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#32【レディ・プレイヤー1】ep.2「オマージュという奥深き世界を、堪能しまくれる映画です」

※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#32にあたる内容を再編集したものです。

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【レディ・プレイヤー1について】

2018年公開

監督:スティーヴン・スピルバーグ
音楽:アラン・シルヴェストリ

登場人物

ウェイド・オーウェン・ワッツ / パーシヴァル:
主人公の少年。イースターエッグを探すガンターの一人。

サマンサ・イヴリン・クック / アルテミス:
IOI社に対抗するレジスタンス活動をおこなっている少女。

ヘレン・ハリス / エイチ:
ウェイドの親友。現実世界では女性。

ゾウ / ショウ:
ウェイドの友人。現実世界では11歳の少年。

トシロウ / ダイトウ:
ウェイドの友人。現実世界では日本人の青年。

ノーラン・ソレント:
IOI社のCEO。暴力的な手段でイースターエッグの鍵を手に入れようとする。

アイロック:
ソレントに雇われてウェイドを追うプレイヤー。

ジェームズ・ドノヴァン・ハリデー / アノラック:
「オアシス」の開発者。


【前回の振り返り】

 前回はメインテーマについてみてきました。
 6つのシーンをみてきて、イースターエッグが動機で演奏されていたと思っていましたが、蓋を開けてみれば、主人公のポジティブで力強く前進していく時に演奏されていることがわかりました。
 さらに第1主題と第2主題がうまく機能していたのをみてきました。


【劇中に登場する他作品からの引用】

 レディープレイヤー1という映画では、VR世界の中で様々な世界観が共存しています。
 例えば、アニメーションのガンダムが登場したりですとか、映画キングコングが登場したりですとか、テレビゲームのドゥームが登場したりですとか、ゲームや映画、アニメーション作品のキャラクターや世界観がたくさん登場します。
 それを見つけるだけでも非常に面白い映画となっている今作ですが、ここでは映画音楽の中で登場する他作品を見ていきたいと思います。
 ヴィジュアル的な意味での他作品の登場よりかは少し物足りなく感じるかもしれませんが、非常に痺れる使われ方がされていた3作品をみていこうとおもいます。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

 まずは、
0:48:51
 
ここで使われているのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ですね。
 やはり、本作と同じくアラン・シルベストリさんが音楽を担当されているからこそ可能な演出ですよね。
 そして使われ方も面白いですね。
 ディスコでダンスをしていた主人公とサマンサさんが、IOI社に突如襲われて逃げる際に、ゲーム内のアイテムとして登場するゼメキス・キューブという時間を止めるアイテムを使用した時に演奏されます。
 ここが洒落てますね。
 主人公が乗っている車がバック・トゥ・ザ・フューチャーで登場したデロリアンなのですが、ここでは演奏されないんです。
 映画内ではちょこちょこバック・トゥ・ザ・フューチャーネタが登場するのですが、そこでは演奏されないで、この時間を止めるアイテムを使った時に演奏されるというのがバック・トゥ・ザ・フューチャーにかかっていますね。
 しかもこのゼメキスキューブというのは、おそらくバック・トゥ・ザ・フューチャーの監督であるロバート・ゼメキス監督の名前から来てるのではないかなと思います。
 非常におもしろいオマージュです。
 この時に演奏されるのは、もちろんメインテーマですね。
(演奏)
 このメインテーマはやはりいいですね。
 この1フレーズだけですぐに映画が浮かぶのは、すごいですね。
 そして時が止まってからがまた面白くて、こんな音が入ります。
(演奏)
 この音はシーズン2 バック・トゥ・ザ・フューチャー ep2でもお話ししているので、聴きなおしてみるとおもしろいと思いますので、ぜひご興味がありましたら聴いてみてください。
 この音がゼメキスキューブが起動した時に演奏されます。
 なので、メインテーマの1フレーズだけがオマージュなのかなと思わせておいて、この音までがバック・トゥ・ザ・フューチャーのオマージュでした。
 そしてこの音の使い方が他にもありまして、
1:59:15
 3つめの鍵を手に入れて、ゲーム内のハリデーさんの過去の映像に入るシーンです。
 ここでは過去に移動する時に使われています。
 やはりこのような超常的で神秘的、もしくはミステリアスな時にアラン・シルベストリさんがよく使う手法です。
(演奏)
 この音の並びは非常に不思議な印象を受ける音ですね。
 楽器もハープやオーケストラベル、ビブラフォンが使われていますね。
 これらの楽器が不思議で超常現象的なイメージとの相性が抜群です。
 やはりバック・トゥ・ザ・フューチャーのオマージュは音楽の担当も同じということで、使い方も非常におもしろいですね。

シャイニング

 続きまして、
1:04:20
 
ここは「シャイニング」の映画の中に入るシーンです。
 シャイニング は1980年公開スタンリー・キューブリック監督のホラー映画です。
 この映画の中に入ってしまうというなんとも怖い話なのです。
 これはおそらくアップルミュージック ザ・シャイニング セレクション フロム ザ オリジナル モーション ピクチャー サウンドトラック1曲目に収録されているメインテーマ ザ シャイニングという楽曲を使用しているかなという感じがします。
 レイチェル・エルカインドさんとウェンディ・カルロスさんが音楽を担当されています。
 非常に怖い音楽の作り方はいつかこのポッドキャストでやろうと思うのですが、なにせホラー映画が苦手でして、僕自身が耐えきれない恐れがあるので、そのうちやろうと思います。
 ここは映画の中に入っていく時から演奏されていて
1:04:59
から演奏は雰囲気を大きく変えます。
(演奏)
 この楽曲もシャイニング内で演奏されていた楽曲で、シャイニングでは植え込みの迷路を親子で歩いているシーンで演奏されていた楽曲です。
 非常におっかない感じの楽曲ですね。さすがホラー映画です。
 そして
1:06:36
 仲間のエイチさんが237号室に入ると、シャイニング本編でも有名なお風呂場から女性が出てくるシーンが始まります。
 このシーンでも、原作シャイニングと同じ音楽が演奏されています。
 この際メインテーマはオリジナルの音源が使われていたのですが、他2つは新たに録音されたものが使われていました。
 これはどうやらシャイニングのサウンドトラックというのが、メインテーマとロッキー山脈の2曲しか収録されていないのが関係しているのかもしれません。
 実際は当時の録音のものがなかったためなのか、映像の尺の問題でオリジナルの音源では尺が合わないからなのかは藪の中ですね。
1:08:51
で今一度、原作で植え込みの迷路を親子が歩いているシーンで使用された音楽が演奏されます。
 シーンとしては、アルテミスさんが鍵の謎の真相に気づき始めるシーンです。
 ミステリアスな楽曲が謎を解決していく様と非常にマッチしています。
1:09:08
 ホールからなんだか小粋なジャズが聴こえてくるシーンです。
 このホールではゾンビがパーティーしていて、その中にいるキーラさんを救い出せば鍵を手に入れられる、そんなシーンで演奏されます。
 この楽曲はアップルミュージック ザ シャイニング ザ コンプリート ブリティッシュ ダンス バンド サウンドトラック1曲目に収録されている「ミッドナイト ザ スター アンド ユー」という楽曲です。
 この楽曲はシャイニングの中でも舞踏会の写真が出てくるシーンとエンドロールで演奏されています。
 かなり細かいオマージュがされていて、原作のラストに登場する舞踏会と、本編に登場する鍵の舞踏会がうまくかかっていて、シャイニングを観ていると2度美味しい仕掛けになっていました。

ゴジラ

 そして最後に
1:39:53
 メカゴジラが登場するシーンです。
 ここはもう言わずもがなゴジラ登場が演奏されています。
(演奏)
 ただオリジナル版ではなく、この映画用にアレンジし直されていました。
これもまた貴重ですね。
 もちろんオリジナルはいふくべ あきら大先生の作曲なのですが、それを現代にアランシルベストリさんがアレンジをしなおすことは、この映画がなかったら、あり得たかったことですね。
 なので、アクション音楽の要素が入った演奏になっているのが非常におもしろいですね。
 アクションの要素というのはオリジナルにはなく、もう少し重たくじわじわと近づいてくるようなイメージを抱くのですが、今回は激しい戦闘が用意されているので、そのシーンに合わせるように演奏されています。

劇中に登場する他作品からの引用 まとめ

 今回はこの3作品をみてきました。
 他にもアイアンジャイアントやキングコングなど、登場時に演奏の雰囲気が変わるものもあったのですが、この2作にはあまり詳しくないもので音楽がオマージュとして使われていたかは定かではないのですが、他にも他作品からの引用があるかを探しながら見ていくと、まだまだ楽しみが残っている映画ですね。
 そしてあえて取り上げなかったのですが、レディープレイヤー1という映画はソースミュージックが多分に使われています。
 すべてあげるとキリがないので、今回はソースミュージックには触れませんが、合わせながらみるとさらに面白さが倍増します。


【エンディング】

 というわけで2回に渡ってレディープレイヤー1をやってきました。
 メインテーマを中心に第1主題と第2主題の使い分けかたや、どのようなシーンで使われていたかをみてきました。
 そして今回は深い深いオマージュの世界をみてきました。
 ただの引用ではなく、必要に応じたアレンジやオリジナルとは違う解釈で演奏されるシーンがあったりと様々で、非常に面白かったです。
 そしてなにより、アランシルベストリさんならではのバック・トゥ・ザ・フューチャーの使い方がやはりテンションが上がってしまいます。
 次回は「インディ・ジョーンズ / 最後の聖戦」、シリーズの3作目ですね。こちらをやっていこうと思います。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
 podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
 ではまた!

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