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鬼滅の刃 / DEMON SLAYER

TVシリーズ放映時、全く追っかけていませんでしたが、映画が公開され、社会現象になっているので『鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編』全26話、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(117分)を観ました。原作漫画は未読です。

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総論として大変巧くプロデュースされた漫画・アニメ・映画のメディアミックスの現在進行形フランチャイズだと思います。TVアニメ放送から劇場映画公開という流れは1977年の『宇宙戦艦ヤマト』から始まりました。その公開期間中の興行収入は21億円。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』は公開3日間で46億円。アニメ市場の成長も大きな一因ですが、それだけではない理由があると思います。

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山田風太郎の一連の大衆小説の影響で、時代劇アクション映画は人気のあるジャンルでした。そこに着目したのが大きいと思います。私の時代には『里見八犬伝』が人気でした。

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時代劇アクションのアニメーション映画の先行作で関連づけるならば、『獣兵衛忍風帖』。この作品はアニメーションでかなり大胆な性表現を盛り込んでいた為にファンは限定的でした。

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『鬼滅の刃』には恋愛の要素がほとんどありません。その事がより幅の広い世代に渡るオーディエンスを魅了する事ができた理由の一つだと思います。

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映画の公開直前と直後にTVシリーズの総集編を放送したことで大ヒットへの弾みがつきました。その副題は「兄妹の絆」と「那田蜘蛛山編」でした。原作漫画を連載している段階で全てを計算に入れて劇場版の製作・マーケティングに全集中したのです。

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劇場版は、戦いの場所となる「無限列車」が副題です。ただこの映画の主役は竈門炭治郎ではなく煉獄杏寿朗です。TVシリーズでは最後の方に顔見せしただけですが、その後の大活躍を知る原作漫画の読者には待ってました!の「無限列車編」でした。

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「血風剣戟冒険録」というのがTVシリーズの副題で、映画はそれを見ているという前提で、最終第26話「新たなる任務」の直後から始まるのでTVシリーズのファンは続きが見たくてしょうがないわけだから、そのファンもガッチリ取り込めます。

原作漫画の方を完結させた上で、劇場版を公開するというタイミングもバッチリ。原作漫画完結の余韻に浸ったと思ったら、大スクリーン映えする「無限列車編」が公開されるのはファンにとってはたまらないはずです。

しかもこの状況下、ライバルのハリウッド大作が『TENET テネット』以外、軒並み公開延期という神風も吹いて、社会現象化しているのだ思います。

TVシリーズも、劇場版も登場人物の心情をセリフで説明し過ぎなのは否めませんが、アクションがキレキレの『インセプション』的な物語は、今まで見てきたどのアニメーション映画よりスリリングで、クライマックスのバトルは非常に高レベルの作画でした。

きっと来年TVシリーズ2が始まり、また劇場版第2弾が公開されるという流れになると思います。

大正時代という設定により、戦いの舞台に従来の時代劇では設定できなかったヴァリエーションも加わり、無限に広がりを見せるフランチャイズになる可能性を秘めていると思います。


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