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「マ行」と「パ行」

絵本を作る際に作品のタイトルやキャラクターの名前を決めなければいけないのですが、ぼくはできるだけ“マ行”か“パ行”の文字を名前に入れるようにしています。


理由は子どもに愛着のある言葉だと思ったからなのですが、これはぼくが保育補助のアルバイトをしていた時の経験からきている考えというか、ぼくの憶測のようなものです。


これはものすごくシンプルな話で、子どもにとって「ママ」と「パパ」という言葉は特別で“愛着ある言葉”なのではと感じたからです。


保育をしていると、子どもが寂しいくなって泣き出すというのはよく見る光景で、その時に抱っこをしたり一緒に遊んで気を紛らわすのですが、泣いている最中の子どもはよく「ママがいい」「パパがいい」と口にしています。


たまに「ママママママママ…」とマを永遠と連呼する子もいて、内心「どんだけ言うの?」と思うこともありました。


「そりゃ親がいいよなー」と思いつつ、ふと子どもが寂しい時に言う“ママ”と“パパ”は、ただ単純に自分の心を安定させようとして言っている言葉なのではないかと思う時がありました。言葉の意味よりも言葉に対する愛着に意味があり、その愛着ある言葉を発することで心が安心するのではないかということです。


幼稚園では、子どもにとって愛着のある絵本やおもちゃは季節感が違っていても置き続けているそうで、それは子どもが安心するからだそうです。確かに愛着のある物が季節感が違うからという理由でなくなるのは子どもにとってはショックなことなのかもしれません。なので夏になっても冬の絵本があったりします(季節感の出る物ももちろんあります)。


“愛着が子どもの心を安定させる”という視点が子どもにとってはとても重要なのだなと保育補助をしながら感じていたのですが、その視点は絵本にも活かしていけるのかもと考えています。


例えば絵本のタイトルやキャラクターの名前もそうですし、絵本を毎回違うものをつくるのではなく、シリーズ物としてつくるというのも、キャラクターや世界観への愛着を重視した作り方であると思います。


そういった保育補助の経験を経て、ぼくはタイトルやキャラクターにマ行とパ行を入れるようにしてみたり、同じ世界観で絵本を作り続けたりしています。

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