見出し画像

『キネマの神様』

以下、
2011年に、原田マハの本を読んだ時のもの。
公開された、山田洋次監督の映画は未だみていない。

原田マハ、著。文春文庫。
 これは、映画を愛してやまない人々の物語だ。
  映画館で観る映画だ。
それに、映画館は名画座なのだ。
 シネコンやドライブインシアターやましてやDVDなんかででは、けっしてない。

 けっこう妖しい場所の、うらぶれた様な骨董品的な映画館。
上映中などのポスターにドキドキしながら、年配の方からキップを直接買って入って、ワクワクしながら席について上映を待ち、しだいに暗くなっていく場内でスクリーンを見つめ、暗がりの中であちこちからしのび泣きや笑い声や驚きの思いなどを耳にして、 エンドロールが続くかぎりスクリーンを見つめて明るくなってからもしばらくは余韻にひたり、映画館を出てからようやくハァ~~と息をはくような、そんな体験をこよなく愛する人々に贈る、せつない、物語だ。
 都市型シネコン開設に携わる人(これは著者のキャリアが反映されている)やあまりにも有名な映画評論家(彼の一言で何万人?もの人々が動き、配給収入への影響力がすごいような)とかも登場するけれど、やっぱり彼らも名画座体験を愛していたんだ。

 会社を辞めてしまった39歳独身の歩(あゆみ)が、ひょんなことから映画雑誌「映友」編集部に採用され、そこでギャンブルと映画を愛する父の映画ブログをスタートさせたことで・・・

“映画の神様”が壊れかけた家族を救う、アットウォームな物語にもなっていて、 ブログ内での映画作品をめぐる、読者とのやりとりもなかなか読ませる。
たとえば、『フィールド・オブ・ドリームズ』をめぐっての、父とやりあうその読者ってぇのが・・!   
で、ここらは、キュレーターやカルチャーライターとしてのキャリアある(NYcityにいたことある)著者のアメリカ体験が反映されているようで、映画評論の醍醐味?すら感じる。
ちなみに、歩の母はオードリー・ヘップバーンのファン! 
それに、父はなんと79歳!で、それで不器用にPCにむかうわけ。


 原田マハの小説は、『カフーを待ちわびて』が最初だった、と思う。。『カフーを待ちわびて』は、読み出したら止まらず、数時間で読み切ってしまった。
それではまって、原田マハの本を続けて何冊も読んだ。

そういえば。
『カフーを待ちわびて』も、ラストが気になってしかたなかったな。この物語も、やっぱり?意外なラストが用意されていた。
原田マハ、すごい!
 原田宗典のは読んだことない。(*^_^*)

  
   もしも、これも映画化されたとしたら・・
と思って、僕はふと『カーテンコール』(05.監督、佐々部清)を思い出した。これも父と娘の物語になっていた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?