Genie In A Bottle が20周年ということで解説してみた

先日こんなツイートが流れてきました:

Christina Aguileraのあの「Genie In A Bottle」がリリースされてから20年!というわけで記念に歌詞の解説を書いてみようと思います。

一番耳に残るのはやはりサビの部分:

If you wanna be with me
Baby there's a price to pay
I'm a genie in a bottle
You gotta rub me the right way

If you wanna be with me (If you want to be with me)

「もし私と一緒にいたいなら」と訳すこともできますが、続く歌詞の意味を考えるともう少し踏み込んだ関係を指していると言えます。また後でここの意味に戻ってくるとしましょう。

Baby there's a price to pay

Babyは歌い手が語りかけている相手、つまり「あなた」
There's a price to pay「あなたが払わなければならない対価がある」ということですね。

I'm a genie in a bottle

「私は瓶に閉じ込められた魔人」
魔人って瓶じゃなくて魔法のランプではと思う人もいると思います。
英語には「The genie is out of the bottle」という慣用句があり、これは取返しのつかないことが起こるというような意味です。覆水盆に返らずに似ていますね。この表現は千夜一夜物語(アラビアンナイト)の一つで、瓶の中に眠っていた怒れる魔人を解き放ってしまった漁師の物語がベースになっていると言われています。奇妙なのは、元の話は機転を利かして魔人を再び瓶の中に閉じ込める話だということです。

さて、何でChristinaが瓶の中の魔人なのか。それは次のフレーズにつながります。

You gotta rub me the right way (You have go to rub me the right way )

rub me the right wayというのは普通の言い回しではありません。従来は「to rub somebody up the wrong way」で「逆撫でする」という意味になり、この歌詞はそれを逆転させています。逆撫での逆ですから、ご機嫌を取るということです。それを瓶の魔人にかけていると言いたいところですが、擦ると魔人が出てくるのはランプの魔人の方です。この辺りは空気を読んでふわっと解釈しましょう。重要なのは、メッセージです。「私と一緒にいたいなら、それなりの対価を払うこと。私は瓶に閉じ込められた魔人。私を手に入れたいなら正しい手順を踏まないといけない」とこんな感じです。

さて、これは「私と付き合いたいなら大切にしてね」というレベルのことなのでしょうか?その他の歌詞を見ていきましょう

You're licking your lips
And blowing kisses my way
But that don't mean I'm gonna give it away

「あなたは舌なめずりして私に投げキスをしている、でもだからと言ってそれを差し出すわけじゃない」

「舌なめずり」というぐらいですから、男の方は完全にその気です。give it away(差し出す)ということからも手をつないだりキスしたりという話ではないことは明らかです。更に、

Hormones racing at the speed of light
But that don't mean it's gotta be tonight

「ホルモンが光の速さで駆け巡る。でも、だからと言って今晩じゃないとダメというわけじゃない」

ここまでくると明白ですね。つまり、これはセックスにおける同意についての歌なのです。男性が求めているからといって、そういう雰囲気だからと言ってセックスに応じるかどうかは別問題ということです。

そうなると「If you wanna be with me」の意味合いも変わってきます。「私と一緒になりたいなら」あるいは「私と一つになりたいなら」と言い換えることができるでしょう。 「You gotta rub me the right way」も「私をその気にさせないと」と訳せます。愛撫あるいは前戯という意味を含んでいるとも考えられます。

この曲は当時ブレイクしていたBritney Spearsなどのティーン・ポップを強く意識してキャッチ―でポップな感じを前面に押し出したと言われていますが、日本人の感覚からするとかなり際どい内容だと言えます。むしろアメリカでもそういった批判はあったようです。

しかし、女性が自らの性に対して主体性を持つということ、そして尊重されることを他者に求める権利があることといったメッセージはChristina Aguileraの後の作品へ通ずるものがあるような気がします。

If you wanna be with me
I can make your wish come true
You gotta make a big impression
Gotta like what you do

「私と一緒になりたいなら、私はあなたの願いを叶えることができる。
(でもそのためには)私の心を掴んで、私にあなたを認めさせないと」

Source: LyricFind

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