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往復書簡・映画館の話をしよう「なぜ映画館が好きなのか?」①(山口雅)

名古屋のミニシアター・シネマスコーレの大浦奈都子さんと、映画館についてのおしゃべりを始めます。
「映画の話をするように、映画館の話をもっとしたい」と、ある日大浦さんが言い出しました。
「まったくだ」と全面賛成でさっそく始めてみたのがこのnoteです。往復書簡という形で、そのやり取りを公開してみることにしました。
お手紙交換、懐かしいです。子どもの頃、よく友達とやりました。近所の民家の塀の隙間に手紙を置いて、翌日ワクワクしながら見に行くと返事が置かれていました。今ならLINEで3秒ですね。

さて、映画館の話です。
今回のテーマは「なぜ映画館が好きなのか?」。
私は仕事でも趣味としても映画館にはしょっちゅう行きます。
もしかすると私は映画よりも映画館が好きなんじゃないか?とよく思います。なぜ映画館が好きなんだろう。映画館のいいところってどこ?
この機会に、大浦さんとこのテーマでお話してみたいです。

以前、テレビで片桐はいりさんが「映画館は団体で行く個人旅行」と仰ってました。その通りだと思います。感動をうすぼんやりと共有できる、自由な個人の旅。
配信全盛の時代、私がわざわざ映画館に行くのは、一人でいるより一人になれるからかもしれません。
一人になりたい時、私は静かな場所よりファミレスやファストフードに行くことがあります。木を隠すには森の中。家族連れや団体客でざわついた店内では、みんな自分のことに夢中。誰も私のことなど気に留めない。周りにたくさん人がいるからこそ、私は一人ぼっちで映画の世界に入り込む。とても楽ちんです。

そして、映画館は暗い。これも重要ポイントです。
上映前の灯りが落ちる瞬間が好きなんですよ。おしゃべりしてる人も何か食べてる人も、一斉に「あ、始まるね」と向き直って姿勢を正す。その瞬間、私たちは、まだ見ぬ映画を待つだけの人になり下がる。友人連れも一人客も、全員が平等に、ただ待つのみ。そして目の前で繰り広げられる大恋愛や連続殺人にはどれだけ泣いても大丈夫。なぜなら暗いからです。

まだまだ理由はあるけれど、大浦さんはどう思いますか?
映画館が職場でもある大浦さんは、どんな理由で映画館が好きなのか、とっても気になります。
お返事お待ちしております。

【毎週月曜日更新(予定)】

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