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昔話を語り継ぐために
初版1953年のこの日本の昔話集(英訳版)Japanese Children’s Favorite Storiesを米国で入手した1994年、すでに43刷を重ねていた。海外の書店で普通に並んでいたことにも驚いたけれど、2013年には60周年特装版が出版され、今では続編共々、ハードカバーに加えて電子書籍版まで出されているロングセラーだ。
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Japanese Children's Favorite Stories (Charles E. Tuttle Co., 1958)
一方、こちら「講談社のおはなし絵本館7」は同じく1990年代に日本で販売されていたもの。松谷みよ子さんによる再話で、絵は「かぐや姫」が伊勢英子さん、「一寸法師」が太田大八さんという豪華執筆陣! それでいて現在絶版とは、なんともったいないことだろう😢 ついでながら、このシリーズの監修には安野光雅氏と北杜夫氏が名を連ねておられる。
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『かぐやひめ いっすんぼうし』
講談社のおはなし絵本館7(講談社、1990年)
同じ日本の昔話を題材として扱いながら、なぜ出版状況にこのような違いが生じるのか、一概に比較するのは妥当ではないかもしれない。でも、たまたまこの2冊を見比べてみて、はたと考え込んでしまった。
日本には昔話のアニメがあるから絵本は不要? それならネット上で動画が見られる米国でも状況は同じはず。
『かぐやひめ いっすんぼうし』の「おうちの方へ」のページに、おはなしキャラバンの浜島代志子氏のメッセージがある。
かぐや姫のおはなしを聞かせて、絵を描かせたら、ほとんどの子どもが西洋のドレスを着たお姫さまを描いたそうです。若者たちの着物も、腰に剣をつるし、頭には王冠をいただいた西洋の王子さまだったそうです。…… 日本の古いおはなしをするときは、絵本を見せながらでないと、とんだイメージちがいをするものだということがわかったそうです。
昔話をこどもたちに伝承したいという大人の願いは、いずこも変わらないと思う。語り継ぐのが難しい現代だからこそ尚更、家庭で手軽に手にすることができる良質の昔話絵本にこれからも出会えるよう願ってやまない。