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【読む漫才】えほん原論〜第5回 『おれとお前とJKローリング』〜

カラス田:
面白い絵本の設定を思いついたんだけどさ。


たなネコ:
いいじゃん。どんな話か教えてよ。


カラス田:
まず題名なんだけどね。


たなネコ:
題名ね。題名は大事ですよ。
奇をてらわずに、想像しやすい題名がいいよね。


カラス田:
『ハリー・ポッター』って題名でね。


たなネコ:
ダメだね。


カラス田:
魔法使いの少年の話なのよ。


たなネコ:
続けないで。
『ハリー・ポッター』はもうあるから。


カラス田:
その少年は生まれながらにして宿命を背負うんだ。額には傷があってね。


たなネコ:
少しも変えないじゃん。
名前が『ハリー・ポッター』で、
稲妻の形をした傷が額にある魔法使いの少年は、みんなが知る『ハリー・ポッター』そのものだから。


カラス田:
おれ、"稲妻の形"なんて言ってないよ。


たなネコ:
いや、わかるだろ。
『ハリー・ポッター』の筋をなぞってるだけなんだから。


カラス田:
すごい想像できてるじゃん。
『ハリー・ポッター』、やっぱいい題名なんだな。


たなネコ:
題名から想像して形を当てたわけじゃないって。思い出してるだけだから。


カラス田:
物語の舞台の大半は魔法学校になるんだけど、
その学校名は?


たなネコ:
ホグワーツだろ。


カラス田:
その学校の校長は誰?


たなネコ:
ダンブルドア。


カラス田:
ハリーが学校で特に仲良くなる旧友が二人います。誰?


たなネコ:
ロンとハーマイオニー。


カラス田:
すごすぎない?


たなネコ:
だから、すごくないって。


カラス田:
題名だけでここまで正確に想像させられる?


たなネコ:
あと、本当にお前が『ハリー・ポッター』を考えたんだとしたらすごいのおれだしな。


カラス田:
えっ、お前おれ?


たなネコ:
ほんとにそのレベルよ。
お前が勝手に考えた設定の名称まで当ててるんだから。


カラス田:
、、、おれがお前?


たなネコ:
どっちでもいいよ。
お前がおれなのか、おれがお前なのかは。


カラス田:
、、、もともと一つが二つに分かれてる?


たなネコ:
どっちかが片方に寄ったんではなくて、
同じだったものが分かれたぐらい発想似てるってことね。

いや、いいって。
もともと一つなわけないだろ。ネコとカラスだぞ。


カラス田:
カラスとカラスでも、もともとは一つじゃないので。


たなネコ:
、、、細かいところ気付くなよ。


カラス田:
それはネコも同じですので。
もともと、それぞれですので。


たなネコ:
わかってるって。
「ですので」やめろ、むかつくから。


カラス田:
で、『ハリー・ポッター』の話なんだけど。


たなネコ:
まだするの?
お前はJKローリングじゃないから。
お話パクっただけなのよ。


カラス田:
JKローリングって誰?


たなネコ:
いや、知ってるだろ。
『ハリー・ポッター』の著者だよ。
ハリー・ポッターと額の傷と、
ホグワーツ、ダンブルドア、ロンとハーマイオニー、全部考えた人だよ。


カラス田:
、、、全部?


たなネコ:
そりゃそうだろ、著者なんだから。


カラス田:
、、、おれとお前とJKローリングがもともと一つってこと?


たなネコ:
まだ言ってんのか。
もう、いいよ。



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