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(サッカー)2022.12.25_インカレ_国士舘大学×新潟医療福祉大学@カンセキ

introduction

今季のインカレは決勝が元日に国立競技場での開催ということで、ぜひ目に焼き付けてみたかったのだが、残念ながら元日は家庭の都合で観戦することが難しい状況。となれば、それ以外の日程でどこか行くことができないかと目論んでいたのだが、ちょうど準決勝が行われる12/25の都合がつけられることになった。準決勝の会場は、インカレでは初めての使用となるカンセキスタジアムとちぎである。距離的にはやや遠くはなるが、久しぶりのサッカー観戦でもあるし、ここは気兼ねせずに栃木へ向かうこととした。

今回のお出かけも、時間節約のためならば金に糸目は付けない。大宮から東北新幹線に乗り、軽々と宇都宮までワープする。駅からは江曽島方面への路線バスを使って西川田へ向かう。試合会場へ向かう路線バスが応援の部員で激混みになるのは「大学サッカーあるある」だが、総合運動公園へ向かうバスに乗っていた観戦者と思しき客は数名で平和なものだ。果たして無事にカンセキスタジアムに到着、当日券を購入して入場である。一般客用に開放されているのはメインスタンドの下層のみだが、それでも座席が好きに選べるくらいの入りだ。

第1試合は、関東第6代表の国士舘大学と、北信越第1代表の新潟医療福祉大学の対戦である。今回のインカレは関東以外の地域の健闘が目立っており、先週に行われた準々決勝に勝ち残った8チームのうち、関東勢は「3」。そのうちの1つである国士舘大は、準々決勝で仙台大学を3-0で下してのベスト4入りだ。一方の新潟医療福祉大は、1回戦から八戸学院大学→びわこ成蹊スポーツ大学→中京大学と関東勢以外を下してベスト4に残っており、この準決勝が今大会初めての関東勢との対戦である。新潟医療福祉大としては初めての決勝進出をかけた大一番だ。ちなみに両校共に1stユニフォームは色調がほぼ同じスカイブルーであり、今日は新潟医療福祉大が1st、国士舘大は白の2ndユニフォームを着用する様子。しかし個人的には国士舘大のスカイブルーを見慣れているので、パッと見ではどっちがどっちか分からない(笑)。

1st half

試合は早い時間帯に動く。12分、右サイドでボールを受けたオナイウ情滋が2人にマークを受けながらもゴールライン際から右足で折り返し。これをゴール正面に走り込んだ田中翔太がドンピシャのヘディングで叩きこみ0-1。この試合最初のチャンスを決め、新潟医療福祉大が先制する。

先手を取った新潟医療福祉大は、やや高い位置からのプレスでボールを狩りに行き、カウンターが撃てなければ割り切ってサイドの裏にボールを入れていく狙い。特に右サイドは先制点をアシストしたオナイウが快足を飛ばして追いついてくれるので、味方にとっては非常にありがたい存在だ。

国士舘大は2トップの一角である棚橋尭士がやや下がり気味のポジションでボールを引き出し、サイドに散らすなどの起点の役割。安易にボールを中へ蹴り込まず、手数をかけながらチャンスを窺いたいように見えるが、新潟医療福祉大のハイプレスが効果的で、簡単には繋がせてもらえない。

互いに決定機が無いまま迎えた42分、新潟医療福祉大は左サイドからドリブルで持ち上がった沼田航征がやや浅い位置からクロスを入れると、これに中の田中がフリーでシュートに持ち込む。決定的なチャンスだったが、これは枠の上に外れ、追加点とはならない。前半の終わりが近づいている時間帯だっただけに、これは決めておきたかった。結局、前半は0-1で折り返しとなる。

2nd half

後半も最初に流れを掴んだのは新潟医療福祉大。57分、左サイドからのクロスがファーサイドに流れたところをオナイウが拾い、中に落としたボールを小森飛絢がミドルシュートで狙おうとするがミスキックでミートしきれず。崩す形は作れているが、肝心のシュートが当たらず、ちょっと嫌な感じだ。

案の定というべきか、60分を過ぎたあたりの時間帯からは国士舘大が中盤でボールを回収するようになり、ゲームを一方的に支配するようになる。66分には布方叶夢の左サイドからのクロスに望月海輝が打点の高いヘディングで合わせるが、これはGKの桃井玲がストップしてピンチを凌ぐ。国士舘大は右SBの望月が高い位置どりをできるようになったことでゴール前の迫力が作れるようになってきた。

ワンサイドゲームの様相を呈してきてチャンスが作れない新潟医療福祉大は、72分に中盤での奪回から坂岸寛大のクロスに小森がボレーで合わせる決定機を作り出すものの、これはGKの飯田雅浩がストップして得点ならず。ワンチャンスを生かせない。

サイドを押し込んでの猛攻が続く国士舘大は、77分にボックス付近でシュートチャンスを作るものの、すんでのところで神田悠成がブロックに入りCKに逃れる。神田は気迫の雄叫びを上げてチームに活を入れるが、疲労は隠せない。足をつる選手が何人か出始めており、ここからが正念場だ。

終盤は国士舘大がクロス入れ放題の展開となるが、新潟医療福祉大はひたすら跳ね返し続ける。国士舘大の選手も焦りと疲労の色を隠せず、たまに訪れるシュートチャンスも精度が低かったり、ブロックに入られるなどで生かせない。

やや長めにとられた追加タイムも国士舘の猛攻が繰り広げられるが、AT5分のスクランブル状態からの国士舘のシュートが枠の上に外れてゴールならず。そしてタイムアップのホイッスルが吹かれ、試合終了。その瞬間、ピッチ上はもちろん、スタンドにいた新潟医療福祉大の関係者からも「よっしゃー!」と歓喜の声。国士舘の選手たちが次々とピッチに崩れ落ちた。0-1で逃げ切りに成功した新潟医療福祉大学が、元日に行われるファイナルの切符を手にしている。

impressions

新潟医療福祉大の粘り勝ちだった。前半最初のチャンスを確実に決めて得た1点のアドバンテージを、文字どおりに身体を張って死守してみせた。守勢を強いられたチームがスコアレスのまま耐え、終盤にワンチャンスを生かして1-0で勝ち切る、という試合はサッカーに起こりがちだが、この試合に関していえば、新潟医療福祉大は前半の1点を実に80分以上にわたって守り抜いたことになる。守備に自信があるからこそできる芸当であると思うし、決勝進出は妥当といえるのではないだろうか。

新潟医療福祉大は右サイドのオナイウが強烈だった。2人にマークに付かれながらも折り返すことに成功した先制点の場面は象徴的な場面のひとつではあったが、それ以外にもドリブルでの持ち運びやボールキープなどにより、サイドで時間を作ることに大きく貢献していた。これがチームに余裕を与えていたようにも思う。大学を卒業して迎える来季はベガルタ仙台への加入が内定しており、Jリーグでの活躍も楽しみな選手のひとりだ。

国士舘大は決して負けるようなサッカーをしていなかったように思うが、工夫という点でやや物足りなかったか。後半に入ってSBを押し上げられるようになってからは分厚い攻撃を幾度にも渡って仕掛け続けたが、最終的にはゴール前へ高いボールを入れるか、あるいはボックス付近にミドルシュートを打てるような折り返しを入れるかの2つのパターンに終始していた。カットインなどでより相手の混乱を生む仕掛け方ができていれば、結果は違ったものになっていたかもしれない。

大学サッカーの全国大会は長らく関東勢が牛耳ってきた印象があったが、高体連やJユース卒の有力選手が関東以外の大学チームへ出番を求めて進学していく事例が見られるようになり、その勢力図にちょっとずつではあるが変化が起きているようにも感じていた。今大会の新潟医療福祉大の決勝進出は、その流れが確実に結果として表れつつあることのひとつの例といえるのではないだろうか。決勝の結果がどうなるかは分からないが、決勝での奮闘にも期待したい。

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