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#51【モンスターズ・ユニバーシティ】ep.1「人間視点で描かれる、モンスターの物語」

※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#51にあたる内容を再編集したものです。

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【モンスターズ・ユニバーシティについて】

 2013年公開
 
 監督:ダン・スキャンロン
 音楽:ランディ・ニューマン

作曲家紹介

 ランディ・ニューマンさんは、叔父がアフルレッド・ニューマンさん、エミール・ニューマンさん、ライオネル・ニューマンさんという音楽家一族であるニューマンファミリーの生まれで、#43 映画ショーシャンクの空の回で音楽を担当されていたトーマスニューマンさんは従兄弟にあたります。
 元々はソングライターとして活躍していた中、1980年頃からサウンドトラックの仕事が増えていきます。
 カントリーやジャズの文脈を得意とする一方、オーケストレーションも非常に優れた作曲家で、楽曲はどれもユーモアに溢れていて、堅苦しい音楽よりは自由で多彩な表現を音楽に取り込むのが特徴と言えます。
 その表現力はピクサー映画で多く発揮され、今回のモンスターズインクシーリズはもちろん、トイ・ストーリーシリーズやバグズライフ、カーズなど多岐に渡り音楽を聴くことができます。

作曲家作品

 サボテン・ブラザース
 レナードの朝
 マーヴェリック
 トイ・ストーリー
 ジャイアント・ピーチ
 カラー・オブ・ハート
 バグズ・ライフ
  トイ・ストーリー1、2、3、4
 ミート・ザ・ペアレンツ1、2
 モンスターズ・インク、モンスターズ・ユニバーシティ
 マイクとサリーの新車でGO!
 シービスケット
 カーズ
 プリンセスと魔法のキス

登場人物

 マイク・ワゾウスキ:
 1つ目で緑色のモンスターで、努力家。
 
 ジェームズ・P・サリバン(サリー):
 毛むくじゃらのモンスター。
 有名な怖がらせ屋の家系だが、才能にあぐらをかいている。
 
 ドン・カールトン:
 ウーズマ・カッパの部長。
 元セールスマン。
 
 スコット・スクイブルス(スクイシー):
 ウーズマ・カッパのメンバー。
 小柄な5つ目で、影が薄い。
 
 アート:
 ウーズマ・カッパのメンバー。
 紫の毛むくじゃらで、自由に形を変えられる。
 
 ペリー兄弟(テリとテリー):
 ウーズマ・カッパのメンバー。
 1つの体に2つの頭を持つ。
 
 ジョニー・ワシントン:
 ロアー・オメガ・ロアーのリーダー。
 サリーをRORに勧誘するが、成績が落ちると拒絶するようになる。
 
 ランドール・ボッグス(ランディ):
 紫のトカゲのようなモンスター。
 マイクのルームメイトで、ロアー・オメガ・ロアーのメンバーになる。
 
 ディーン・ハードスクラブル学長:
 MUの学長で、伝説の怖がらせ屋。
 マイクとサリーを怖がらせ学部から追放する。
 
 デレク・ナイト教授:
 怖がらせ学部の教授。

あらすじ

 モンスターたちの暮らす世界「モンスターワールド」では、人間の子供たちの上げる悲鳴をボンベに集め、街のエネルギー源としていました。
 1つ目の小さなモンスター、マイクさんもそんなモンスターワールドで暮らす一人。
 幼い頃から子供たちの悲鳴を集める「怖がらせ屋」に憧れて、勉強の末、晴れてモンスターズ・ユニバーシティ(MU)へ入学することになりました。
 マイクさんの選んだ「怖がらせ学部」では、いかに人間の子どもたちを脅かすか、その技術や知識を学ぶため沢山のモンスターが在籍していました。
 そして、有名な怖がらせ屋を代々輩出してきたサリバン家のサリーさんも、マイクさんと同じ学部に所属していたのでした。
 小さな体でも努力してMUに入学したマイクさんと、生まれつき恐ろしげな容姿を持ったエリートのサリーさん。
 対称的な二人はなかなか反りがあいませんでした。
 やがて学期末の試験がやってきます。マイクさんとサリーさんは待ち時間の間、いつものようにつまらない喧嘩を始めてしまいます。
 そして喧嘩の末、二人は誤って学長の悲鳴ボンベを壊してしまいました。
 これを見た学長は、マイクさんには怖がらせ屋に必要な資質が、サリーさんには努力が足りないと言って学部から追放してしまいます。
 夢を諦めきれずなんとかして学部に戻る方法はないか考えるマイクさんでしたが、そんな折、MUの伝統行事である「怖がらせ大会」のチラシが目に入ります。
 そして学長にかけ合い、大会で優勝したら学部に復帰させてほしいと交渉します。
 負けたら退学という条件付きで訴えを認められたマイクさんですが、出場のためには6人のメンバーが必要です。
 冴えないクラブ「ウーズマ・カッパ」のメンバーを加え、なんとか5人までは集まったのですが、最後の一人が足りません。
 そんな中最後の一人として名のりを上げたのは、同じく学部を追放されてしまったサリーさんでした。
 気に食わないながらも渋々サリーさんをメンバーに加え、こうして大会への出場が決まったマイクさんたち。
 しかしいざ開かれた大会では、前途多難でした。ウーズマ・カッパのメンバーはみな落ちこぼれで、1回戦目の障害物競走ではチームは最下位になってしまいます。
 他のチームが違反で脱落したおかげでなんとか2回戦へと進むことができましたが、次の試合のでもやはり苦戦を強いられます。
 しかし最後にはチームのメンバーそれぞれの個性を活かし、見事2回戦も突破することに成功します。
 そして勝利に舞い上がったチーム一同は、その夜開かれた大会のパーティーに参加します。
 浮かれて踊るウーズマ・カッパのメンバーたちですが、それは優勝候補のチーム「ロアー・オメガ・ロアー」のリーダー、ジョニーさんの仕組んだ罠でした。
 パーティー会場でペンキをかけられたマイクさんたちは、その姿を写真に撮られ、翌日には学校中に写真が張り出され皆の笑いものにされてしまいます。
 これには意気消沈してしまうメンバーたちですが、マイクさんは皆をはげますため、彼らを連れてプロの怖がらせ屋たちが働く「モンスターズ・インク」を訪れます。
 そこで働くのは多種多様なモンスターたちでした。姿は違っても自分の個性を活かして活躍するプロたちを見て勇気づけられた一同は、再び自信を取り戻し次々と試合を勝ち抜いていきます。
 そしてついにやってきた決勝戦。ロアー・オメガ・ロアーを相手に団体戦が始まりました。
 しかし厄介なことに、最後の種目は「シュミレーターを相手にどれだけ悲鳴を上げさせられるか」という、マイクさんが最も苦手とする形式の競技だったのです。
 

【面白いのは視点の違いから起こる音楽のギャップ】

 今作のモンスターズユニバーシティは前作モンスターズインクから2作目で、主人公のマイクさんとサリーさんがどのように出会ったか、そしてモンスターズインクで働き始めたかがわかる前日談といった内容になっています。
 今回のメインとなるのは怖がらせ屋という、子供の悲鳴をエネルギーに変える仕事についてです。
 マイクさんは小さい時に訪れた社会科見学で、モンスターズインクという会社を訪れていまして、そこで怖がらせ屋への憧れを募らせ怖がらせ学科のあるモンスターズユニバーシティに入学するというのが今回の始まりとなります。
 なんだかモンスターとか怖がらせ屋といった物騒な名前が登場しますが、映画は終始明るくモンスターも怖い感じのモンスターではなく愛嬌があります。
 さすがピクサーといったところですよね。
 そして残念なお知らせなのですけれども今回のモンスターズユニバーシティのOSTは、アップルミュージックおよびサブスク関係にはないのでお聴きになる際はCDをお求めになるなどの工夫が必要です。
 ですので、今回は曲名の紹介はないのでご了承ください。
 そして今作に限らずモンスターズインクはシリーズを通してコメディ映画です。
 そこにランディー・ニューマンさんのユーモア溢れる楽曲が合わさることで、怪物は可愛らしく、まるで人間ドラマを見ているような錯覚に陥ります。
 それこそがこの映画の最大の魅力のひとつとも感じました。
 それはこの映画に登場するものは見せ方一つでとても恐ろしく見えるということです。
 例えば、子供部屋に怪物が忍び込み驚かせては帰っていくってそれだけ聞くと怖いとなるのですが、視点は常に怪物であるモンスター側にあって、人間の登場回数自体も多くありません。
 ですのでそのモンスターの常識やモンスター自体の生活を観ている人に意識させる必要があります。
 それがわかりやすく登場するシーンが、映画冒頭に出てきます。

音楽のギャップ シーン1

 0:45
 平和な住宅街と鳥のさえずりにスローテンポで爽やかな音楽が演奏されます。
 ここまでは映画の冒頭に相応しい始まり方ですよね。
 とても和やかな映画のスタートを切りますが、10秒でそのシーンを裏切ります。
 道路に鳩が一匹降りてきて、音楽は唐突に止まります。
 その後鳩の顔は二つ付いていて、片方は叫び声をあげ、もう片方は舌を伸ばしてなにかを食べます。
 これは音楽のストップアンドゴーを使った、とてもコメディらしいスタートですね。
 この映画はこの始まりで最高のスタートを切ることができます。
 観ている人へのインパクトとモンスターの穏やかな日常、それとコメディであるということを一気に感じさせることができます。
 このシーンでもスローテンポで爽やかな音楽が突然止まり、社会科見学に向かう子供のモンスター達を乗せたスクールバスが到着する頃に音楽がまた演奏されます。
 このあたりはさすがですよね。
 この音楽のストップアンドゴーはこの映画でとてもよく使われます。
 音楽は演奏され続けるわけではなく映画の内容に合わせた、マウジングに近い効果を与えていますね。
 正確にマウジングではないですが、コメディとしての映像と音楽のリンクが効果的に使われています。
 そしてこの映画の根幹とも言えるシーンが登場します。

音楽のギャップ シーン2

 3:03
 モンターズインクの怖がらせ屋の登場です。
 ここは非常に効果的な音楽の使い方がされています。
 それは、怖がらせ屋にヒーロー音楽が使われていることです。
 このことで、マイクさんの中に怖がらせ屋になりたい、憧れのようなものが芽生えるシーンだと印象付けています。
 人間目線で考えると、よくわからない怖がらせ屋という職業をヒーロー音楽を使うことで、見事に憧れの職業に演出しています。
 このように劇中の音楽はホームドラマのような親近感とコメディの要素であるユーモアの両面からアプローチをすることで、怪物でありながら親近感を覚える擬人化の手助けをしています。
 この擬人化に対してのこだわりが半端じゃありません。
 この再現度の高さがこの映画の大きな魅力の一つですね。
 その他にもソースミュージックの手法を用いることで擬人化を図っています。

音楽のギャップ シーン3

 51:47
 怖がらせ大会の上位チームが呼ばれるパーティにウーズマカッパが遊びに行くシーンです。
 ここではダンスミュージックが使われています。
 場の状況に合わせた楽曲を選択することで、状況に説得力を持たせる手法ですね。
 詳しくは#7 バックトゥザフューチャーでやっていますので、まだの方は是非聴いてみてください。
 このようにリアリティを出す手法も用いることで、現実にモンスター達もDJのいるパーティを楽しんでいるという実感を感じることができます。
 少し余談ですが、このパーティのシーンで演奏されている楽曲は、アクスウェル&イングロッソさんの「Roar」という楽曲で、いわゆるハウスというジャンルの音楽です。
 ハウスというジャンルは古く1970年代に登場したジャンルなのですが、楽曲の雰囲気とこの楽曲が2009年発表の音源ですので、モンスターズユニバーシティは2010年前後の世界観のように感じ取ることができますね。
 このパーティシーンというのは映画にもよく登場しますが、そのつどクラブシーンでは流行りの音楽や最先端の音楽を流しています。
 そのため時代性が反映されやすく、当時このようなものが流行っていたんだなと時代性を感じることができる貴重なシーンだったりするんですよね。
 すこし脱線しましたが、この映画にはヒューマンドラマのような仕掛けがたくさんあります。
 観ている時にモンスターをモンスターと意識させずに人間をみているかのように感情移入させるため、たくさんの仕掛けが用意されているというわけですね。
 それが音楽でもたくさん登場していたというわけです。

【効果音を優先した音楽の仕掛け】

 映画の中では音に優先度というものがあります。
 大きく分けて、セリフ、効果音、そして音楽ですね。
 わかりやすいところで言うと、セリフが大切なシーンではメロディの要素を減らしたり、楽器編成を減らしたりなど音楽に耳が引っ張られないようにする工夫がされたりします。

効果音を優先したシーン1

 58:24
 マイクさん率いるウーズマカッパが学校中の笑いものにされ、チームの気持ちが離れ離れになっている時、マイクさんの提案でモンスターズインクという怖がらせ屋のいる会社に皆で夜に忍びこむシーンです。
 ここではスニーク音楽から、ヒーローの要素と明るいバラードの要素を併せ持つ楽曲にシフトします。
 その際明確なメロディが演奏されるのですが、セリフが登場するシーンではメロディを延ばしたり、編成を小さくしたりとセリフと被らないようにしています。
 このシーンでは皆が憧れていた怖がらせ屋をみて、マイクさんが怖がらせ屋で働いているモンスター達の個性について話す大事なセリフがあります。
 そのセリフが最も重要なので、音楽ではこのシーンがポジティブであることと元気溢れるイメージではなく、しっとりとバラードのイメージを伝えられればいい仕事ができているということになります。
 このように音の優先度が常に最善を選択することで、場面が何を指し示しているのかを明確に表現しているわけですね。
 しかしそこまではどの映画でもある話で、以前取り扱った映画でも登場してきました。
 今回の大きな違いは、コメディ要素です。
 コメディ映画に登場する表現の一つとして、音楽のストップアンドゴーを巧みに使うことで、ここは見どころですよというのをうまくコントロールしているわけです。

効果音を優先したシーン2

 43:42
 怖がらせ大会の第1回戦でマイクさんとサリーさんがゴールを決める直前のシーンです。
 ビッグバンド形式の楽曲が盛り上がっていき、最後にゴールに向かって飛び込む二人がスローモーションになる瞬間音楽は止まります。
 そして着地とともにスローモーションが終わり、音楽が再び演奏されます。
 このシーンは第1試合のレースがストップアンドゴーを用いる要因となっています。
 争う相手が違う二人(マイクさんとサリーさん)の不毛にも劇的なゴールシーンがついつい吹き出してしまいますよね。

効果音を優先したシーン3

 47:15
 第2戦目の図書館の図書館員に見つからないように、旗を回収する競技です。
 図書館員というのは音に非常に敏感な方で、床の軋みすら許さず音を鳴らしたものを容赦無く窓の外へと放り投げてしまいます。
 ですので、ここで演奏されるのはスニーク音楽ですね。
 ウーズマカッパはとにかく静かに図書館のど真ん中を歩きます。
 その際に歩く、止まる、ジェスチャー(動き)をするこの一連の行動を繰り返すシーンでストップアンドゴーが使われますね。
 この時は重要な音が出てくるというよりは、動きに合わせたマウジングのような効果がありますね。
 次のシーンでストップアンドゴーが使われます。
 47:59
 普通に図書館を利用していた学生が床を軋ませてしまいます。
 その時に演奏は床が軋む音に合わせて止まります。
 その後図書館員ギロリと睨んで、恐ろしい音楽が演奏されるというわけですね。
 このシーンを音の優先度でみていくと、初めはスニーク音楽を演奏することで場の緊張感を出していますよね。
 次に学生が立ち上がると演奏は止まって「ギィィ」と軋む音が鳴ります。
 最後に図書館員がギロリと睨むと怖い音楽が演奏されます。
 このように音楽、効果音、音楽の順で音の優先度は移動します。

効果音を優先したシーン4

 逆のパターンもあります。
 35:11
 サリーさんが初めてウーズマカッパのみんなと顔合わせをした時のシーンです。
 チーム内にいるアートさんから夢日記をつけなよとノートを渡されます。
 その時に、とてもファンシーな表紙をみて、ファンタジーのようなグロッケンとエレクトリックピアノの音が演奏されます。
 これも音の優先度の移り変わりといえますね。
 移り変わりを見ていくと、初めはアートさんのセリフがあります。
 これはアートさん初セリフのシーンで、キャラクターの方向性を示す必要があるためセリフは最も重要視されます。
 その後、怖がらせ屋とは真逆と言えるファンシーなノートを強調するため音楽が優先されます。
 そのあとはスクイシーさんの初セリフがあるため、音楽はすぐに演奏を止めて、画面もスクイシーさんにフォーカスします。
 このシーンではとにかく怖がらせ屋に向かないチームであることを優先的に演出するために、音楽が優先されていますね。

効果音を優先したシーン5

 次は流れを分断するためのストップアンドゴーです。
 このシーンは実際ストップしているだけなのですけれども、面白い効果なので紹介します。
 1:30:30
 最後の方のシーンです。
 大会の不正と人間界へのドアの無断使用で学校を退学になった二人は最後の別れの挨拶をします。
 マイクさんはバスに乗り、サリーさんが見送る形で別れるシーンですね。
 マイクさんはバスから学校を眺め悲しい表情を浮かべます。
 この時に演奏は止まり、サリーさんが突然窓から「ワゾンスキー!」といってしがみつきます。
 ビックリするのですが、ストップという意味で捉えると演奏が止まることで驚きの補強をしています。
 これだけでもうまいのですが、大切なのはその前からこのシーンへの音楽的な伏線が引かれていることです。
 ここまでの間に楽曲は悲しいバラードが演奏されているのですが、いつから演奏されていたかと言うとこの前のシーンのウーズマカッパと別れるシーンで演奏は始まっています。
 そのシーンではウーズマカッパの面々は怖がらせ学部に復学が叶い、それをマイクさんとサリーさんは喜びながらも内心はどこか悲しい、そんなシーンです。
 そのなかで楽曲は何回かのカデンツ(終始形)を経由しています。
 カデンツ(終止形)は楽曲の繋ぎ目、もしくは終わりに使われる進行で文章で言うところの句読点みたいなものです。
 それがバスに乗っているマイクさんの横顔と遠くに見える学校で演奏され、楽曲は収束していくのですが、まだ続きが演奏されそうな雰囲気を持ちながら突然のサリーさんです。
 なにが言いたいかと言うと、唐突に音楽をぶつ切りにしていないということなんです。
 悲しいバラードがこの後も演奏されそうな雰囲気を残しているというのが、このシーンの素晴らしいところなんですよね。
 例えばですけれども、このような展開の楽曲があったとします。
 (演奏)
 このような終わりそうなカデンツはどこかまだ続くんじゃないかという気持ちを残しているのに、演奏が止まるということですね。
 なんだかちょっとわかりづらい説明になっちゃいましたけど、作曲によって後ろ髪を引かれるようなまだつづくんじゃないかと思わせて、演奏をストップさせることがとても叙情的に機能していますね。
 そんな様々な音の優先度が常に選択されていて、この選択の多さと大胆な使い方がユーモラスな演出として機能して、コメディとして観客に認識させる工夫がたくさんされていました。
 一歩使い方を変えればホラーとしての演出として使えるのがおもしろいですよね。
 ホラーとコメディは紙一重なのかもしれませんね。

【エンディング】

 今回は音楽によって視点が変更されている話とコメディ音楽で多く使用されるストップアンドゴーについて見てきました。
 映画の作りとして、モンスターが出てくるけどホラーではなくて、愛嬌があるのに怖がらせ屋の話というギャップにこそ、この映画の魅力が詰まっているように感じますね。
 そのギャップを不自然に感じないような工夫が音楽でもたくさんみることができる作品でした。
 次回ですがサブスクリプションではトイストーリーから1曲やるので、興味のある方は初月無料ですのでぜひ聴いてみてください。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
 podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
 ではまた!

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