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絵本まるごと研究会 第16回講座

絵本まるごと研究会の冨田泰代です。いつもは船橋にあるみらい大学さんで講座をやっていたのですが、コロナで集まれなくなってしまい、オンラインで講座を開くことになりました。絵本まるごと研究会、初のオンライン講座、8月29日に行われた模様をお伝えします!

今、テレビやYouTubeではテロップが入るのが当たり前になりました。
喋っている人が何言ってるか分からなくても、テロップを見れば大体分かります。でもそうすると子ども達に正しい音って伝えられるかな?と思ったんです。テロップを読めば言葉は習得するけど、正しい音はどうやって習得していくのか?私達大人が日頃から正しい音を伝えていかなければならない。
まず、絵本を読む私たちが、正しい音そして綺麗な日本語を届けたいと思い、講座をやろうと思いました。

1、腹式呼吸レッスン

腹式呼吸をする前に、まずは顔ストレッチから始めます。喋るのに必要な表情筋をほぐします。

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『口の中で舌を10回まわす体操』『えー、うっそー体操!』『たこつぼ体操!』を皆さんと。皆さんとてもいいお顔です。日本語は表情筋を動かさなくても喋れてしまいます、でも大きい声や相手に届ける声を出すには、表情筋を使わなくてはなりません。

続いて、喉を傷めないためにも腹式呼吸は必須です。寝ている時やっている深い呼吸です。腹式呼吸を使えれば、長い文章も読むことが出来ます。
力が入ってしまったり緊張していると、胸の呼吸(胸式呼吸)になってしまいます。肩が上がってしまい、全身に力が入り、無理に声を出そうとして喉を傷めてしまいます。

お腹に空気を入れるとよく聞くかもしれませんが、お腹にも入れて、背中(脇腹の後ろ)にも入れます。自分の周りに浮き輪があるイメージです。

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皆さんに前かがみになって頂き、鼻から吸って背中に空気を入れる感覚を覚えてもらいます。

その後は呼吸のコントロール。
ティッシュを一定の高さを保ちながら吹き続けられるかをやりました。
4拍で吸って 2拍止めて 4拍で出し切る
文章をよりダイナミックに繊細に伝えるためには呼吸のコントロールが
必要になってきます。

2、滑舌練習

正しい日本語を伝えるためには、日本語の構造を知ってもらいました。
滑舌練習をすれば良くなるというわけではありません。
母音を喋るときの正しい舌の位置、正しい唇の形が重要になってきます。

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1文字1文字、皆さんと舌の位置を確認します。
唇の形や「イ」の時の響かせ方、「エ」の時の響かせ方を確認します。

50音を割りばしを銜えての発声です。
「サ」「ハ」行の息の出方
「タ」「ナ」「ラ」行の舌の動き
「マ」行の唇の動き

次は、腹式、唇の形、舌の動き、表情筋を忘れないで、早口言葉の稽古へと行きます。
「あらありあるあれあろ」をリズムに乗りながら、言っていきます。
最初は、たなばたさま♪、次は、おもちゃのチャチャチャ♪を聞きながらの練習でです。
皆様「早くて言えないww」「ピャ行、ミュ行、が言えないww」など、
皆で大笑い!!基礎練習って地味なので飽きちゃうんですけど、こうやって音楽かけながらやると、楽しくできるのではないかと思うのです!!

3、呼吸・間を絵本に活用してみよう

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おしいれのぼうけん
作/ふるたたるひ・たばたせいいち
童心社

今回はこちらの絵本を読んでみました。クライマックスのシーンでは、
ねずみの動き、機関車、車の動きを、息や言葉のクレッシェンドで表現します。先ほどの息のコントロールレッスンがここで使えることをお伝えしました。「、」「。」があっても、気持ちは休憩ぜず、続けて読んでいきます。動きがあるシーンなので息が続かないと、このシーンを表現できないと思います。
地下の世界から脱出する星のシーンでは、子ども達に安心感を与えるために、息はゆったりと、お腹と背中の息を十分に使って、たっぷりと読んでいきます。星の動きで息のスピードを変えたり、メリハリをつけていく読み方をご紹介しました。

4、お芝居をやってみよう

ZOOMのブレイクアウトセッションを使ってグループに分かれ、
掛け合い芝居をやってもらいました。
滑舌練習も入っている「アエイウエオア王物語」です。
皆さん、距離感も出してるし、地位がある人の喋り方、侍女の喋り方をきちんと分けられていました。ため息交じりの台詞など、もう息をコントロールされて台詞を言ってる方もいて、とても面白い発表会となりました。

5、参加して下さった方からの感想

●舌の使い方、唇の形、呼吸のコントール等、絵本の読み方の具体的な練習方法に気づくことができました。
●顔をほぐすところから驚きでした。顔ってこんなに固まってるんですね。
●声を出すために意識することを具体的に教えて頂き勉強になりました。やはり、心と体は繋がっているのだなと感じました。心から生まれる言葉を、体で発する。体と心のバランスって大切ですね。
●これまであまり意識してなかった顔や舌の動きについて教えていただき、大変勉強になりました。音楽に合わせての滑舌練習、お芝居の発表会も、良い経験となりとても楽しかったです。
●呼吸法のワークでは、腰に手を当てうつ伏せたり前屈みになることで、しっかりと背中の方まで吸い込んでいることを掌で感じ取ることができました。
●長い文を一息で読む時や、ひと息で大きな音を表現する場面など、下読みから呼吸を意識してみようと思いました。
●背中に空気を入れるイメージはとても分かりやすかったです。顔の筋肉を動かすのも、声だけでなく、表情豊かになるので大事だと思いました。
●最後の劇は難しく感じました。間違えないように読む、という意識が先行してしまい、お話の中身が入ってこなかった気がします。
●舌や唇の動かし方や腹式呼吸をとても分かりやすく教えて下さり、実践する時間もたくさんあって楽しかったです。
●文末の1文字にまで気を配って読む『おしいれのぼうけん』は強く心に残りました。

発声方法も教えて欲しかったという声も頂いたので、ZOOMでの発声練習を考えてみようかなと思っています。

皆さんのお力をお借りして、初のオンライン講座を開催することができました。本当にありがとうございました。


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