学校給食を考えた本
食に関心をもつママ友たちと一緒に、学校に給食について考える会を立ち上げた一時期があった。食品添加物等に関する勉強会や、「粗食のすすめ」で有名な幕内秀夫氏の講演会にも参加した。学校給食センターの試食にとどまらず調理実習までやったし、他の自治体の先進事例も見学し、似たような活動をしている保護者の市交渉に同行させてもらったりもした。その上で、学校給食に関する要望書をまとめて学校教育課に提出し、給食関連の議題があれば議会の傍聴にも足を運んだ。
インターネット上の資料も含め相当学んだつもりだったが、給食センターからは開口一番「あなたは間違ってる」と言われた。「検討する」との(これでも前向きな!)回答をいただけたのは、給食に使われている食材の産地や原材料の情報公開のみで、「ご飯と牛乳は合わないからお茶の提供を」とか「トランス脂肪酸を含まないパンを」とか「有機食材が無理でもせめて地元産を」「食器はポリカーボネートではなく強化磁器を」といった要望はあっさり却下された。
当時相談に応じていただいた議員さんからは「もうしばらくこの問題を追い続けてみては」とのご助言があったが、結局、追わずに終わった。
なぜか。理由はいろいろあったが、保護者が高級ランチにはお金を惜しまないのに、子どもの給食が1食10円でも値上がりすると文句を言う現実を直視せざるを得なかったことが大きい。「子どもが園の給食をものすごく喜んで食べるので、改善を求める理由がなくなった」と考えを改めるメンバーも出て、会そのものは事実上の解散となった。が、中には「強化磁器だけは諦めきれない」と問題を追い続けたママ友もいたことは特筆に値する。
私はといえば、その後も「自分は間違っていたのか?」と問い続けることはした。その答えは数年後に出た。三男が小規模校(公立)に進学し、そこでの給食が要望書で描いた理想とほぼ同じだったことから、私たちの考えは決して間違いではなかったと確信できた。もしも間違いがあったとすれば、動かない鉄壁を動かそうと試みたことだったのかもしれないが、その後、食材の情報公開については進んだと耳にして多少は心が和んだ。
かつて共に勉強し合ったママ友たちとは今もゆるく繋がっている。つい先日は、市交渉でご一緒した保護者のお一人から、久しぶりに連絡をいただいた。「私、弁護士になりました」とのこと。子育ての傍ら大学院に進まれての快挙に心から拍手を送った。