アラヒフノウタ　〜団塊Jr.〜　＃３７

３７　　　直接対決

教室でそうじの時間に
トオルと二人で
ホウキをバット代わりに
素振りをしていたら
オモヒコが話しかけてきた

自分には用がないと思ったらしく
トオルがスーッといなくなる

聞いたよ　ゴルフやるんだって

え、あ、いや、空き地で兄ちゃんとたまに

すごいよ、小学生でゴルフとはね
先生なんか1回もボールを打ったことがないから

え、あ、そうなんですか

ほぼ、初めての会話
それに友達以外例えば
大人とかと話をするのは
ずっと苦手だった

さらにまだ質問は続く
さり気なくオイラは
手で持つほうきで
塵を履く動きをしながら
チラッとトオルを探した

誰か好きな選手とかいるの？

オイラはオモヒコの知らなそうな
海外選手を咄嗟に言った

なんかそうすれば会話が
すぐに終わると思ったから
するとオモヒコはきょとんとしていた
いい大人がね

あ、シャ・ビンナン（謝敏男）です
台湾の……日本でも出ている..... 

え？
シャ・ビンナン……？
シャ……、ビンナン……？
シャ……、ビンナン……？

ちょっと間を置いてオモヒコが言った

そんなこともうシャ、ベンナ

なんか会心の表情というか
そんな表情をしていたので
小学生として適当に
なんかズッコけるような
反応をしといた

あ、ワカル？今の分かった？って

本当にオモヒコとの会話を
終わらせたかったから
めんどくさかったから

団塊ジュニアの昭和キッズとして
適当に対応した思い出

我ながら渋い選択
おそらく誰も知らないだろう

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