【サブスリーランナー30の掟】 22.接地の感覚を研ぎ澄ませる
ランニングは、前方向に自分の身体を移動させる物理運動ですが、その推進力を得る唯一の局面が『接地』です。
つまり、接地をどのように迎えて、どのように動くかによって、その物理運動の効率性が決まると言えます。
37年間長距離走を続けて来た自分の記憶の中で、長らく『接地』の概念が議論されることは、さほど無かったと感じていますが、引退した大迫傑選手の活躍により、『フォアフット着地』が話題となり、ここ数年は、接地に対する関心が高まりました。
また、『厚底シューズ』の登場で、接地の仕方でシューズの性能を活かせるか否かが変化することも、接地への意識が向上した要因になっていると感じています。
サブスリーを目指す方だけでなく、より速く走ることを目標とする全てのランナーにとって、『接地』を意識すること、その感覚を研ぎ澄ませることは、極めて重要なことなのです。
接地を考える上で一番大切なことは、接地がランニングにおいて、推進力を得る唯一の局面であると同時に、逆に、推進力の妨げとなる唯一のブレーキ局面である点を認識することにあります。
よって、自分自身の走りにおける接地の仕方が、推進力になっているのか、ブレーキとなっているのかを考えることが大切です。
そこでポイントとなるのは、身体全体の中で、接地の位置が、どこにあるかということです。
つまり、身体(上半身)よりも前に接地位置があれば、一歩一歩、くさびを打ち込む形となって、接地がブレーキとなってしまいます。
一方、接地位置が、身体(上半身)の真下よりも少し後方にあれば、接地時に地面から貰う反力を前方向への推進力として利用出来ることになります。
※以下キプチョゲ選手の画像をご参照ください。
また、位置と共に、接地時の地面への入り方、いわゆる、前述のフォアフットなのか、ミッドフットなのか、リアフットなのかによっても、接地がブレーキとなるのか、推進力になるのかに、大きく影響して来ます。
ランニングは、換言すると、『連続ジャンプ』を継続する運動と言えるのですが、その場で、上下に『ピョンピョン』とジャンプする際、皆さんは、足裏のどの部分を地面に触れさせていますでしょうか?
その答えは、土踏まずよりも前側、つま先寄りの前足部であると思います。後足部、つまり、かかと寄りでジャンプをしても、上手くジャンプを続けることが出来ないと実感するはずです。
そのことは、連続ジャンプ運動であるランニング時においても言えることで、安定的且つ効率的に前方向に進んで行く為には、前足部から地面に触れていく、フォアフットが有効であるとされる理由なのです。
更に、接地時のポイントとなるのは、接地に掛ける『時間』にあります。
速く前方向に進む為には、接地に掛ける時間をより短くすることが必要になります。地面に『べたー』と着いていたのでは、前方向に素早く移動することは出来ません。
接地時間を出来るだけ短くする意識を持ち、普段の走りに活かすことはもちろんのこと、動き作りの為に行うドリルを通して、日頃から、接地時間の短縮を実現させる努力が求められます。
以上、ランニングにおける接地の重要性についてお伝えしました。サブスリーを目指すには、42km超の距離を4分15秒/km程で走り続けるという、市民ランナーにとっては、かなりハードルの高いレベルをクリアしなければいけません。
その為には、ここまでご説明した接地時における以下3つのポイント
①接地の位置
②接地の入り方
③接地時間
について、常に意識しながら、マラソン練習に取り組んで頂きたいと思います。
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