三田三郎『鬼と踊る』歌集評①~酷く理性的な酔っぱらい?(文・シゲフミ)
連作「肝臓のブルース」でパラレルに示される「僕」の矛盾したセルフ・イメージ文: シゲフミ
三田三郎による「肝臓のブルース」は、徹頭徹尾、アルコールに取り憑かれた連作である。たとえ内容を一言で要約せよ、と言われても「何がどうあろうと酒が飲みたい人の歌」、としか返しようがない。そこから先の、「僕」のとる姿勢に対する評価は、読者に委ねられている。観る人によって、自他の知識や経験に基づき、親身になって案じたり、愚かだと詰ったり、あるいは我が身を省みたりと、投影してみる裁量があるだろ