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近所の桜の開花具合が気になる今日この頃。急に桜あんぱんが食べたくなった。丸くてコロンとしたあんぱんの真ん中に、キュッと入れられた桜の塩漬け。ぎっしり詰まったこしあんの甘さと桜の塩気。ふわっと感じる桜の香り。ああ、今すぐ食べたい。とは言ったものの、どこに売ってるのかも知らなければ、そんな想像通りの桜あんぱんが存在するのかも知らない。実は桜あんぱんを食べたことがない。なんでこんなにも食べたくなったのか不思議でならないくらい、私は桜あんぱんと交わらない人生を送ってきた。視界に入ったことはあるだろうが、意識して見たことは一度もない。ましてや今回食べたいと思うまで一度も食べたいと思ったこともない。自分のことながら本当に不思議だ。どういう所で売ってるのかを調べるために、とりあえず「桜あんぱん」で検索をかけてみた。すると栃木県佐野市に桜あんぱんが名物のパン屋さんがあると表示された。佐野は少し遠いが行けない距離じゃない。行くか、と思ったがやっぱり少し遠いなと思い留まった。その他に何か、と調べてもあまりいい情報がなかったので、市販の桜あんぱんを探す旅に出ることにした。検索で出ないなら足で稼ぐしかない。近所のスーパーやパン屋さんを一軒一軒探していく。全然見つからない。3軒目のスーパーでやっと見つけたが、それは理想の桜あんぱんとは程遠く、こしあんではなく桜あん、桜の塩漬けではなく桜ジャムが入っているものだった。それも美味しいだろうけど理想とは違う。一度手に取ったそれは棚に戻した。意地でも理想を探す。4軒目5軒目と探していき、ここでなかったら諦めて佐野に行こうと思った6軒目。ついに理想に近い桜あんぱんが現れた。金谷ホテルベーカリーの桜あんぱん。こしあんで桜の塩漬けが乗っている。コロンとぎっしり感は無いものの、それは妥協点だろう。すぐに買って車の中で食べた。待ち望んでいた味でとても美味しかった。真ん中のひとくちが格別。満足したので家に帰る。家に着くと親戚からおはぎが届いていた。6個入。それを知った時、私の右手には途中のお店で買ったおはぎが5個。全部で11個のおはぎ。加えて草餅3個。供給過多。買わなければよかった。家族の好みから推測するに、私はおはぎ4つと草餅1つは最低限食べなければならなそう。最近の私にはキャパを超えたお菓子が集まりがち。あんこはもういらないかも。今日もなにもない一日だった。

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