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#2 アグラーまで。立ち塞がった親切な案内人たち

昨日は、たまたま出会ったトゥクトゥクのラージ運転手のナイスな演出で、35年前と変わらない暑苦しいインド、俺のインド、の洗礼を浴びさせていただきました。
こんにちは、ツーさんことカスガイツトムです。会社員を長く務めています。ゆで卵が大好物です。

眼鏡ドライバー氏

わたくしはタージマハルを娘に見せたくてINDIAN RAILWAYSにてアグラーを目指しました。切符は日本にいながらにしてネット購入(娘が)、QR付きのデジタルチケットな訳で、このあたりは隔世の感。でもですね、その特急(二等席)に乗るまでに、おおよそ4人の人懐っこい自称ツアーガイドたちが立ち塞がったのでした。なにも変わっていないインドよ、もう勘弁して。 

まずはトゥクトゥクの眼鏡ドライバー氏。バス停で迷っていると、40ルピーでニューデリー駅まで行きますよ、とジェントルに現れた。昨日、ラージが提示した350とはえらい違い、相場通りの良き運転手もいるものだと、(とはいえ、イチか八か)娘と乗っかりました。が、やはりやはり。

あー、思い出したよ

眼鏡ドライバー氏、30m走ったか走らないかでゆるゆると減速、そして路上駐車、なにやら長広舌が始まりました。
「あなた方、親子よ、列車の時間までずいぶん時間があるではないか、買い物に行こう、いい店がある、チャーイ屋もある、私がガイドしてやろう、(とか何とか)」。
娘が列車の時間(13:00発)をうっかり伝えたものだから、グイグイと攻め込んで来られたわけです。

あー、これ、35年前(わたくしツーさん、当時21歳)にもアグラーのトゥクトゥクで同じことあったよなあ〜。わたくしはそんなことを思い出しながら数分間、インチキ英語で激交渉を楽しみました。しかしまったく埒が開かない、動いてくれない。そこで、頭に来たわたくしが、「じゃあ、わたしらもう降りるわ!」とピシャリ突き放したのです。

と、眼鏡ドライバー氏。「降りやがれ、このやろう」とはならず、何ともジェントルにわたくしたちを降ろしてくれたのでした。

猛省するわたくし

実質、数十mを乗車させながら、まったく乗車賃を求めないーー。この結末も、35年前と同じでした。やはりインド人は摩訶不思議、面白いなあ、憎めないなあと勝手に心温まったわけですが、実は大いに反省した点もあったのでした。

激交渉も後半あたり、「買い物はノーサンキュー、もう、とにかく50ルピーやるから駅までまっすぐ向かってくれ!」と、わたくしが投げやりに話したところ、眼鏡ドライバー氏はこう答えたのでした。
「わたしは、おカネが欲しいわけでは、ない」(ジェントルに)

そして、わたくしたちを静かに降ろすと、ゆるりと走り去ったというわけです。いやあ、わたくしツーさんも、この35年で嫌〜なオトナになっていたんですね。ニューデリーに来て、本当に良かった。猛省したのでした。

眼鏡ドライバー氏から逃れ、9ルピーのバスでニューデリー駅へ


その後、ニューデリー駅前では、「えっ、その列車なら9時間遅延してるぞ、俺のツアーオフィスまで、来い、チケット変更をしてやるから」などなど、同じ手口の自称ツアーガイドたちが次々に現れ、それでもついつい付き合ったりして、1時間ほど時間を奪われたのでした。こんな旅、アホだよなあ。娘よ、コレが俺のインドだ。

さすがに疲れてまいりましたね。ちなみにわたくしたちの乗る特急は、予定通りの13:00に出発しました。

寝台特急に乗って

12:45、7番線ホームに入ってきた12716番・特急列車の前で、娘とわたくしはうろたえたのでした。どの車両も「ジスイズ鮨詰め」を超える乗車率なのです。それも溢れ出たインド人乗客は皆、あの鋭い眼光をこちらに向けている。おまけにわたくしと娘は自分たちが乗るべき車両ナンバーがどれを指すのかわからない。そしてそして、車両連結が信じられないぐらい長いのです。

交差点ではありません。わたくしたちの乗る車両が見えません、、、
弁当売り、チャーイ売りが充実した特急


ここで謎の青年が颯爽と現れたのでした。チケットを見せろ、オレに着いてこい、と頼もしい痩せぎすの若者についていきます。だって、凄いんだから、降りる人と乗る人の人流、波の渦巻きが。B3号車の自席まで辿り着いたところで、わたくしはその青年に心からのチップ、20ルピー(30円くらい、チャーイ1杯が15ルピー)を渡したのでした。実はわたくしの席、65番に老年のインド人が座っていて、面倒くさいので譲って、娘の席に二人で座ったことは割愛させていただきます。

アグラー駅からタージマハールまで10km

さて、アグラー到着です。
うーん、死ぬほど感動すると思ってたけど、細かな記憶がないのです。ここ来たんだよなあ。牛が駅前ロータリーで寝てるし。
そんな感興に耽る間もなく、わたくしの前には、またも愛想のいい男が。トゥクトゥクの運転手、、、コレがなかなかいい奴だった(今日のところは)。名前はアリー。秘蔵のノートを持っていて、コレまでに乗せた客が直筆した感謝メモ帳になっている。日本人客も多く、読め、読めと言ってくる。モノの本で、こうして信頼度を高める手法があるのは聞き齧っておりましたが、本当にいるんだなあ。

ホテルに到着すると牛がお迎え


「35年前にわたくしはアグラーに来たことがあるんですよ」とか、「わたくしたちは親子です」とか話すと、「えっ、その頃、オレは母ちゃんの腹の中だよー、フレンズ!」と返し、自分は5カ国語を話せるとか実演してみせ、何より頭の回転がよいのだ。

アリーにホテルまで送ってもらい、なんと明日は1250ルピーでアグラーの主要城址を回ってもらうことになった。わたくしたち親子は、終日ガイドをお願いしたのです。さて、明日はいったいどうなるのか。気づけば、暑苦しいばかりのトゥクトゥク運転手を好きになり始めた父ちゃんがいる。娘よ、これもインドだ。

#2 了

データ:
・宿泊ホテル
DAZZLING HOTEL & RESORT
・レストラン
BIRYANI & KEBAB by ZAHID FOODS

タンドリーチキン 激ウマ度4.5
マトン ビリヤニ 激ウマ度5









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