#79【トップガン マーヴェリック】ep.1「既存曲によるストーリーの補足方法」
※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#79にあたる内容を再編集したものです。
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【トップガン マーヴェリックについて】
2022年公開
監督:ジョセフ・コシンスキー
音楽:ハンス・ジマー、ハロルド・フォルターメイヤー
作曲家紹介
ハンス・ジマーさんは、世界的に有名な映画音楽の作曲家で、数々のヒット作品の音楽を手がけています。
彼の手がけた作品は、「インターステラー」や「ダークナイト」などクリストファー・ノーラン監督とのコンビ作、ディズニー作品では「ライオン・キング」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどがあり、独創的で力強い楽曲で知られています。
もちろんその他にも多数の作品を手がけています。
(作曲家作品からいくつか紹介)
さらに映画音楽の世界で数々の賞を受賞し、その革新的なアプローチと音楽の表現力で多くのファンを魅了しています。
サウンド面でもシンセサイザーにオーケストラを用いる手法で、内面的な描写や心象風景の表現を可能にしていきました。
今なお人気の大御所音楽家です。
作曲家作品
レインマン
ライオン・キング
グラディエーター
ミッション:インポッシブル 2
ハンニバル
パール・ハーバー
ザ・リング
ラスト サムライ
バットマン ビギンズ(ジェームズ・ニュートン・ハワードと共同)
ダ・ヴィンチ・コード
パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
ザ・シンプソンズ MOVIE
ダークナイト(ジェームズ・ニュートン・ハワード)
コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 2(ゲーム作品)
シャーロック・ホームズ
インセプション
パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉
ダークナイト ライジング
マン・オブ・スティール
アメイジング・スパイダーマン 2(The Magnificent Six と共同)
インターステラー
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(ジャンキーXL と共同)
ダンケルク
ブレードランナー 2049(ベンジャミン・ウォルフィッシュと共同)
X-MEN:ダーク・フェニックス
ライオン・キング(2019 年)
ワンダーウーマン 1984
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
DUNE/デューン 砂の惑星
トップガン マーヴェリック
登場人物
ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル海軍大佐:
トップガンで教官を務めることになる。
トム・“アイスマン”・カザンスキー海軍大将:
前作でのライバル。マーヴェリックをトップガンに呼び寄せる。
ブラッドリー・“ルースター”・ブラッドショー海軍大尉:
訓練生。前作で亡くなったグースの息子。
ジェイク・“ハングマン”・セレシン海軍大尉:
訓練生。ルースターと衝突する。
ナターシャ・“フェニックス”・トレース海軍大尉:
訓練生。女性パイロットでルースターを信頼している。
ロバート・“ボブ”・フロイド海軍大尉:
訓練生。少し頼りなさげ。
ボー・“サイクロン”・シンプソン海軍中将:
トップガンでの上官。
ソロモン・“ウォーロック”・ベイツ海軍少将:
トップガンでの上官。
ペニー・ベンジャミン:
バーを経営するシングルマザー。前作では名前のみ登場。
あらすじ
米国海軍の大佐で、卓越した飛行技術を持つパイロットのピート・“マーヴェリック”・ミッチェル海軍大佐は、最新鋭の戦闘機を大破させてしまったことで危うい立場にありました。
上官に呼び出されたマーヴェリックさん。
しかしそこで言い渡されたのは、エリートパイロット養成機関「トップガン」で教官を務めるようにとの要請でした。
現在、敵国の核開発施設に対する攻撃作戦が計画されており、その実行役を担当するパイロットたちの訓練にあたってほしいというのです。
かつては自身もトップガンに在籍していたマーヴェリックさんでしたが、こうして今度は若いパイロットたちを指導することとなりました。
久しぶりにトップガンへ戻ったマーヴェリックさんは、そこで作戦に参加する若いパイロットたちや、元恋人のペニーさんとも出会います。
そしてその中には、かつて飛行訓練中に自分のミスのせいで命を落としたグースさんの息子、ルースターさんの姿もあったのです。
またそれだけでなく、マーヴェリックさんはルースターさんの母に頼まれ、彼が海軍学校へ入学しないよう志願書を破棄した過去もありました。
マーヴェリックさんを恨み、反抗的な態度をとるルースターさん。
また、他のパイロットたちも仲間と張り合ってばかりで訓練の目標は一向に達成できません。
そんな中、マーヴェリックさんをトップガンに呼び寄せた張本人であるアイスマン海軍大将の訃報が届きます。
後ろ盾を失い、計画の変更を言い渡されたマーヴェリックさん。
しかしペニーさんに励まされ、彼は作戦が成功可能だと示すことを決意します。
そして無断で戦闘機に乗り込み作戦のデモンストレーションを成功させた結果、上層部に作戦の続行を認められ、パイロットたちからの信頼も勝ち取ることに成功しました。
さらに計画実行の際には、マーヴェリックさん自身も作戦に参加することも認められます。
そしてやってきた任務実行の日、マーヴェリックさんが選抜したメンバーの中にはわだかまりの残るルースターさんの姿もありました。
様々な思いを胸に、パイロットたちは困難な任務へと赴きます。
【はじめに】
今作は前作1986年公開の映画「トップガン」シリーズ2作目として公開されていました。
当時は話題にもなりましたね。
映画は往年のアメリカンヒーロー作品で、盛り上がり、緊張感は健在でした。
ヒーローといっても80年代に流行した、軍もののヒーローですね。
前作はトムクルーズさんの出世作だったので、今作は新たなスターの誕生かと思って観たら、やはりトムクルーズさんの独壇場でしたね。
無理難題をやってのけてしまうのがこの作品の魅力の一つで、スカッとする作品でした。
それと一応今回もネタバレの要素を含みますので、お聞きになる際はご注意ください。
【ソースミュージックと世界観の作り方】
というわけで今回はソースミュージックと世界観の作り方についてみていこうと思います。
この作品は前作トップガンの2作目になります。
そして見せ方としては新たなトップガンというよりはリバイバルに近い作られ方という印象を受けました。
主人公であるマーヴェリックことピートミッシェルさんが活躍して、前作に登場したグースさんの息子であるルースターことブラッドリー・ブラッドショーさんとも最終的にバディを組みます。
ということで、前作を知っていると楽しめる要素も登場しています。
もちろん前作を知らなくても楽しめるのですが、全体を通して1作目のノリのようなものを大切にしているように感じました。
それは音楽でも表現されています。
それがソースミュージックです。
今回登場するソースミュージックは映画の世界観を表現するのに多く用いられているので、今回は楽曲を紹介しながらシーンの紹介もしていこうと思います。
まずは前作の音楽を少しおさらいしておくと、理解が深まると思うので紹介していきます。
前作からの引用1 トップガン アンセム
前作トップガンは、音楽史上“最も売れたサウンドトラックアルバム”の一つとも言われている作品です。
プロデューサーにはディスコサウンドやエレクトロニックなサウンドメイクで有名なジョルジオ・モロダーさんが多くの楽曲を手掛けています。
80年代に流行したシンセサイザーや電子ドラムといった電子楽器が1作目のトップガンでは惜しみなく披露されていました。
これが今作のトップガンマーヴェリックでも使われていますね。
それが早速映画冒頭のシーンです。
映画が始まってまず聞こえてくるのが、電子ドラムとオーケストラ、そしてシンセサイザーです。
これはアップルミュージック トップガンマーヴェリック オリジナルサウンドトラック 1曲目に収録されている「メインタイトル ユーブ ビーンコールド バック トゥ トップガン」という楽曲です。
映画冒頭から1作目に通じる電子楽器のイメージが登場します。
この楽曲はマーヴェリックでは「メインタイトル ユーブ ビーンコールド バック トゥ トップガン」というタイトルで録りなおされ再収録されていますが、トップガン1作目では「トップガン アンセム」という楽曲で収録されています。
映画のつかみとも言える冒頭で、いきなりの電子楽器の登場、前作の楽曲の再収録ということで、前作のイメージを崩さないようにしていると感じますね。
前作からの引用2 デンジャーゾーン
そのまま
1:59
海上基地のシーンでは、ケニーロギンスさんの「デンジャーゾーン」という楽曲が演奏されます。
これは聴いたことある方も多いかもしれません。
確かCMでも使われていたような、テレビでもレースなどのシーンで流れているのを聴きますね。
この楽曲は実際トップガンのために書かれた楽曲です。
当のケニーロギンスさんは、アメリカのシンガーソングライターで、特に1980年代にポピュラーな曲を多数生み出したことで有名な音楽家です。
非常に時代を感じるサウンドでありながら疾走感のある楽曲ですよね。
ということで、冒頭の2曲がトップガン1作目からの引用ということがわかります。
1作目から好きな人は、思い出が蘇ることもあるでしょうし、始めて観た方はトップガンの雰囲気をここで掴める作りになっています。
ソースミュージック1 ユア チーティン ハート
次はほんの一瞬ですが、
13:01
マッハ10のさらに先を目指したマーヴェリックさんは結果墜落、なんとか脱出に成功してアメリカの片田舎に不時着します。
そこでBBQカフェのようなお店に入ったシーンです。
この時はハンク・ウィリアムスさんのユア チーティン ハートという楽曲が店内BGMとして演奏されています。
これはカントリーミュージックで片田舎に不時着したという印象を与えるための音楽になっていますね。
そして次は僕の中で文化の違いを感じる怒涛のバーでのシーンでソースミュージックがたくさん登場します。
ソースミュージック2 バン ア ゴング ゲットイットオン
24:32
マーヴェリックさんがカウンターにスマホを置いててお店にいるお客さんにビールを一杯ずつ奢る羽目になるシーンです。
この時に店内BGMとして使われているのが、T.レックスで「バン ア ゴング ゲットイットオン」ですね。
マークボランさんを中心に人気を博したイギリスのバンドT.レックスですね。
このゲットイットオンも有名ですが、20センチュリーボーイズという楽曲でも人気を博しました。
この楽曲は1971年に発表された楽曲です。
非常に明るく盛り上がる楽曲ですよね。
バーにはもってこいの楽曲です。
ソースミュージック3 トランプ
そしてすぐに
26:24
ルースターさんが登場するシーンです。
ここで演奏されるのはオーティスレディングさんとカーラトーマスさんの「トランプ」という楽曲です。
ファンクなナンバーで、これまた明るく盛り上がる楽曲ですね。
リリースは1967年で、キング&クイーンというアルバムに収録されていた楽曲です。
今の所年代はバラバラですが、バーのジュークボックスに入っていそうなラインナップです。
そしてまたすぐに
ソースミュージック4 スローライド
27:28
ハングマンさんがルースターさんと挨拶するシーンです。
自信家のハングマンさんがすこしルースターさんに突っかかったりしています。
この時に演奏されているのはフォガットの「スローライド」という楽曲です。
リリースは1975年でフォガットは1970年代初頭に結成されたイギリスのロックバンドです。
イギリスのバンドですが、サウンド面ではアメリカ的でサザンロックのような土臭さ香るサウンドが特徴のバンドですね。
とくにアメリカで人気のバンドでした。
このスローライドはゆっくりと進むとかゆっくり乗るみたいな意味になると思うのですが、この曲を自信家で若干スピード狂気味のハングマンさんが好きな曲と皮肉めいていっているのがとても光るシーンですね。
おそらく、ルースターさんの安全面を第一に考える飛行スタイルへの皮肉かと思います。
ソースミュージック5 グレート ボールズ オブ ファイア
そしてバーでのソースミュージックの最後は
29:30
ルースターさんがピアノを弾きながらみんなで歌うシーンです。
この演奏はジェリー・リー・ルイスさんの「グレート ボールズ オブ ファイア」という楽曲です。
演奏しているルースターさんと当時のグースさんを重ねてしまうシーンは印象的ですね。
1作目のトップガンでもこの楽曲は演奏されていました。
それを息子であるルースターさんが演奏しているのは少しエモいですよね。
さらにもう一つここでの演奏には意味を持たせています。
ピアノを弾く前にジュークボックスのコンセントを抜いて演奏しています。
このコンセントを抜くのは、先ほどのハングマンさんによるスローライドという皮肉に対してのルースターさんのアンサーになっています。
このシーンではみんながこの歌を歌って楽しそうにしています。
ルースターさんはビビって安全面に気を遣っているわけではなく、父の死を受けて皆が無事で帰ってくることを願っているということになります。
そのため、スローライドが演奏されているジュークボックスのコンセントを抜くシーンが追加されているわけですね。
それがわかるのが、映画のラスト付近、マーヴェリックさんが敵機に単身狙われているのを、帰還命令を無視して助けたシーンの伏線がこのシーンになっているわけですね。
とてもいいシーンです。
この後は、新作に伴った挿入歌が2曲登場します。
これは挿入歌なので、軽くふれる程度にしておきます。
挿入歌1 アイ エイント ウォーリード
ひとつは
1:00:24
訓練生の団結力を高める訓練として海でアメフトをやるシーンです。
この時演奏されているのはワンリパブリックの「アイ エイント ウォーリード」という楽曲です。
楽しそうなシーンで盛り上がるのですが、どこかエモい楽曲ですね。
夕方がとても合う青春っぽいシーンです。
挿入歌2 ホールド マイ ハンド
そしてふたつめは
2:00:58
最後に恋人のペニーさんとフライトするシーンです。
演奏されているのはレディガガさんの「ホールド マイ ハンド」という楽曲です。
ラストに相応しい感動的なバラードですね。
これまた夕方をフライトするシーンはどこかエモいです。
【エンディング】
というわけで、ソースミュージックを見てきました。
初めは前作のトップガンでも使われた楽曲やその当時の音を感じさせる電子楽器が多く使われていました。
そしてバーのシーンでは、ロックを中心にキャラクター性やジュークボックスのラインナップにありそうな楽曲が選ばれていました。
心なしかイギリスのバンド多めだったかもしれませんね。
その中でルースターさんのキャラクター性を感じさせる作りは面白かったですね。
映画の中でも重要な役割を担うため、丁寧な紹介がされていたように感じます。
次回もトップガン マーヴェリックとサブスクリプションでは「ミッションインポッシブル2」をやろうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
ではまた!
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