【サブスリーランナー30の掟】 21.ポイント練習は、レースと同じ気持ちで臨む
私が初めてサブスリーランナーになったのは、社会人1年目の2月に出場した勝田全国マラソンでした。大学卒業時に記録した3時間5分台から一気に2時間53分台に突入しました。
その間、何が一番変わったかと問われれば、「ポイント練習への取り組み方」と答えます。
大学生から社会人となり、様々な環境変化が生じましたが、マラソン練習に一番影響を与えたのは、自由になる時間が減少したことでした。
大学生の時は、平日でも、授業のやり繰りをすれば、ある程度の時間が確保出来ましたが、社会人になってからは、纏まった時間を得られるのは、土日祝日の休日に限られます。
そこで、必然的に休日に行う練習が、とても貴重な存在となりました。「この練習をより充実したものにしたい!」という欲求が、自然発生的に、自分の心の中に芽生えていきました。
結果、休日に行うポイント練習の質と量が、学生時代と比べて、格段に上がりました。換言すれば、『ポイント練習をレースと同じ気持ち』で臨むようになったのでした。
具体的な練習内容で言えば、20kmを超える距離のペース走を4分30秒/km前後のペースで走り切る練習が、主たる練習となっていきました。
更には、練習コースも、自宅周辺ではなく、自宅を発着とする片道10〜20kmを往復したり、実際のレースコースまで出掛けて行き、走ることも有りました。
そのようなハイレベルの練習を目前にすると、自然と緊張感と集中力が高まり、意識をそれ程しなくても、レースと同じ心持ちになりました。
よく、練習の代わりにレースに頻繁に出場するランナーがいますが、私は、そのスタイルには否定的です。
レースには、放っておいても、緊張・集中して、自分の力以上のものが出せる環境が備わっていると言えますが、それだけ身体への負荷も掛かることになり、疲労が蓄積する原因ともなります。
一方、ポイント練習は、あくまで練習なので、レース程の負荷は掛かりません。しかし、精神的にも肉体的にも、レースと同じ環境を自らが作り出し、その中で、その時点でのベストを尽くす、という営みに、大きな意味があると考えます。
自分自身をコントロールする術を、ポイント練習を積み重ねることで獲得していき、目標とするレースにおいて、そのスキルを一気に発揮していく、そのプロセスが、サブスリーランナーには必要となるのです。
レースは、他のランナー、沿道の観客、大会関係者等、沢山の人たちに囲まれて走ることが出来る『特別な場』です。
しかし、その場が、当たり前になってしまうと、その特別な場が特別ではなくなり、身体への負担も重なって、思うような結果が得られにくくなります。
その意味で、レースで目標とする成果を出す為には、自らのコントロール下で、レースと同じ気持ちで行うポイント練習が、極めて重要であると言えます。
自分自身で擬似レースを体感出来るポイント練習の場を作り出し、可能な限り、その練習をやり切ることを積み重ねることで、目標とするレースで、目標とする成果を上げて頂きたいと思います。