金融屋

元 ナニワの金融屋がMBAを目指したワケ その壱(1)

元ナニワの金融屋がMBA(経営学修士)を目指すって、これ笑えませんか?
他に例えるならば「どぶネズミ」が「クジャク」 の羽をもって飛びたいと願うようなものかも知れません(笑)
でも、「別にいいやん」と一笑です。
その道を通ってきたからこそ見える風景とか、青臭い「志」を見つけた、というお話です。

※ 注記
金融の件については、1990年後半から2000年はじめの話です。当時、いわゆるグレーゾーンと言われていた金利の範囲内の話です。
年率数百パーセントなどの破滅的な金利で違法行為を行っていた輩が存在していましたが、そのようなものとは明らかに異なりますので、この点だけは理解して頂ければ幸いです。
限度をわきまえない、反社会勢力やそれに準ずる者が引き起こした不幸な事件もありました。被害にあわれた方たちにはその後の再起を願うばかりです。
現在ではその後の法律改正で、利息制限法を超える金利は明らかに違法であることは理解しています。


「街金は怖そう」の表現は、10分の1の事実

金融業に携わっていた20代半ばから40代前半の15年間、金融屋と言うと、「怪しいコワモテの裏の業界」とか、「暴利で荒稼ぎしている人たち」などの表現をよく耳にしました。ドラマや漫画などで、ほぼすべての場面において悪者で加害者側の設定なので、イメージは当然そうなりますよね。十分に理解出来ます。
でもそれは、金融屋側の実情を知る者として言わせてもらうならば、偏りすぎたイメージであり、実情の一部しか表現出来ていません。

「怖い」と表現されること、これについて否定はしません。そのような一面は確かにあります。
僕は商売人を対象とするスタイルでしたので、急場の資金繰りや、顧客の人柄を評価した信用貸付など、銀行では決して取り扱わない案件を積極的に行うことで、顧客からは「助かった」、「ありがとう」などの声も数多く頂いていたのですが、このようなことはあまり面白くないため、ほとんど知られていません。
まぁ、知る必要もないですが。
しかし、計画性や実行力、経営者としての資質に欠ける方に間違いなく訪れるのが、返済の滞りであり、その後は残念な結末を迎えるのが常でした。その過程で我々側から見ると「債務者」に対する世間の目は、弱者や被害者として捉えられ、弱りきっている企業と人に対して回収を行う業務を悪とする構図が瞬間的に構築され、イメージが先行し蔓延しているのだと思います。


金利の高さも確かな原因でしょう。しかし、僕が疑問に感じていたことに、世間一般の商売の「上乗せ」の率と、商品がお金そのものであるため決して置いて逃げるようなものではなく、顧客の属性から鑑みて焦げ付くリスクは決して小さくないことなど、総合的な相対で考えてもらうことが出来れば、金利の高さについて今よりもう少しは理解してもらえるのではないでしょうか。

金融屋で借り入れたお金が、どこかの支払いに回され、円滑な取引がなされていたということは、運転資金として貸し出していたことから十分に考えられることです。
そのお金がなかった場合の焦げ付き先はどこに行くのか。
仮に、あなたが商売人への運転資金の「貸し手」の場合なら、考え方に変化はありますか?

業務を行う中では、顧客が商売を意地で継続するためのドタバタ劇や、儲かる話のはずが、アテが外れた時に支払猶予を承諾させるための駆け引きで使う下手くそな嘘、その他にも伝えきれないほどの商売模様が繰り広げられ、「カオス」と化していました。
外から眺めているだけでは決して見えない、経営の実情や業界の裏話、権威と称されている人の嘘など、単なる「怖い」だけではなく、話題に事欠かない世界でした。

その弐(2)に続く

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