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星野源が結婚したと言う事実を未だに飲み込めないでいる。もし仮にいつか飲み込めたとしても、次はお相手が新垣結衣という事実を飲み込めない期間が始まるだろう。ほんとに、もう、なに。仕事が手に付かない。頭を使っているときはまだ平気だが、手を動かすだけのときはふと考えてしまう。ああ、星野源は結婚したんだ。考える度に涙目になる。やっと少し笑えるようになったが、ニュースなどで見かける度に気持ちが不安定になる。ずっと夢の中にいるみたい。何度聞いても驚いて、何度聞いても混乱してしまう。目に溜まる涙は、悲しみと喜び、それだけではなく自分自身を憂う涙でもある。こんなに精神的に不安定になったのは初めてかもしれない。この初めてが自分の人生ではなく、他人の人生なのだから面白い。就活が辛くて辛くて、適当な理由をつけて辞めたときでさえ、一晩寝ればケロッと元気になった。そんな私でもこんな状態になるんだ。私を客観視する私が、私の悲しみに同情している。頑張れよ、私。昨日の夜はなかなか眠れなかった。いつも通り12時にベッドに横になったが眠れる気がせず、LINEをしたりYouTubeを見たりした。ラジオを聞こうかと思ったがリアルタイムに耐えられるか不安だったので、タイムフリーで数日前のラジオを聞いた。まだ星野源が結婚発表していない世界線。安心して聞けた。1時過ぎくらいに就寝、朝は5時に起きた。起き上がれぬまま物思いに耽る。そっかぁ、と何度も口から出る。テレビをつける。朝の情報番組は件の話題で持ち切りだ。テレビを消した。朝食を食べ、何をしていいかわからず、クッキーを作ることにした。なにかに集中しているときは心が穏やかである。オートミールクッキーを作り、その後早めの昼食。明らかに作りすぎたクッキーをラッピングして職場に持っていく。職場に行くと事情を知っている人たちに心配された。よく来れたね、頑張ったね、と。いつも通りに出勤したつもりだったが、明らかに様子がおかしかったようだ。クッキーを配りながら、人との会話で少しずついつもの私を取り戻していく。ひとりの作業になるとまた不安定になるわけだが、こうやって少しずつ大丈夫な時間を増やしていけばいいと思っている。まだ大丈夫。今の私なら背骨を無くしても立っていられるはずだ。あとは歩くだけ。ずっと他人の人生で自分の人生が動いていたのだから、次は私が。今日は不安定な一日だった。

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