03/21
「ひとりあやとり」ってご存知だろうか。ふたり対戦のあやとりに出てくる形を、ひとりでエンドレスに作っていく遊びのことである。形の名前は地域によって違うのかも知れないが、「田んぼ」「川」「ダイヤ」「鼓」「船」「吊橋」などが次々に作られていく。私が知っているあやとりの中で最も難しい遊びである。なぜこの話をしたかと言うと、昨日から私は小学生の姪っ子にひとりあやとりを教えている。私の母親と姪っ子、つまりおばあちゃんと孫で遊んでいるのを見ると、しばらく前からあやとりが流行っている。母親が毛糸を探していたので私の部屋にあったものを渡したら、それで輪っかを作りあやとりが始まった。最初はつまらなそうにしていた姪っ子もいつの間にか気に入ったようで、我が家に遊びに来てはあやとりをしている。最初は「ほうき」から始め、「二段橋」「四段橋」「蝶々」「蛙」、あとそれらに続く連続技などを覚えていったようだ。懐かしいことしてるなと私も毛糸を貰ってやってみたら昔のことながら手が覚えていて、大半の技を思い出すことが出来た。その中で私が「ひとりあやとり」を思い出してやっていたら、母親になんでそんなの覚えてるのと驚かれた。母親はひとりあやとりの存在は知っていたが、全く覚えてないし教わった経験も無いらしい。なんで私は覚えているのだろう、としばらく考えると教わった時のことを思い出した。確かあの時の私は小学生か幼稚園生、おばあちゃんの家に行った時におばあちゃんから教わったのだ。そこに母親が居たかは覚えていないが、おばあちゃんの隣りに座って一生懸命覚えた記憶がある。それを20年近く過ぎた今でも手が覚えているのはとても感慨深いものがある。姪っ子に教えるものがなくなって困った母親が「〇〇(本名)ちゃんが難しいの教えてくれるって」と投げてきたのが昨日。私はあまり子供と遊ぶのが得意ではないが、教えてと言われて断るわけにもいかない。諦めてひと手順ずつ教えていく。昨日は川まで教えて、今日は最後まで。子供はできないと言ってからできるまでのスピードが早い。教えるのが意外にも楽しかった。最後まで完璧に習得した姪っ子が私に見せびらかしてくる。よくできましたと拍手をする。きっと私も昔こうやって覚えたのだろう。そして数十年後に次の代に伝えた。姪っ子もまた次の代に伝えていくのだろうか。昔遊び、廃れないでほしいね。今日もなにもない一日だった。
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