酒井駒子さんの描く世界に魅せられて

卯年をきっかけに、うさぎが登場する絵本を改めて手にしたところ、同じ『ビロードのうさぎ』でも絵によってここまで印象が変わるものかと思った。

📙by Beatrix Potter, The Tale of Peter Rabbit (First published by Frederick Warne 1902, This edition published 2005)
📙マージェリィ・W・ビアンコ原作、酒井駒子 絵・抄訳『ビロードのうさぎ』（ブロンズ新社、2007年）

原作の英文にも味わい深い絵が添えられているのだが、酒井氏のけっして子供に阿ることをしない絵がビロードのうさぎの世界観により奥行きを与えていると思う。
あまりにも有名すぎて改めてここにご紹介するまでもないのだけれど、私のお気に入りはこちら。

📙シャーロット・ゾロトウ文・酒井駒子 絵・訳『ねえさんといもうと』（あすなろ書房、2019年）

四角い枠の中に描かれた姉妹のなんと愛らしいことか・・・。次の１冊も四角い箱の中に眠る物言わぬ小鳥の存在感がどっしりと響く。

📙湯本香樹実 文・酒井駒子 絵『くまとやまねこ』（河出書房新社、2008年）

元同僚から贈られた１冊を思い出して開いてみると、そこに気になる一節が・・・

📙Pooka編集部 編『Pooka+酒井駒子 小さな世界』（学研、2008年）

「箱が好きなのは　団地に住んでいたのと　関係あるか　ないか」そして、「引き出しも　劇場も　絵本も箱」と。

私自身も団地に住んでいた時期があり、箱や引き出し、それに劇場も大好きなので興味深く思った。マッチ箱や寄木細工の箱、貝殻を入れた木箱などを大切にしていた子供時代を思い出し、小さな空間に広がる想像の世界の魅力に改めて思いを致している。今度は団地が舞台の『ゆきが やんだら』を読んでみようと思う。