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プロも憧れる『攻守のプロフェッショナル』元読売巨人軍・篠塚和典

一昨日、久しぶりに録り溜めたテレビ番組を観る時間が出来たので、ハードディスクの録画リストを見ていると、1つの番組が目に止まりました。

それは、NHK・BSで放映された『レジェンドの目撃者「攻守のスペシャリスト 篠塚和典」』でした。

昨年の10月30日に放映された番組ですが、録画した理由は、打撃も守備も、『華麗』という言葉がピッタリな印象がある彼のプレースタイルの秘密に、なんとなく興味が有ったからです。

もちろん、自分が、子供の頃から大のジャイアンツファンであることも理由の1つです。

番組では、打撃・守備ともに、元プロ野球選手も舌を巻く篠塚選手の卓越した技術について、その凄さを、現場で見た証人たちが語っていましたが、その内容が、私の期待を遥かに上回るもので、番組後には、彼の著書をつい購入してしまう程でした。

先ず、打撃では、「狙ったところに打ち分けていた」「わざと詰まらせてポテンヒットを打っていた」「ティーバッティングでは、わざと投げ手を狙って打っていた」というような、驚愕な伝説ぶりが、披露されていました。

特に、「わざと詰まらせてポテンヒットを打っていた」には、感心させられました。

ランナー2塁1塁の場面。2塁ランナーは、足の遅い大久保博元選手。普通のクリーンヒットではホームに生還することが難しい局面で、篠塚選手は、ホームに帰って来る時間を確保しようと、敢えて、打球を詰まらせて、レフト前に『ポテンヒット』を放ち、結果、2塁に居た大久保選手は、悠々、ホームインすることが出来たのでした。

普通、ポテンヒットは、打撃の結果として生まれる、言わば『偶然の産物』なのですが、篠塚選手は、敢えて、打球を詰まらせて、ポテンヒットを打つという離れ業を演じたという逸話です。

更に凄いのは、普段の練習から、上記のような場面を想定して、バッティング練習でも、わざと詰まらせる練習をしていたとのこと。普通の選手は、練習において、気持ち良く、クリーンで大きな当たりを打つことに専念するものですが、篠塚選手は、その真逆のことを励行していた、まさにレジェンドとしての職人芸を垣間見た感じでした。

一方、守備では、篠塚選手の感性から判断した積極的な守備位置の変更や、直ぐに送球動作に移れるように、敢えて、小さなグローブで、ネットではなく、土手寄りの人差し指の付け根当たりで捕球するようにしていた職人技が、元プロ野球関係者から紹介されていました。

その中でも、私が感心したのは、『しなやかな捕球動作』についてでした。

篠塚選手のポジションはセカンドでしたが、内野手は、つい早く捕球しようと、前進して、獲物を捕獲するように、ガッツリと打球を取りに行きたくなるものですが、篠塚選手の捕球動作は、それとは異なるものだったそうです。

両腕は、肘から先を脱力して、出来る限り柔らかく使い、打球の進路を阻むのではなく、打球を自分の身体に引き寄せて、進路をそのまま通すイメージで捕球し、その流れで送球動作に移ることを大切にしていたことが、本人の口から語られていました。

その打球の流れに沿った守備動作は、効率的であるとも言えるのですが、本人曰く、そのような、柔らかくて、相手の力を利用した動きの方が、しなやかで、綺麗に見えるので、見栄えを意識してのことだったとのコメントに、再び感嘆してしまいました。

篠塚選手は、プロ野球選手の中では、小柄で、線も細かった体格であった為、自分がプロとして生き残っていくことを考えた結果、上記のような、彼独特の職人技が生まれたと語っていました。

そのような職人技が実現出来たのは、篠塚選手自身の持って生まれた野球センスが、多分に作用していることは否めませんが、プロ野球選手として生き残る唯一の手段である『試合で結果を残し続ける』為に、普段の練習から試合を想定した技術を磨いた、彼の類まれなる意識の高さに大いに刺激を受けました。

前述の彼の著書でも彼の拘りが披露されていましたが、彼の理論のベースになっているのが、『基本の反復』であったことは、スポーツに携わる人間の1人として、何かホッとする気持ちにもなり、「また明日から地道に走って行こう!」と決意を新たにした次第です。

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