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#7 娘よ、これが俺のインドだ。親切すぎるモディ君の正体

長かったような、短かったようなこの1週間。道中で出会ったインド人の顔(否、眼光)が走馬灯のように脳内を巡ります。今ごろみんな、何をしてるのかなあ。こんにちは、ツーさんことカスガイツトムです。会社員を長く務めています。ゆで卵が大好物です。この回、ちょっと長いかもしれません。

旅程最終日、今日は朝からゆで卵を2個食べました。ホテルの朝食ビッフェのときは必ず探します。そして、コメダ珈琲並みに殻が剥けやすい卵を提供しているホテルは、五つ星と認定させていただいています。本日のホテルは、1勝1敗でした。

ナーバスなツーさん

11:00、約束どおり、モディ君がチェックアウトしたわたくしたち親子と合流しました。最終日の残された時間は約4時間、ニューデリー育ちの彼のセレクトで、名所をガイドしてくれることになっているのです。

親切で日本語も堪能なジモティ青年は、わたくしたち親子をどこに連れて行ってくれるのでしょう。楽しみではありますが、実のところ、娘連れのツーさんは、昨晩からかなりナーバスになっていたのです。

モディ君には大変申し訳ないのですが、娘とは昨晩、彼から飲料や飴などを貰っても口に含まないようにしておこうね、とひとつのルールを決めておきました。国際交流のこの時代、失礼にも程があるだろ、と憤慨される方もおられるかと思います。「それ、考えすぎ〜」と娘も笑うのでした。でもですよ、彼とはたまたまニューデリー(その人口は市単位で約3億人)の街中で知り合っただけで、なぜここまで親切にしてくれるのかよくわかりません。そもそもインド人とはこれまでに色々ありましたし、、、昨晩は深読みしすぎて眠れなくなり(原因は別かも)、深夜にフライドライスを食してしまった次第です。(拙稿#6 参照)

そういう意味で、この日のツーさんは、モディ君に親切にされればされるほど深読みの負のループに陥り、持ち味の好奇心がすっかり鳴りを潜めてしまったのです。俺のインド、最終日だったのに。

宗教ではありません。

3人は、地下鉄でまず某寺院に向かいました。宗教ではない世界平和団体(ちょっと意味がわからなかったです)の聖地とのことで、インド人観光客で賑わっています。でも、「宗教ではない」という説明だけで、ツーさんはもう、深読み地獄の一丁目です。モディ君は、なぜわたくしたちをココに連れてきたのか。宗教じゃない団体っていったいなんなの? もう早く帰ろ、早く帰ろ。

見学地、とても素敵なところではありました
ココナッツ、飲み終わった後のタネもうまい

そんなツーさんを横目に、娘はモディ・カメラマンの専属モデルとしてあれこれポーズをとって楽しそうです。挙げ句には、チャーイが飲みたいだの、気づけば、モディ君にココナッツを買ってもらって、ストローでチュウチュウ飲んでいるではありませんか。「パパ、美味しいよ!」。「あ、モディ君、申し訳ないですね、ご馳走になってしまって。君もどう?」とか言いながら、わたくしもちょっと吸ってみました。ん、なるほど、これは美味しいね。

「緑のたぬき」

結論から言いますと、モディ君は日本のことが大好きな青年で、地元のニューデリーを知ってもらいたい一心で、わたくしたち親子をガイドしてくれたようでした。こんな人いるんですね。娘に言わせると「外国人にありがちな、ニッポン大好きオタクの善意だね」。彼はなんと、空港にまで見送りに来てくれました。

ココナッツを飲んだ後、航空便出発のタイムリミットもあったので、寺院だけ見て終わらせることにして、街の中心部までトゥクトゥクで戻りました。モディ君が交渉すると、3割ほど安くすみました。

一緒に食事をとりながら彼の日本体験をあれこれ聞きました。日本食で好きな食べ物は、唐揚げ、生牡蠣、マルちゃん「緑のたぬき」。仕事で数年間、日本に滞在していたときは、そのうまさに感動して、冗談抜きで毎日「緑のたぬき」を食べていたそうです。モディ君とは、また日本に来た際は、連絡を取る約束をしました。

一期一会とメール交換

思い返せば、アグラーでは、寝台特急で同じコンパートメントになった叔父さんと仲良くなり、メール交換をしました。モディ君ともアプリでのアドレス交換をしました。でもですね、35年前の長期旅行では、紙の手帳でアドレス(住所)交換をしても、最終的に再会する人はいませんでした。それが逆に思い出になっています。

インディラ・ガンディー国際空港

今回の旅では、アグラーの叔父さんともモディ君とも既に複数回の連絡をとっています。それも帰国する前に、写真付で。なんだかこう、これってやはり味気ないなあと思うのです。わたくしとしては、やはり旅先では一期一会の出会いの方が性に合っています。バラナシで部屋に閉じ込められたわたくしを救ってくれたあの使用人とは、もう会えないでしょう。だからこそ、、、一生忘れません。

娘よ、これが俺のインドだよ。
さて、君のインドは?

#7 了

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