わたしのピンクをさがしに
月刊『たくさんのふしぎ』は子どもたちが定期購読していた頃からのファン。
今月号は初めて自分のために買った。【以下、ネタバレあり】
幼かった頃、私のクレヨンは「ピンク色」ではなく「桃色」だったし、ピンクのランドセルや車はなかった。でもこの本によれば、明治27年にはすでに「ピンク」が「桃色」の意味で和英英和辞書に表記されているし、その3年後には絵の具に'pink' 表記が使われていたとわかる。
この本では、1000年前のピンク色からインドのピンクシティまで、ピンクを広く深く掘り下げているのだが、とりわけ衝撃的だったのは男性受刑者への罰としてピンク色が使われていることだった。攻撃性を弱め、心を鎮める効果が試されているそうだ。
かと思えば、『ももいろのきりん』(中川李枝子作・中川宗弥絵、福音館書店、1965年)の作者らのように「元気が出る色」「想像力を刺激するいい色」ととらえる向きもある。もっとも、この場合の色は「ピンク」ではなく「ももいろ」だけれども。私自身、子どもの頃に繰り返し読んだ1冊だけに、自分がこの色に惹かれるのは、この本が原点だったかもしれないと気づかされた。
ピンクの含意するところは、時代の変遷や地域によって異なるのみならず人それぞれだが、わたしはわたしのピンクをさがそうと背中を押してもらった気がする。