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競技力向上が人格形成に寄与する(一人では生きられない自覚)

明日開催予定の東京マラソン2021に、マラソン世界記録保持者であるエリウド・キプチョゲ選手が出場します。

キプチョゲ選手が、世界から尊敬の念を抱かれる存在であるのは、彼の圧倒的な強さだけではなく、人格的な素晴らしさにあると思っています。

常に、自分のことだけではなく、家族、チームメート、祖国、世界の人々に至るまでの幸福を願っている、そんな思いが、彼の発言から随所に感じられるのです。

キプチョゲ選手のように、私は、人はある世界において、自分の立ち位置が、より高いステージに上がると、その人の人格形成に大きく作用する効果があると考えて来ました。

それは、私が、中学校陸上競技部の外部コーチを務めていた時のある生徒の成長過程を間近で見た経験が、影響しています。

その生徒は、1年生から2年生の中頃までは、特に目立つ存在ではなく、どちらかと言えば、線の細いタイプでした。

それが、2年生中頃から身体の成長とともに、走り高跳びでの競技力が一気に上昇し、またたく間に、地方大会で表彰台に上がる程の選手に成長していきました。

すると、これまで、自分自身のことですら危うかった姿が一変し、オーラというか、風格さえも感じられる存在になったのでした。

そして、日常や大会時に発する言葉も変わっていたのです。

それまで、彼から聞いたことも無かった『感謝』という言葉が、彼の口から頻繁に聞かれるようになりました。

「いつも、自分を支えてくれている家族、先生、チームメートに感謝しています」

つまり、『自分一人では生きられない』自覚が、彼には芽生えていたのでした。

人は、その分野における自分の立ち位置の次元が上がると、自分の才能、力を自覚するようになり、その力が、自分の努力だけでは成し得ないことに気づくのだと思います。

換言すれば、人の社会的な存在が高まることに繋がるのだと考えています。

よって、子供たちのスポーツ指導においては、競技の結果にこだわることは、その意味において大切であると思っています。

勝利至上主義ということでは無く、小さな結果でも良いので、選手が成長の証を実感出来るような結果を出せるように導くことが、その選手の人格形成に良い作用を及ぼすことに繋がるのです。

それだけ、競技における結果というのは、私たちが考えている以上にパワーを持っているものであり、選手が、より高いステージに移行して、世の中を俯瞰的に見られように誘うことが、スポーツ指導において、とても重要であると考えている次第です。

明日の東京マラソンで、キプチョゲ選手の人格者としてのレジェンド的な走りに大いに期待するとともに、レースを見ている子供たちが、一人でも多く、その姿にインスパイアされることを祈念しています。

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