなところなので、例えばどこどこ施設の何々というところで陽性者が出たという話になると、次からそこから電話がかかってくるともう陽性者として扱わなければいけなくなってきたりとか。かなり情報収集がすごく大事になってくるという感じですね。

(長)けっこうカバーしている地域の範囲って広いんですよね?

(Dr.S)広いですね。結局地方の救急というのはそんなに救命センターが多くないので、やはり自治体病院が疲弊してきている今の地方の医療だと、救命センターが果たす役割というのは、コロナに関しても同様なんです。

(長)今日このテーマを設けた趣旨なのですが、第4波が来るんじゃないかなと個人的には思っていて。緊急事態宣言の解除が関西の方で先行して、東京とか首都圏もいずれ行われると思うのですが。歓送迎会とかが3月末から4月頭にあって、ゴールデンウィークと来ると。そうすると、おそらく5月くらいからまた第4波というのが来てもおかしくないなと思っていて。なので、今日のこのテーマというのはすごく大事かなと思っているんです。

(Dr.S)やはり私の職場でも、結局また流行するんじゃないかと。守る側の医療者は(先行して)ワクチンを打つけれども、そもそも運ばれてくる側のクラスターになり得る人々(患者)は遅れている。

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高齢者のワクチン、もしくは一般人のワクチン。(コロナ感染者)発生が抑制されるような手立てというのは打てない中で、オリンピックの聖火ランナーの話が進んでいたり、Go To再開も視野に入れて緊急事態宣言を解除してて。

ちょっとびっくりしたのは、ヤフーニュースで、1年越しの入学式をやりますというのが出ていたんです、大学で。


なんか錯覚していると思うんですよね。これで大丈夫なんだな、コロナって。我慢していたしわ寄せが来るのがちょっとワンテンポ早いというか。だから、次の第4波を長先生が来るんじゃないかと言うことに関して、私も個人的には来るんじゃなかろうかという予測です。

(長)ワクチン間に合わないでしょうね。

(Dr.S)無理だと思いますね。今医療者の配分自体がもうすでに現場で、各病院ごとに割り当てたものが急遽変更になって、複数の病院で協議しながら分配してくださいとかいう話が出ているので。非常にこれ、シビアな問題が出てくると思います。

クラスターが出る出ないの境目は?

(長)クラスター対策ということで、介護施設、病院ではどの辺りが分け目を分けたのかなというところで、Dr.Sのご意見をお伺いしたいと思うのですが。

(Dr.S)やはり感染対策というもの自体のリテラシーじゃないですけど、そういった基本的な知識というものが、誰かリーダーとしてそれがコントロールできる人間が、内部でも外部からでもいたかいなかったかというのは非常に大きいんのではないかと思います。だから、手袋をつけていたら大丈夫というわけでもないし、アルコールで手を拭いていたら大丈夫というわけでもない。マスクはウレタンをつけていた場合と、サージカルをつけていた場合と、2枚重ねていた場合とで差がある。そういうのの積み重ねで差が出ているんじゃないかなと。

老健でクラスターが発生する原因は?

(長)病院併設型の介護施設と、単独型の特に病院が併設していない介護施設で比較をしたときに、やはり病院併設していない、単独型の老健でクラスターが出ているなという印象がありますが?

(Dr.S)あると思います。これは個人的な意見ですが、日本の老健、それから特養の嘱託医、それからグループホームであるとかサービス付き高齢者住宅に訪問診療しているドクター。これが高齢化しているという背景はあると思うんです。

結局、福祉施設の医療自体を担ってきた先生方が、兼業で自分のクリニックの片手間でやったり、あとは大病院で働いた後リタイアして老健とか特養とかっていうケースが多いと思うので。

機動力を持って動いて、現場の職員を教育して、行政との間に入ったりとか、保健所と協議してというのは、なかなか難しかったんじゃないかなというのは思いますね。

(長)確かに老健とかの施設長とかを見てみると高齢の方が多いですもんね。

(Dr.S)コロナとの戦い方というのは、ウイルスと戦うというよりも、いかに一人一人の職員を大切に配慮しながら、その方の理解度に合わせた予防策を教え込めるかだと思うんです。

うちの救命センターのフロアでも、毎日毎日みんなが声に出してプラカードを持って、手指衛生をしましょう、肺炎患者を診るときはN95マスクをしましょうとか、パソコンを打つときは手袋を1回外して、アルコールで手指衛生をしてからやりましょうとかいうことを、我々がずっと毎日言い続けて。お互い注意し合っているんです。

ということは、介護施設で、じゃあ誰か偉い人が来て、感染対策これ気を付けてマニュアルを読んでおいてくださいねと言って、ちゃんとできるかというと、そうでもないと思うのです。

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