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往復書簡・映画館の話をしよう「映画館と街」③(山口雅)

「映画館と街」、とても考えがいがあるお題ですね。

大浦さんは「シネマスコーレは街とつながっている印象が薄い」と考えていたんですね。意外でした。私の中では「シネマスコーレと街」というイメージは、これ以上ないほどしっかり存在していたんです。個性ある街の、個性ある映画館。「名古屋と言えばシネマスコーレ」と考える遠方のファンもいるんじゃないかな。

でも大浦さんは風景としての街ではなく、街という機能の中にある映画館について考えていたんですね! そういうことか。理解不足でした。
映画館にとっての街というより、街にとっての映画館ですね。

このところ私は配給宣伝の仕事を手伝っていて、地方の映画館のさまざまなありかたや取り組みについて見聞きする機会が増えました。そして、実はやっぱり同じような思いを抱き始めていたところでした。

ミニシアターというのは、それ自体が運動や市民活動から始まっているところも多いですよね。NPOやコミュニティ運営の劇場も多く、街づくりの市民活動や企業とも相性がいいのだと思います。
社会的メッセージをはらんだ作品を多くかけるミニシアターは、トークイベントや感想シェア会などを物理的にも組みやすく、映画から受け取ったものをさらに積極的に投げかけていく企画を実践する劇場が、思ったよりもずっとたくさんあることに気付きました。

私もいい大人なので、自分のことばかり考えていた昔とは違い、若い人たちが少しでも生きやすい世の中にしてあげなくてはという思いも年々強まってます。そんなこんなで、映画館がどんな場所であるべきなのか、どんな場所だったら嬉しいかなあ、などと考えている今日この頃。

映画館は映画を上映する場所であると同時に、文化の発信地です。世界中の文化を、最先端で発信し続ける拠点。
なにか社会のことを変えたいとか、このままではいけないのではと思った時に、ふとアイデアを見つけたり、話ができる人にめぐり会えたりする場にもなれたら素敵なのではないか、とも思うようになりました。とりあえずあそこへ行けば何かヒントがあるはず!と思えるような場所が映画館だったら、それはとても素敵なんじゃないか。

現在私の住んでいる街はまあまあな大都市だけど、全国には映画館がない街もありますよね。もしも果てしなく広がる田んぼや畑の中にポツンと一軒、小さな映画館だけがあるような街だったらどうか、とも考えます。
そこで私がもしも高校生だったら、文化のなさに死にそうになりながらその映画館にずーっといるでしょう。世界とつながる窓である映画館で時間を過ごし、気持ちを分かち合える出会いを待っているかも。どんな大人に会えたら嬉しいだろう。映画館は映画を観る場所だけど、それ以外の何かも求めてそこに居続ける気がする。何を求めて私は映画館に通うだろう。そんなことに思いを巡らせてみています。

このテーマ、まだまだ話しがいがありそうですね。またそのうち続きを話しましょう。とりあえず次回のお題は、前回最後に質問されたのに全く行き着けなかった「旅先の映画館」でお願いします!


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