大学入試の「主体性評価システム」e-Portfolio運営団体の許可取り消し
自ら学ぶ「主体性」を一般入試でも評価するという大学入試の一般で、2019年度に実施された入試から活用が始まりまったのが
e-portfolioです。
高校生の活動実績を電子データで記録し、入試の合否判定資料として大学側に提供するe-Portfolioについて、一般社団法人「教育情報管理機構」の運営許可を取り消しました。
その理由の一つが、それを入試に活用する大学数が伸び悩んだことです。
そのため、財務状況を不安視する意見が多く出ていたようです。
また、この機構のサポート役としてベネッセコーポレーションが事業に絡んでいました。
しかし、利用者の登録データに関して、ベネッセに個人情報を提供する必要があり、一民間企業に独占的に利益が渡ってしまう懸念が出ていました。
それでは、今までe-portfolioを活用していた学校や生徒の情報はどうなってしまうのでしょうか。
実は未だにその扱いは未定となっています。
このわずか1年で頓挫した事業について、反省点が多く出てきています。
そもそも大学入試改革を巡って、大学入学共通テストへの英語民間試験の活用や、記述式問題の導入が見送られてきました。
それに続いて、主体性評価導入に向けたシステムまで変更が迫られています。
理念が先行し、教育現場や専門家の意見を十分に吸い上げないまま制度づくりが進んだことが問題だったのでしょう。
これを単なる失敗として終わらせるのではなく、次のシステム設計に活かすことができるかが問われています。
AIなどの技術革新を上手く取り入れて、世界一の教育を提供できるように国全体で取り組んでいく必要があるでしょう。
それと同時に、学校や生徒の個人情報を大規模に収集してビッグデータとして解析することはもちろん大事ですが、情報セキュリティが重要です。
今回、一民間企業が個人情報を独占することに対する懸念が生まれたことを考えると、やはり企業ではなく、国が責任を持って情報を管理する必要が出てきています。
つまり、民間企業に頼らなくていいように、国の研究チームを立ち上げ、新しい教育評価に向けた道筋を作っていかなくてはなりません。
この課題をクリアできた時に、イノベーションの種が開花し、次世代に質の高い教育を提供できるのではないでしょうか。
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