抱きしめたくなる絵本『てん』
「絵なんかかけない、かきたくない。」
「なんでこんなもの、かかされないといけないんだ。」
こんなふうに、思ったことはありませんか?
主人公のワシテも同じです。
授業の時間内に絵をかけなくて、一人美術室に残っています。
すると、美術の先生にこう言われます。
てんをかいてみて? それでどうなるのか見るの
ワシテはいわれた通り、マジックで乱暴に点をかいて先生にわたします。
先生はじっとてんを見つめると、満足げにうながしました。
じゃあサインをかいて
そのてんは、金色の立派な額に入れられ、飾られます。
それをみたワシテは「もっといいのがかけるぞ」
こう思い、黙々といろんなてんを開発し始めます。
初めて絵具をあけました。
たくさんのカラフルなてん
自分ぐらいの大きなてん
てんをかかないで点を表現する絵まで生み出しました。
そのままの自分
すごい人って、〜ばっかりの人です。
数学ばっかり、
けん玉ばっかり
書道ばっかり
絵ばっかり
自分ができる、楽しいと思うことを夢中で研究します。
それは、誰かがその人のありのままを認めてくれているからではないでしょうか。
五味太郎さんの『じょうぶな頭とかしこい体になるために』でも感じました。
五味太郎さんは絵本ばっかりの人です。
誰かが、ありのままを認められることで、
その人が、また別の人のありのままを受け止めてくれる。
てんという絵本は、こんな形の思いやりを教えてくれます。