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『だるまちゃんとかみなりちゃん』英訳版

かこさとしさんのだるまちゃんシリーズの中でも大好きベスト3に入る『だるまちゃんとかみなりちゃん』の英訳版。

Original Story and Illustrated by Kako Satoshi & English version by Anita Teeter,
It's a Funny Funny Day (ラボ教育センター、1999年)

ぐりとぐらのおきゃくさま』英訳版と同年の出版だが、CD朗読は18分に収まっているし、挿入歌は英語だし、逐次訳でも落語家の金原亭桂太さんによる日本語朗読は不思議と英語と違和感がないので娯楽として楽しめた。

もっとも、本文は日本語をそのまま英語に訳したわけではなく、英訳版のほうが絵を詳しく描写しているのは「ぐりぐら英訳版」と同じ。たとえば、だるまちゃんがかみなりちゃんのお家でご馳走になる場面は、日本語版ではわずか3行。

かみなりどんや
かみなりちゃんたちと
ごちそうを たべたりしました。

『だるまちゃんとかみなりちゃん』より

ところが英訳版ではこんなに詳しい。

Yum, yum, yummy!  Golly!  What a lot of food!
There's fish, there's meat,
all good to eat.
What else?
Well, there's soup, salad, sandwiches, eggs, ham, fruit,
cocoa, cake, cookies, ice cream, jello, pies
---- and some whiskey for Daddy!

It's a Funny Funny Day

英訳版が英語学習用に編纂されていることを改めて確認した次第。日本語版は言葉数が少ない分、自分で絵を読み解く余地が残されており、それはそれで楽しい。物言う文化圏と物言わぬ文化圏のちがいも、多少は反映されているのかもしれない。

加古里子 作・絵『だるまちゃんとかみなりちゃん』(福音館書店、1968年)

例によって日本語版は2代目。Little Free Library 形式で地域のこどもさんたちにも貸出して読んでいただいた。紙の本はすぐに色褪せるしボロボロになるから世代交代が早い。でも読んでもらえて本望だったよね。お疲れさま、おうちの絵本。