アラヒフノウタ　〜団塊Jr.〜　＃５３

５３　　　オモヒコの授業

小張小学校があるこの高台を台地
そしてこの台地を下りたところを
低地と言います

この田んぼ一帯
向こうに伊奈中学校が見えるでしょ
そっちが低地です

みんないいですか

ノブが大きな声で言った

じゃあ先生、下のグランドは低地なの？

そう、もうこの高台の下は低地です
坂を下りた所ずっと向こうまで小貝川まで
ずっと平のところは低地。

そこの用水路は、先生？

ゴロウが続く。
この学校は校舎から出て
高台から降りる階段があって
その階段を降りると
グランドがあった

実はですね
下のグランドの向こうを流れているあの用水路
あれを「だいどおりようすいろ（台通用水路）」と言います
あの用水路はずっと隣の谷和原村の方の
小貝川にある福岡堰というところから
この台地の麓というか台地の下に沿って
伊奈を通って流れて牛久沼の方で
小貝川へと再び流れていきます。

台地も大体その辺りまで続いていきます
言ってしまうと台地と
地の境界線と言ってもいいのかな

下のグランドのすぐ側を用水路が流れる
フェンスがあるがあまり意味をなさない
野球をやるとすぐに軟式のボールが飛び込む
オイラたちにとって少々嫌な川だった

気がつくと教室内が
少しザワザワっとした空気に変わる
下のグランドがどうかというよりも
段々、話が変わっていた

誰々の家は台地だ
誰々ちゃんの家は低地だ
台地
低地
台地台地
低地低地と広がる

するとトオルが言った
先生、なんで伊奈のこと
そんなに知ってんの と

オモヒコはもっと北の
茨城県水戸出身だった

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