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往復書簡・映画館の話をしよう「好きな席はどこですか?」②(山口雅)

大浦さんの「好きな席」、お返事ありがとうございました。

私も肩こりは酷い方ですが、それが映画を観ることにも関係するとは思ってもみませんでした。映画は座ってるだけなのにね。私もアンメルツ(ストロング)買おう。

私が前回「椅子に固定されたい」と言ったのは逆の意味です。私もじっとしてるのが苦手で落ち着きがないから、いっそ椅子に縛ってもらいたいくらいだという意味でした。映画館では基本、いつも姿勢が悪いです。
昔はよく靴を脱ぎ、椅子の上でひざを抱えた体操座りで映画を観てました。人が少ない時は今もこっそりやってます。

さて、「好きな席」でしたよね。
実は私も「前方の端っこ寄り」です。奇遇ですね。
劇場サイズにもよりますが、前から2~3列目あたりかな。かなり前のほうに座ることが多いです。
理由は、まさに大浦さんの質問にあった「スクリーンとの距離感」なんですよね。

後ろのほうで全体の雰囲気も楽しみつつ観るのもいいんですが、スクリーンに近いところが好きです。映画の世界にずぶずぶ浸って観るのが好き。
本当はスクリーンの端を視界に入れずに観られる最前列がベストです。見づらさよりも没入感を優先。すいてるしね。

でも同時に、最前列は、逃げ場のなさも感じます。
どっぷりと映画の世界に入り込みたい半面、どこかでほんのちょっとだけ、現実をつなぎ留めておきたい気もするんですよ。
私は映画の中の住人じゃない。そこの住人にはなれないし、なっちゃいけない。体はすっぽりそっちに入ってるけど片足だけ地につけておきたい。そんな気分が、私の「3列目」なんだと思います。
寸止めの3列目。

左右位置では、中央よりも、少しずれた辺りが好き。
これも多分スクリーンに対する「真正面の圧」を避けようとしてるんだと思う。寸止め思考がここでも発揮されてます。
それに、混んでる映画館で中央に座ってしまうと、座った状態で人が前を通過するたびにバレリーナみたいに爪先を立てて、どうぞ~と通しますよね。お互い「すいません」「すいません」っていうアレが地味に苦手です。
自分が立たないと人が出られない席って、映画が終わった後もモタモタできない。のんびり余韻に浸ってるとまたバレリーナです。
3列目くらいなら人が少なくて、それもないから快適です。

というわけで、私の好きな席は「3列目、中央よりずれた少し内側」です(知らんがな)

まあ実際は感覚的に選んでますが、理由は多分そんな感じ。この往復書簡、適当にやってる自分の行為を改めて顧みる機会ですね。
大浦さんは映画館で働いてるので、皆に好まれる席も知ってますよね。
例えば映画のジャンルによって、埋まり方は違うものですか? スタッフ目線での話もまたぜひ教えてください。ではでは。


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