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名前は居場所に繋がっているということを教えてくれる絵本 | 『なまえのないねこ』を紹介します。

絵本紹介士のkokoroです。 “絵本紹介士”とはその字の通り、絵本を紹介する活動をしています。
幼い頃から読書が好きで、大学は児童文学科で学びました。またここに至るまで、挫折を経て心のことに関心を寄せ続けてきました。
ある時から絵本の楽しさに改めて気づき、多くの絵本を読んできました。
絵本は子どもが読むもの、と思われがちですが、大人の心にこそ響きます。
楽しくなり、癒され、深く心が動き、考えさせられる。
そんな風に心惹きつけられた絵本を1冊ずつ紹介しています。
実際にその絵本を手に取って頂き、思いを共有してもらえたら、こんな嬉しいことはありません。


皆さんには、名前がありますよね?
当たり前だと思うでしょうが、もし名前がなかったら・・

今日ご紹介する絵本には名前がないねこが登場します。
このお話から改めて名前について考えてみました。


1・『なまえのないねこ』の紹介

今日、ご紹介する絵本は『なまえのないねこ』

スクリーンショット (116)


(竹下文子・文 町田尚子・絵 小峰書店出版) という本です。


この絵本は、自分に名前がないと気付いたねこが他の飼い猫には名前があると知り自分にも名前が欲しいと思い、町をあちこち歩いて探すというお話です。
まず、このねこが(表紙画像を見てもらってもわかるように)とてもリアルで可愛いです。のらねこって今でも見かけますが、そういう私たちが普段見る光景を切り取っているので、すっとこの世界に入っていきやすい。
また、ねこ目線なのが、面白いところです。ねこの気持ちになって歩いているような気持ちになってくる。まちの八百屋さん、お蕎麦やさん、お寺、それぞれの飼いねこに名前があり、由来があるところも興味深く、同じ店のおじさん、おばさんから別々の名前で呼ばれているねこもいたりして、そういうことあるある、と面白いです。
そのねこが最後にやさしいこえのひとに出会います。
そして気付くのです。探していたのは名前でなくて、名前を呼んでくれる人だったんだと。

2・「名前」について考える

①あなたは自分の名前の由来について知っていますか?

私はこの絵本を読んでから、改めて周りの人の名前の由来を知りたくなり、何人かに聞いてみました。すると、みな、喜んで話してくれました。名前、そしてニックネームについても子供の頃からの変遷、呼ばれることについてどう思ったか、など、「名前」を通して、人とのかかわり、自己イメージなど、色々話してくれ、深いなあ、面白いなあと思いました。


私の「kokoro」というニックネームの由来は

“働き方をつくるコミュニティ”に入会したおり、呼ばれたいニックネームを教えてください、と言われたことがきっかけです。私はその時、改めて呼ばれたいニックネームはなんだろうと考えました。

私は「心のこと」について本を読んだり、ネットで調べたりするのが大好きだったのでパッと「こころ」という名前が浮かびました。
それで「こころ」になり、このnoteでは新たに表現する場所なので、少し違う表記にしたくて「kokoro」にしました。「こころ」も「kokoro」もとても気に入っています。
呼ばれるたびにしっくりくるのが不思議。

ハート

②名前と居場所との関係


 これを読んで下さっているあなたには、あなたの名前を一日どれくらい呼んでもらっているでしょうか?そんなこと、考えたことない、と思う人もいるでしょう。
今はコロナ禍でお家でリモートワーク、一人暮らしの方も多く、一日呼ばれることがないという方もいらっしゃるのかもしれません。
そんな方には自分の名前を呼んでもらっている(あるいはいた)情景を思い浮かべてほしい。小さいころは家族から呼ばれることが多いでしょう。その内、幼稚園、小学校へ行き、先生や友達から「〇〇ちゃん」「〇〇くん」などと呼ばれ、あるいはニックネームで親しみを込めて呼ばれることもある。社会人になると、苗字、あるいは役名で呼ばれることも多い。一回も自分の名前を呼ばれたことがないという人はいないと思います。

思い浮かべるのは、良い印象で自分の名前を呼んでくれる場面ではないでしょうか。親、兄弟、友人、仲間・・
怒られる時や何の感情もなく呼ばれる時より、可愛がってくれる人、親しい人の笑顔で自分の名前を呼んでくれる情景を思うはずです。

少なくとも、私はそうです。

「名前」はそこにある時は、ただある存在ですが、人から呼ばれた時に生き生きと動きだすのです。心を温かくしてくれます。

また、呼ばれる名前によって自分の顔が違ってくることもあるでしょう。

会社では「〇〇さん」あるいは「課長」「部長」という肩書きの役割、家では「〇〇」「お母さん」の役割。小さい頃からの親しい友達から「〇〇ちゃん」やニックネームで呼ばれる、途端に素の自分が出てくる。

それぞれに呼ばれる名前でそこにあなたの居場所があるのではないでしょうか。その名前で呼ばれるとそれに合った顔になり、そこに合った役割がある。
よく考えてみると人の名前は一つでなく、その場所によっていくつもあるのです。

名前って面白い。

この絵本を読んでいるとそんなことも考えさせられます。


3・居場所がないと感じていたらどうしたらいい?


さて、ここまで読んで、自分には名前やニックネームを親しく呼んでくれる「居場所」なんてない、と思ったあなた。


ちょっと寂しいな、と思ったら自分から動いてみませんか。今はコロナ禍でリアルはちょっと難しいかもしれませんが、SNSで知り合いや友人に呼びかける、または新しいグループに所属してみる。今はSNSでも趣味のグループ、一緒に学ぶグループなど沢山あります。その中から自分に合いそうなグループに所属してみる。そのときに、呼び名を自分で決めていいのなら、何か新しいニックネームを考えてみてもいいですね、
そんな風に動いていく内に、あなたの名前を呼んでくれる人がきっと一人、また一人とあらわれてくれるはず。同じ目的で集うグループなら、話も合い、楽しいことでしょう。
その中で名前を呼び合う内に親しくなり、いつのまにか、
あなたには「居場所」ができています。

そして、その時、あなたの名前、ニックネームは生き生きと意味を持ってきます。

呼ぶ人

4・まとめ

いかがでしたか?
1冊の絵本から色んなことが広がり、考えるきっかけになる。

この絵本は画風がとても温かくて惹きつけられます。ねこ好きな人はもちろん、そうでない人もこのお話のねこはとても可愛くて、「名前が見つかるといいな~」と応援したくなる。
お話の最後はほっと心が温かくなります。

ぜひ一度読んでみてください!






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