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#55【風の谷のナウシカ】ep.1「電子楽器が占める世界観」

※この記事はPodcast番組「映画にみみったけ」内のエピソード#55にあたる内容を再編集したものです。

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【風の谷のナウシカについて】

 1984年公開
 監督:宮崎駿
 音楽:久石譲

作曲家紹介

 久石譲さんについては言うまでもないかもしれませんが、軽く作家紹介をしていきます。
 ジブリ作品をはじめ、北野武監督作品や山田洋次監督と言った日本を代表する監督の作品を多く手掛けていて、一度聴いたら忘れられないメロディをたくさん世に輩出しています。
 久石譲さんの名前の由来はアメリカの音楽家「クインシー・ジョーンズ」さんから来てるそうです。
 久がカタカナのク、石がインシー、譲がジョーンズからとったそうです。
 小説家の江戸川乱歩さんのようですね。
 そんな久石譲さんはミニマルミュージックを深く研究していたようですね。
 それがわかるのが今回の「風の谷のナウシカ」です。
 もののけ姫では壮大なストリングス、魔女の宅急便では軽快なウッドウィンドウ(木管楽器)などオーケストラのイメージがありますが、もともとは電子楽器を使ったミニマリズムに基づく音楽が彼の根底にはあるようです。
 そんな久石譲さんの音楽を見ていこうと思います。

作曲家作品

 風の谷のナウシカ
 天空の城ラピュタ
 となりのトトロ
 魔女の宅急便
 紅の豚
 もののけ姫
 千と千尋の神隠し
 ハウルの動く城
 崖の上のポニョ
 風立ちぬ
 かぐや姫の物語
 キッズ・リターン
 HANA-BI
 菊次郎の夏
 BROTHER
 Dolls
 釣りバカ日誌2
 パラサイト・イヴ
 おくりびと
 海獣の子供
 二ノ国

登場人物

 ナウシカ:
 風の谷の族長の娘。
 
 ジル:
 風の谷の族長。
 
 ユパ・ミラルダ:
 ジルの友人で、ナウシカの師。
 
 ミト:
 城で働く男。眼帯をしている。
 
 大ババ:
 風の谷の長老。
 
 アスベル:
 ペジテ市の王子。
 
 ラステル:
 アスベルの妹。
 
 ペジテ市長:
 アスベルとラステルの父。
 
 クシャナ:
 トルメキア皇女。
 
 クロトワ:
 トルメキア軍参謀で、クシャナの部下。

あらすじ

 「火の7日間」と呼ばれる戦争によって高度な文明が崩壊した後の世界。
 汚染された大地の上では「腐海」と呼ばれる異様な菌類の森が毒を撒き散らし、巨大な蟲たちがはびこっていました。
 年々人の住める土地が減っていく中、海沿いの小国「風の谷」は潮風によって瘴気から守られ、人々は穏やかな暮らしを送っていました。
 そんな風の谷を治める族長の娘ナウシカさんは、森に住む蟲たちを愛する優しい心の持ち主で、谷の人々からも大変慕われています。
 しかしある夜、風の谷に軍事大国トルメキアの商船が墜落します。
 船には近隣の都市国家ペジテの王族であるラステルさんと、正体不明の肉塊のような荷が積まれていました。
 鎖で繋がれた姿のラステルさんは瀕死の重傷を負っており、「積荷を燃やして」と言い残してそのままナウシカさんに看取られたのでした。
 そしてそののち、事故を知ったトルメキアは艦隊を率いて風の谷に来襲、谷を占領し族長であるジルさんは殺害されてしまいます。
 父親を殺された怒りに一時は我を忘れるナウシカさんでしたが、これ以上の死者を出さないためにトルメキアに従うことになりました。
 トルメキアの狙いは先日墜落した船の積荷、火の7日間を起こした巨大兵器「巨神兵」でした。
 そしてトルメキア皇女クシャナさんはこの巨神兵を蘇らせ、腐海を焼き払うつもりだといいます。
 谷の人々を従わせるため、人質として城の老人たちとともにトルメキア船に乗せられてしまうナウシカさん。
 しかし船旅の途中、艦隊はペジテの戦闘機に急襲されてしまいます。
 なんとか炎上する船からクシャナさんとともに脱出し、腐海に不時着した谷の老人たちと合流したナウシカさんですが、
 森では先程船を襲ったペジテの王子であり、ラステルさんの兄にあたるアスベルさんも遭難していました。
 虫に襲われて崖から落ちたアスベルさんを救出したナウシカさんは、そのまま森の底に落下してしまいます。
 そして気がついてみると、そこは枯れた腐海の木々が砂となって積もり、清らかな水をたたえた清浄な空間でした。
 腐海の植物は、大地に蓄積された毒素を分解し、世界を浄化していたのです。
 こうして腐海の役割を知ったナウシカさんは、アスベルさんとともにトルメキアの暴挙を食い止めるべく一時ペジテへと向かいます。
 しかしペジテの都市はすでに蟲たちによって破壊し尽くされた後でした。
 生き残ったペジテの住民いわく、ペジテを占拠したトルメキア兵に対抗するべくペジテの市民自らが蟲を誘導して都市を襲わせたのだそうです。
 そしてペジテの次の目標は、巨神兵の居る風の谷でした。
 計画を知ったナウシカさんはすぐに谷へ知らせに戻ろうとするのですが、ペジテの市民たちに取り押さえられてしまいます。
 そして風の谷でもまた、トルメキア軍が巨神兵復活のための準備を着実に進めていたのです。

【電子楽器とオーケストラ楽器】

 この作品は大きく人間たちと蟲の生きる世界観となっています。
 人間同士の争いや、腐海と呼ばれる猛毒の胞子を出す森が人間の住めない区域として登場する中、風が吹くことで新鮮な空気が供給できる風の谷で小さな集落を形成し、そこで暮らすのが今回の主人公ナウシカさんでしたね。
 その他にクシャナ皇女率いるトルメキア軍は古代生物の巨神兵を復活させ、腐海を全て焼き払うことで人間の住む区域を取り戻そうとしており、それに対し巨神兵の危険性を危惧しながらも、根本はトルメキア軍と同じ考え方のペジテという国が出てきます。
 風の谷、トルメキア、ペジテ、人間たちが腐海とどのように向き合うか、というのが一つのテーマになっているのがこの風の谷のナウシカでしたね。
 ですので、腐海と人間を音楽でも描き分ける必要がでてきます。
 もちろん様々なテクニックを駆使して書き分けているのですが、一番顕著な違いは楽器です。
 というわけで今回は使用楽器が映画にどのような違いを与えているか、それを見ていきたいと思います。
 大きく分けて、楽器は電子楽器とオーケストラ楽器に分けられます。
 電子楽器とは電気信号や波形を用いることでアコースティックな楽器とは違う表現を可能にした楽器のことで、シンセサイザーや今回はエレキギターなども電子楽器として分類したいと思います。
 オーケストラ楽器は大きく、ストリングス(弦楽器)ウッドウィンド(木管楽器)ブラス(金管楽器)パーカッション(打楽器)で構成される編成ですね。
 これらの使用楽器の違いは非常に顕著でした。
 まずは電子楽器から見ていこうと思います。

電子楽器のシーン1

 4:17
 ナウシカさんが腐海を探索している時のシーンです。
 不思議な鳴き声と共に、不思議な音楽が演奏されていたと思います。
 ここではシンセサイザーが使われています。

電子楽器のシーン2

 6:51
 王蟲の抜け殻の目をくり抜いた時、雪のような胞子が降ってくるシーンでもシンセサイザーとグロッケンシュピールのような幻想的な音楽が演奏されています。
 このように落ち着いた腐海では、電子楽器によって幻想的なイメージの音楽が演奏されています。

電子楽器のシーン3

 9:48
 ここはユパ・ミラルダさんが王蟲に追っかけられているシーンです。
 ここでの演奏は非常に鬼気迫る楽曲が演奏されています。
 ゲームのボス戦のようなこのシーンの音楽は、アップルミュージック 風の谷のナウシカ~はるかな地へ~ 2曲目に収録されている「王蟲の暴走」という楽曲です。
 ちなみにOSTでは雪のような胞子が降ってくるシーンから聴くことができます。
 この王蟲の暴走シーンでは、電子ドラムの音とシンセベースというシンセサイザーのベースが耳を惹くなか、印象的なエレキギターの音が鳴っています。
 このギターを弾いているのは、世界的に有名なギタリストの布袋寅泰さんですね。
 ギターは王蟲の鳴き声を模していて、唸るようなサウンドが特徴的です。
 意外というかなんというかですが、まさか布袋さんがこの音を演奏されていたことには驚きですよね。
 そんな危機に瀕するシーンでも電子楽器が使われています。

電子楽器のシーン4

 もう1シーン挙げると、
 58:58
 アスベルさんが腐海で蟲の大群に追われているところを、ナウシカさんが助けるシーンです。
 このシーンでも、電子ドラムにシンセサイザーの音が特徴的ですね。
 というわけで腐海で危機に陥る時にも電子楽器が使われています。
 しかし腐海にいながらオーケストラ楽器が演奏されるシーンも存在します。

オーケストラ楽器が使用される腐海のシーン

 1:05:28
 アスベルさんを助ける際、腐海の流砂に飲まれて地下空間に辿り着き、ナウシカさんが目を覚まし歩き出すシーンです。
 このシーンではオープニングでも演奏されたメインテーマともいえる楽曲が演奏されます。
 腐海のシーンなのにオーケストラ楽器が演奏されるのは、このシーンが映画にとっての主題に迫るシーンだからですね。
 この地下空間の空気は新鮮で、マスクが必要ありません。
 腐海なのに毒が蔓延していないんですね。
 ナウシカさんは綺麗な水と砂では腐海の植物は毒を出さないことを研究で知っていて、それが腐海の地下空間で体現されています。
 森が人間の汚した土や水を綺麗にしてくれていて、この空間は役目を終えた木が石になって砕けて降り積もってできたものだ、ということがわかったシーンですね。
 そのため、ここでは腐海であっても腐海に恐れないことがオーケストラ楽器の演奏につながっていると考えられます。

電子楽器のシーン5

 そうなると気になるのが、
 41:13
 ナウシカさんが毒の胞子を出さない腐海の植物を育てている城の地下室に、ユパさんが辿り着くシーンです。
 先ほどの流れだと、腐海に恐れてない時はオーケストラ楽器が使われるという話だったのに、ここでは思いっきり電子楽器が使われています。
 その理由はナウシカさんの目線でこのシーンが描かれていないからです。
 このシーンはユパ・ミラルダさん視点のシーンだからですね。
 ユパ・ミラルダさんは腐海の植物は毒を出すと思っているので、ここではこれらの植物に恐れています。
 それと電子楽器が演奏されるもう一つの理由が、幻想的であるかどうかです。
 腐海の幻想的な表現としてこの電子楽器を用いているというのが大きな理由になります。
 人間同士のやりとりでも電子楽器が使われているシーンが登場します。

電子楽器が使用される人間に関するシーン

 1:32:26
 トルメキア軍に風の谷のおじいさんたちが捉えられ、その時にナウシカさんが手を綺麗だと言ってくれたというシーンです。
 このシーンでも電子楽器が演奏されています。
 一見腐海にもいないし、人間同士のやりとりなのでオーケストラ楽器が登場しそうですが、このおじいさんは手を病に侵されています。
 この病はどうやら腐海の毒が原因のような口ぶりで、クシャナ皇女が話しています。
 「腐海の毒に侵されながら、それでも腐海と共に生きるというのか」というセリフが出てきます。
 このおじいさんの病はナウシカさんの父であるジル族長と同じ病だそうです。
 ジル族長は腐海の毒で病に伏していたので、これも腐海の毒に影響を受けたシーンということになりますね。
 このシーンの内容としては、ナウシカさんがそんな毒に侵されながらも必死に生きる人の手を見て働き者の綺麗な手といってくれた、クシャナ皇女との違いが描かれたシーンですが、先ほどのクシャナ皇女のセリフや暗い音楽が腐海の毒への恐ろしさも表現しているため、電子楽器が演奏されているというわけですね。

電子楽器 まとめ

 このように腐海にまつわる幻想的な表現や腐海を恐れている表現、さらに蟲の表現としても電子楽器が用いられていたわけですね。
 そうなると腐海の表現として電子楽器が使われていたということになります。

オーケストラ楽器のシーン1

 次にオーケストラ楽器を見ていきます。
 初めにオーケストラ楽器が登場するのは、
 1:44
 映画冒頭のオープニングクレジットのシーンでオーケストラ楽器が演奏されています。
 アップルミュージック アップルミュージック 風の谷のナウシカ~はるかな地へ~ 1曲目に収録されている「風の谷のナウシカ 〜オープニング〜」で聴くことができます。
 このシーンはオープニングクレジットですので、映画の内容に直接的に関与してはいないですね。

オーケストラ楽器のシーン2

 次に登場するのが、
 13:44
 キツネリスのテトくんがナウシカさんに噛みついた後、すいませんでしたって傷を舐めるシーンでオーケストラ楽器が演奏されます。
 この時に風が吹き抜けるような音が収録されています。
 そして軽快な木管楽器がメロディを演奏しています。
 まるでナウシカさんを表したようなそんな印象を受ける楽曲ですよね。
 ということは人間に対しての演奏になります。
 ということは電子楽器と対照的に人間の表現としてオーケストラ楽器が使われているということになりそうですね。

オーケストラ楽器のシーン3

 他のシーンも見ていきます。
 そこからすぐに編成を大きくした楽曲が演奏されます。
 15:07
 ナウシカさんとユパ・ミラルダさんが風の谷に向かうシーンです。
 ここでは向かう道中のダイジェスト的に、風車であったり綺麗な川などが登場します。
 ということは、ポジティブなオーケストラ楽器の楽曲は綺麗な空気や水、土などの表現に生かされているようです。

オーケストラ楽器のシーン4

 次に
 19:55
 ユパさんが旅を続ける理由を大ババ様から教えてもらうシーンです。
 このシーンではコード楽器としてシンセサイザーのアルペジオが使われています。
 しかし、ここで演奏される楽曲でもっと重要な音があります。
 それはギターのような弦楽器と木管楽器です。
 申し訳ないのですが、ギターのような弦楽器は楽器名がわからなかったんですが、この2つの楽器が風の谷が出てくるシーンでよく使われています。
 どこか異国情緒を感じる弦楽器に、風を感じる木管楽器がこの風の谷にはぴったりの表現ですね。

オーケストラ楽器のシーン5

 ちなみに、
 18:11
 風の谷を俯瞰で街全体を見下ろすようなシーンがあります。
 このシーンでも電子楽器が使われているものの、先ほどの弦楽器が登場します。
 これらのシーンではオーケストラ楽器ではないのですが、アコースティックな楽器が使われています。
 電子楽器が入っているのは、この風の谷では腐海の毒を入れず、うまく共存しているから電子楽器が入っているのかもしれませんね。

オーケストラ楽器のシーン6

 次は、
 26:59
 街に残った蟲をナウシカさんが逃がすシーンです。
 ここでもオーケストラ楽器が演奏されているのですが、ここはナウシカさんの活躍やその力が演奏の動機のようです。
 このあたりまでは、各々のキャラクターや世界観などの紹介をしているような感じがしますね。

オーケストラ楽器のシーン7

 そして次に、
 32:00
 トルメキア軍が襲ってくるシーンです。
 非常に鬼気迫る楽曲が、風の谷の危機を煽っています。
 これももちろんオーケストラ楽器ですね。
 人間対人間なので、アクション音楽が演奏されています。
 ジル族長の撃たれる音が聴こえると演奏も止まります。

オーケストラ楽器のシーン8

 次に、
 38:16
 トルメキア軍によって支配下に置かれてしまった風の谷で、軍が巨神兵の卵?みたいなのを回収するシーンです。
 このシーンではアクションの序章のテーマが演奏されています。
 このアクションの序章のテーマは#5「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の回で詳しくやっていますので、興味のある方は聴いてみてください。
 アクションの序章のテーマとは、高カロリー過ぎず、しかしアクション要素を持った楽曲で、この場合は何かを準備している、もしくは軍の侵攻などでよく使われる音楽ジャンルのひとつですね。
 それがここでは演奏されています。
 もちろんオーケストラ楽器ですね。

オーケストラ楽器のシーン9

 そして難しいのが次のシーンです。
 55:39
 ペジテの襲撃を受けたトルメキア軍に人質として乗り合わせていたナウシカさん一行とクシャナ皇女が腐海の湖に不時着した際、王蟲に囲まれて、黄色い触手でナウシカさんが調べられる?シーンです。
 この時はとても神秘的なオーケストラの楽曲が演奏されます。
 アップルミュージック 風の谷のナウシカ~はるかな地へ~ 7曲目に収録されている「王蟲との交流」という楽曲です。
 おそらくこれはナウシカレクイエムの前奏ということになるかなと思います。
 ですので、腐海とか蟲とかは関係なくナウシカさんと王蟲の交流で演奏される楽曲ということだと思われます。
 ナウシカレクイエムはこのようなメロディでしたね。
 (演奏)
 有名なメロディですね。
 この楽曲への繋がりとして演奏されているようですね。
 そして少し飛んで、

オーケストラ楽器のシーン10

 1:28:19
 アスベルさんがペジテに捕えられたナウシカさんを逃すシーンです。
 ここではペジテがトルメキア軍に船ごと襲われて、危険な船内にアスベルさんを残しナウシカさんだけ逃す形になります。
 そのため、非常に高カロリーなアクション音楽が演奏されます。
 前半では話さなかったのですが、この作品で登場する空中戦では電子楽器が多く登場します。
 しかしこのシーンではオーケストラ楽器が使われています。
 これは飛行機同士の戦いではなく、飛行機対ナウシカさんであることが演奏の動機のようですね。

オーケストラ楽器のシーン11

 次は、
 1:43:50
 王蟲の幼体を救うため酸の湖に怪我した足が浸かってしまい悶えるシーンです。
 この時に王蟲が黄色い触手で心配してくれます。
 ここでもオーケストラ楽器が使われています。

オーケストラ楽器 まとめ

 このあたりで情報を整理すると、オーケストラ楽器が演奏されるのはトルメキア軍の侵攻を除くと、ナウシカさんに関連していることが非常に多いです。
 この映画は古い言い伝えの清浄な大地に人々を誘う人物を探す物語でもあります。
 その人物こそがナウシカさんであったという話でもありますよね。
 伝承とナウシカさんが重なるようなシーンで、オーケストラ楽器が演奏されている時が多いんですね。
 それは映画にとって主人公の活躍であり、見せ場となるシーンになります。
 その大事な場面でオーケストラ楽器が使われていました。
 それぞれのシーンでナウシカさんの事に他者が触れるシーンがあります。
 キツネリスのテトくんのシーンではユパさんがナウシカさんとテトくんのやりとりをみて、不思議な力と言ったり、アスベルさんが逃がしてくれた後の空中戦のシーンでは、身代わりになってくれた少女がメーヴェの影を見て、「鳥?」と言ったりと、伝承になぞらえた内容が登場します。
 このようなシーンを大事なシーンと解釈すると、オーケストラ楽器が選ばれる理由としては納得がいきますよね。

【エンディング】

 今回は電子楽器とオーケストラ楽器がどのように使い分けられていたかをみてきました。
 電子楽器は腐海の神秘性や恐れ、蟲への恐怖を感じた時に使われていました。
 他にも飛行機同士の空中戦で使われていたり、風の谷のシーンでこっそり使われていたりしました。
 そう考えるとこの映画の大部分は電子楽器で構成されていましたね。
 それに対し、大事な場面や人間に関するシーンでオーケストラ楽器が使われていました。
 大事なシーンとは伝承とナウシカさんの親和性であったり、映画のテーマとなる楽曲で使用されていましたね。
 全体として少ないのは、もしかしたらジブリの長編初作品であるので、予算や時間の問題があったりするのかもしれませんね。
 もちろんわからないので、滅多なことは言えませんが楽器の使い分けでしっかりと世界観の見せ方を表現しているのはすごいですね。

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 映画にみみったけ、放送時のパーソナリティはヨシダがお送りいたしました。
 podcastのエピソードは毎週日曜日に配信中ですので、そちらでもまたお会いいたしましょう。
 ではまた!

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