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Ninja of Four

 10代の終わりにノリと勢いで始めた”バンド”を、同じメンツで44歳まで続けているなんて思ってもいなかった。一年先はおろか半年後の予定を立てることで精一杯の計画性を持ってしての二十数年、夢中なうちに時は過ぎた。
 そして今も、キャリアを重ねるうちに知り合えた人たちの大きなサポートを受けながら、昔からの友達と音楽を演奏している。ものすごく奇跡的なことだと思う。


 先日、「今のアメリカの10代は、ギターの音が聞こえてきた瞬間スキップ・ボタンを押す。ギター・サウンドはそれくらい前時代の象徴になっている」という記事を某音楽誌で目にした。 
 これは極端な言い方にしても、例えばアップル・ミュージックでNYやロンドンのTOP25チャートを見てみると、ギターどころかいわゆるバンド・サウンドのものは皆無である。
 試しに2002年のビルボード・チャートを見てみたら、首位のNickelbackをはじめ、バンド・フォーマットのアーティストの名前がいくつもランク・インしていた。
 それから20年。
 クラウド上にある数千の音色から好きなものをピックして、PC一台で自由自在に音楽制作を完結できる時代。同時に、ストリーミングによって新旧のあらゆる音楽が並列的に聴かれている時代でもある。

 
 そんな時代の雰囲気を横目に、我々 the band apart は相変わらずの形態で音楽を作っている。
 もはやこれはある種のローカル・ルールみたいなものだ。別に「4人でやる」ことができるなら楽器は何だって良いのだけど、メンバーそれぞれが20年間親しんできた楽器がギター・ベース・ドラムなのだから、特に誰かが鍵盤を弾きたいとか同期を導入したいと言い出さない限り、このフォーマットは変わらないだろう。
 相対的にそうした縛りや不自由さがあった方が面白い場合も大いにあるし、新しいアプローチの可能性もまだまだある、と個人的には思っている。
 願わくば地元にずっとある、定食が週ごとに替わる洋食屋のような存在になれたら良い。

 アルバムのタイトルは Gang of Four からサンプリングして付けた。喫煙所での雑談から生まれたものだ。「Gang of Four」と言う熟語には「4人組」と言う意味があり、その最初の単語を「Ninja」に差し替えることによって、本来の意味に和のフレーバーと出自アピールを加えたつもりの造語が『Ninja of Four』。
 我々がそれぞれ演奏する楽器や音楽も、もとを辿れば海外にルーツがあるものだし、現代に至るまで音楽的・文化的にも欧米からの影響は常に切り離せないものだが、それを2022年の日本・東京・板橋練馬ローカルに暮らす者としてのフィルターと、昔ながらのバンド・フォーマットで攪拌・再構築した結果、今回も新しいメニューを10ほど並べることができた。

  
 皆さん、いつも本当にありがとう。
 最近は鴨南蛮にハマっています。

 

 
 
 

 
 


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