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教員の非正規雇用問題

「雇用ポートフォリオ」と呼ばれるものをご存知でしょうか?

これは1995年に日本経営者団体連盟(日経連)が発表したレポート『新時代の「日本的経営」-挑戦すべき方向とその具体策』に盛り込まれた案です。

これは「雇用において正規雇用は3割で、残りの7割は非正規雇用でいい」という考えです。

新型コロナウイルス感染症で長期休校から再開に向けての第2次補正予算案で、小・中学校への加配教員3100人と学習指導員6万1200人分の予算が計上されました。

しかし、このほとんどは非正規雇用です。

政府の教育再生実行会議ワーキンググループが「令和のスタンダード」と位置づけているのが少人数学級で、萩生田光一文科相をはじめとする文科省、そして菅義偉首相も積極的姿勢をみせています。

しかし正規雇用で教員を増やすのではなく、少人数学級の体裁だけ整えるために非正規雇用を利用していくのが実態のようです。

企業が非正規雇用を増やすことでコスト削減しようとしているように、教育も非正規雇用の教員を増やすことでコストを抑えようとしています。

教育でも「3割正規・7割非正規」という「雇用ポートフォリオ」が現実のものになる可能性すらあるのです。

しかし、非正規雇用の教員志望者は少ないのが現状です。

「きめ細かい条件のすり合わせで臨時採用の応募者を増やそうと、独自の採用プラン」を始めた自治体も出てき始めました。

具体的には・・・

部活動を担当したくなければ、しなくてもいい学校を紹介する。

車の運転をしたくなければ、運転しなくてもいい学校を紹介する。

特技を活かしたければ、それが可能な学校を選択する。

婚活を希望するなら、同世代の独身者が複数勤務する学校を紹介する。

お金を貯めたければ手当の大きい学校を紹介する

・・・といった具合です。

非正規雇用教員でも、学級担任を任されるケースはあり、専任教員と同等の仕事量と、責任を負わされることもあります。

「専任に昇格できる可能性」をえさに、非正規雇用教員に無理を強いることも十分考えられるのです。

それでも年収ベースでは、非正規と正規では大きな差があり、福利厚生も含めた安定についての保証は言うまでもありません。

さらに、非正規雇用が正規雇用に対して軽く見られる傾向は否めません。

発言権もないに等しい状態だからです。もし校長や学校に対して批判的なことを言えば、次の契約に支障が出てきてしまうのです。

教員採用試験の応募者が減っていることで「教員の質が確保できない」という声がいろいろなところで挙がっています。

非正規雇用教員で凌ぐ考え方そのものと、非正規雇用の働く条件を根本から変えないままに非正規雇用に頼る方針をとりつづければ、それこそ教育の質が問われることになります。

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