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キリスト教は教会の中にある

キリスト教について学ぶ方法

 キリスト教信仰を持たずとも、キリスト教に興味を持つ人は多いと思います。そういう人は、どうやってキリスト教について学べばいいんでしょう。書店で売っている一般的な解説書を読むというのも、ひとつの方法でしょう。何なら聖書を読んでみるという方法もあります。キリスト教に関する映画やテレビ番組も、キリスト教を理解する役に立つでしょう。でもそれより一番手っ取り早いのは、近所の教会に行ってみることだと思います。

 百聞は一見にしかずです。例えばウマという動物について知りたい人が、本をどれだけ読んでも、博物館で標本や剥製を見ても、競馬場や牧場で実際に生きているウマを見たり触ったりする経験にはとてもかないません。評判のカレー屋についてどれだけネットで調べようと、どれだけ店の外から外観を観察しようと、その店に入ってカレーを食べてみないことには本当の味はわからないでしょう。

 これはキリスト教についても同じです。どれだけ解説書を読もうと、聖書を読もうと、ネットで情報を収集しようと、それは実際に教会に行って、そこにある「現実の信仰」を生で見る経験にはかなわないのです。

 教会の中には、聖書に書かれている信仰が今も生きています。もちろん二千年という長い歴史を持つ宗教ですから、細かな部分は聖書時代とずいぶん変化しているでしょう。それでも教会には、二千年前から受け継がれた信仰の核心部分が間違いなく受け継がれています。

 これは聖餐式や洗礼式など、礼典(れいてん)や秘跡(ひせき)と呼ばれる儀式の中に顕著です。こうした儀式がキリスト教の中でどのように継承されているのかを知るには、教会に行って自分の目で確かめてくるのが一番早いと思います。

知識としてのキリスト教と、体験するキリスト教

 キリスト教信仰の規範は聖書です。キリスト教を理解するためには、聖書を読むことが重要です。聖書を基準にして作られたさまざまな教義について学ぶことも、キリスト教を理解するためには不可欠です。キリスト教には、信者以外に秘密とされる特殊な教えなどありません。すべては外部にオープンになっていて、聖書も、教義の解説書も、一般書店で手に入れられるのです。これらを読めば、キリスト教の教えの内容は理解できます。

 しかしこれらは、知識としてのキリスト教です。図鑑で見たウマの写真や解剖図、ネットのグルメサイトで調べたカレー屋の情報は、ウマの手触りや息遣い、カレーの味わいを伝えてはくれません。それを知るには現場に行って、自分の目で、耳で、体で、体験してくるしかないのです。キリスト教にとっての教会は、書物だけでは伝えられないキリスト教の姿を、体験を通して伝えてくれるほとんど唯一の場所です。

近くの教会に行ってみよう!

 では教会に行くにはどうすればいいのでしょう。じつは教会に行ったことのない人にとっては、これを調べるのが難しいのかもしれません。僕は最近毎週のようにあちこちの教会に通っているので、その経験をもとに、教会探しと教会訪問のコツをお教えしたいと思います。

1.Googleマップで近所の教会を探す

 僕が教会探しで一番頼りにしているツールは、地図アプリのGoogleマップです。これに「キリスト教会」や「キリスト教教会」などと入力すれば、近所の教会をピックアップして教えてくれます。

 検索語が「教会」だけだと、金光教など他宗教の教会施設もヒットしてしまうので注意してください。また「キリスト教会」という検索語で、すべてのキリストの教会が見つかるとは限りません。その場合は教団名など、他のキーワードを使って地図を検索します。例えば僕がよく使うのは、以下のような教団名です。

・カトリック教会
・日本基督教団(日本キリスト教団)
・日本聖公会
・ハリストス正教会

 Googleマップで検索された該当箇所をクリックすると、教会のホームページや電話番号が表示されることがあります。こうした案内があると、だいぶ安心できます。

2.ネットで礼拝時間を調べる

 定期的な礼拝が何曜日の何時から行われるかは、マップにリンクされている教会のホームページにたいてい掲載されています。ここに掲載されていない場合は、Googleマップからストリートビューの写真データで、教会入口の案内掲示板を見たりすることもあります。

 たいていこれで間に合いますが、これでもわからない場合は教会に直接電話するか、メールアドレスが公開されていればメールで問い合わせるしかありません。でも教会はたくさんありますから、そこまでやらなくても、まずは情報が公開されている教会を訪問すればいいと思います。

 ほとんどの教会は日曜日の午前中に定期的な礼拝を行っていますが、開始時刻は教会によって異なるので、事前に調べておく必要があります。

3.礼拝に参加する

 礼拝を行う曜日と時間がわかったら、実際に礼拝に参加してみましょう。服装は普段着で大丈夫です。礼拝開始10分前ぐらいをめどに教会に到着します。準備するものは特になく、手ぶらで行っても大丈夫です。礼拝で使う聖書や賛美歌集など必要なものは、入口の受付ですべて借りることができます。この時「教会は初めてです」と言うと、案内の人を付けてくれる教会もあります。

 様子がわかっていれば案内不要ですと断ってもいいですが、本当に初めてなら案内役の人についてもらってもいいと思います。それも教会体験の一部です。案内の人がつかない場合は、会堂内でどこに座ればいいか一言声をかけてから席に座ります。

 あとは礼拝の手順に沿って、周囲の人達と一緒に、立ったり座ったり、読んだり聴いたり、歌ったり祈ったりしてみてください。それらすべてが礼拝であり、今を生きるキリスト教なのです。

付録1.献金について

 礼拝に出席しても入場料はかかりませんが、礼拝中に献金を集めることがあります。この時、お金を入れてもいいし、入れなくても構いません。金額もまったくの自由です。献金の集め方も教会ごとに違いがあるのですが、周囲の様子を見て同じようにしていれば問題ありません。

付録2.聖餐について

 教会によって頻度は異なりますが、礼拝中に聖餐式が行われることがあります。これは聖書にも書かれているとても古い儀式で、イエス・キリストの最後の晩餐を再現したものだとされています。

 これは原則としてその教会に属している信徒や、洗礼を受けているクリスチャンだけが参加できる儀式です。信者でない人にが参加することを許している教会もありますが、参加を即すアナウンスがなければ辞退しておくほうが無難です。辞退する方法ですが、パンやワイン(ぶどうジュース)が配られたとき、受け取らなければいいだけです。

 聖餐式は秘密の儀式というわけではないので、信者ではない人も、それを見学することはできます。

付録3.受付名簿と新来者カードについて

 プロテスタント教会は入口でノートに名前を記帳したり、初めて行った教会では新来者カードに名前以外にも連絡先を書かされることがあります。これは断ってもいいのですが、僕は基本的にすべて記入しています。それらも含めて、その教会の流儀だと思うからです。

付録4.昼食(愛餐会)について

 礼拝が終わるとちょうどお昼頃になることもあり、教会によっては信徒が集まって簡単な昼食会を行うことがあります。会費は500円以下だと思いますが、新来者は無料でご招待になることもあります。興味のある方はどうぞ。

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