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#5 バラナシ。切ない英会話力とガート見学、焼き場のこと

ある地図では、バラナシを「ワーラーナシー」と記しています。サンスクリット語の表記だとのことです。いい語音ですね。ちなみにバラナシは、ヒンディー語(連邦公用語)読みだとか。こんにちは、ツーさんことカスガイツトムです。会社員を長く務めています。ゆで卵が大好物です。今回のお話、少し長いかもしれません。

バラナシ2日目、朝6時にホテル玄関に集合して、日本人青年二人組と四人でボートでのガート見学に向かいました。昨日、チェックインの際に軽く挨拶したのですが、ニューデリーで悪徳ツアーリストに騙された体験談が秀逸すぎて、わたくしは大いに好感を持った二人です。たしかに、、、ボート乗船の前には、通りがかりのインド人に言われるがまま変なポーズで撮影させられていたりして、その素直さ、微笑ましかったですね。この先は寝台列車でアグラーに向かうとか。悪意はないけど、トゥクトゥク運転手には、ほんと気をつけてね。

通りがかりのインド人に変なポーズをさせられている日本人青年たち

大人になって知ったのは、旅先のオプションツアーはバカにできないということです。ペルーのクスコに行ったときには、40分ほどの街中散歩ツアー(英語)に参加し、スペインに支配された街の歴史とその成り立ちがおぼろげながら頭に入りました。そして帰国後、いろいろ関連本を読んで理解が深まった思い出があります。

荼毘の現場。

ボート観覧でのガート見学では、ガンガーの川辺南北約3kmにわたり全部で84あるガート(川辺に造られた階段状の沐浴場、宗派別なんだそうです)のほぼ全貌を、川面からじっくり観察できました。沐浴する巡礼者や、サドゥ(修行者)、ガートそれぞれで違う建築意匠などが目を惹きます。

二つある焼き場の対岸には、多くの観覧ボートが集まり、観光客の目の前で黄色い布で覆われた遺体が粛々と荼毘に付されていきます。遺灰は、僧侶の手によってガンガーに投じられます。あれは遺灰ではなかっと思います、棒状のものがドボ〜ンと投げ入れられた時の音が印象的でした。

ボートからガートを望む
「クミコハウス」

35年前は、ボートに乗るおカネなどありませんでした。入り組んだ路地を歩いてなんとかガートに辿り着くのが精一杯。焼き場を見つけることもできないまま旅を終えた(カトマンズに向かった)記憶しかないですね。

聖と俗というけれど

そういうツーさんですので、今回は、ボートから上がった後に、複数のガートを縦横断してみました。ボート上で見て、その全貌はほぼ頭に入っていますからね。途中、路地で黄色の布に覆われた遺体を運ぶ葬列とすれ違ったり、荼毘に付す前には、川の水に浸して遺体を清めている儀式などを間近に観ることができました。その感想。う〜ん、「聖(遺体)」と「俗(わたくしたち親子)」という感じでしょうか。そんなことを考えていたところ、娘は「思ったより変な匂いしなかったね」とポツリ。変じゃない匂いってあるかな、とか思いつつも「そうだね」と答えたのでした。帰国したら、ガンガー巡礼を学術的に解説した本でも読んでみようかなと思います。

What Do You Want?

夕刻、ツーさんの英語力が打ちのめされるトラブルが起きました。疲れて昼寝していたわたくしを部屋に置いて、娘はホテル前のチャイ屋に行ってしまったのです、部屋の外鍵をしっかり締めたまま! 
扉が開きません。南京錠式の外鍵なので、部屋の内側からは如何ともし難い。しかも娘の携帯はsimの不調で繋がらない。誰に開けて貰えばいいのか。そう、フロントに電話するしかないのです。
「ジスイズ、ルームナンバー31、マイネーム、イズ、@#&。プリーズヘルプミー、オープン、ザ、ドアー。サプライズ、アウトサイドキー、クローズド。マイドーター、ゴーアウト。プリーズ、ヘルプミー、ナウ!」
意を決したわたくしは、持ちうる英語の語彙をフル稼働させて、フロントに電話しました。
しばし沈黙の後、返ってきた言葉が、また衝撃的でした。
「What Do You Want?」

部屋から外出時は、この南京錠を使う



それでもなんとか、わたくしの思いは伝わったようで、オープンザドアーは果たされたのです。

ホテルフロントによると、明日は選挙ということで街の店の多くが閉まるのだとか。わたくしたち親子は明日、ニューデリーに戻ります。

それにしても、「お前は何を求めているのだ?」と、フロントに言われたとき、一瞬、「お前の人生で、」とも聞き取れてしまった自分に、少々うろたえました。バラナシ、この街は、人間を思考させてしまう何かがあるのですね。聖地として当然といえば当然のことですが。

#5 了

データ:
・Blue Lassi Shop
CK 12/1 Kunj Gali, Kachaudi Gali, Near Rajbandhu, Govindpura, Varanasi, Uttar Pradesh 221001 インド



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