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少子高齢化の課題の「先端」から!#1

四国の半島の先端「愛媛県伊方いかた町」の教師、浅野先生からの寄稿です!日本全国の地方が抱える課題、少子高齢化の最先端を行く伊方いかた町のリアル、必見です◎

四国最西端、佐田岬さだみさき半島に吹くはな

  明治生まれで、愛媛県伊方町出身の詩人高橋新吉しんきちが、ふるさとを「象の鼻のやうに突き出た半島」と著している。私のふるさとは、長さ約50㎞の日本一細長い佐田岬さだみさき半島の先端部にある。佐田さだという呼び名は、一説によると日本神話の天孫降臨にまつわる。天照大神に遣わされたニニギノミコトを道案内した、鼻の長い猿田さるた彦神の名前に由来するとも言われている。まさに神が宿る岬。
 佐田岬半島の先端付近は、瀬戸内海国立公園に指定され、たいへん貴重な自然が残されている。地域の産業としては、アジ・サバ・伊勢エビなど豊かな漁業と清見タンゴールの栽培に代表される柑橘農業が中心となっている。小学校時代から天草てんぐさ採りや柑橘の収穫など家の手伝いをよくする子どももいる。

急激な少子高齢化

今日、地域では過去に経験したことのないできごとが進行している。それは急激な人口減少と少子化。令和3年度、三崎地域(旧三崎町)の小学生は、44名。中学生は、27名。17年前の平成16年度の小学生は、168名。中学生は、84名だった。ちなみに、前回の東京オリンピックの翌年、昭和40年には、小学生が1,454名、中学生が891名もいた。まさに子どもの声が地域から聞こえなくなった。

全国と旧三崎町の比較

これは、愛媛県内そして日本国内の多くが似た状況にあり、将来そうなると予想され、人口減少と少子化により様々な課題が起こっている。課題の最先端を進むへき地。もしそうならば、ここでの取組が、課題解決の最先端のモデルとなり得る。


ようこそ先輩!農業遺産の出前授業

平成31年(2019年)2月、愛媛県南予地方の柑橘農業システムが日本農業遺産に認定された。客観的な基準によりその魅力が国内で認められたことは、大変うれしく、誇りに思える。そして現在、さらに基準が厳しい世界農業遺産の認定を目指している。ところが、このようなすばらしいことを地域の人たちはほとんど知らない。教育の力によって、新たな風を吹かせることはできないだろうか。そのきっかけとして、令和4年3月、伊方町立三崎中学校において、世界農業遺産に関する出前授業が行われた。授業者は、地元にある愛媛県立三崎高等学校の生徒3名とその卒業生2名。中学生たちは、ふるさとが日本農業遺産に認定されており、さらに世界農業遺産を目指していることを初めて知り、好奇心を呼び起こされる授業となった。詳しくは、次回に紹介したい。

子どもを村にしばりつけない「生きがいを育てる学力」

日本のペスタロッチスイスの教育実践者と称された東井義雄とういよしお先生が、65年ほど前に兵庫県の中山間地に赴任されたとき、「村を育てる学力」という本を著されている。「探究的な学び」こそが「村を育てる学力」であり、目先の進学だけを考えた知識注入型の学びは「村を捨てる学力」と表現されている。また、「村を育てる学力」は、子どもを村にしばりつけておくための学力ではなく、子どもの「生きがいを育てる学力」であるとも述べられている。探究的な学びや生きがいを育てる自然・人・文化が佐田岬半島にはある。これに教育の力をもって、国際的視野で見た新しい価値を加え、未来へつなげていくことが大切だろう。

地元中学生の将来の夢

 以前、地元の中学生が、卒業前に「将来の夢」について新聞投稿し、掲載された記事が忘れられない。

「僕には今、一つだけはっきりした夢があります。『高校を卒業したら祖父母を早く楽にしてあげたい』という夢です。僕には、両親がいないので、祖父母が必死に働いて僕と姉たちを育ててくれています。祖父母はたくさんのミカンを作っています。健康面などで心配することもあるのですが、僕が高校卒業するまでは頑張ると言ってくれます。それを聞いてとてもうれしくなり、今以上に手伝いも頑張ってやろうと思っています。高校に進学してしっかり勉強して、手伝いも進んでやり祖父母を助けたいです。また農業についても勉強して、将来は農業を引き継いで祖父母に早く楽をさせてあげたいです。」 

 この子はその後、自分の描いた夢のとおり農業を継ぎ、祖父母と一緒に頑張った。農業後継者の会に入り、農業技術を高める努力をしたり、消防団にも入り、地域に貢献したりして活躍している。様々な地域課題もある中、その解決に向けて挑戦している姿は輝いている。

教育には夢がある。ふるさとには夢がある。

猿田彦神や象の鼻のような佐田岬半島の物語は、
ますますおもしろくなっていく。

・・・
以上!第一回の浅野先生の寄稿でした。

最後めちゃエモかったですね、

日本全国で少子高齢化が進んでいると知ってはいましたが、昭和40年の全国の小・中学生はざっくり50%まで減っているのに対し、愛媛の先端である伊方町では3%まで激減しているという状態に驚きでした。東京に住んでいる私は週末公園に行くと子どもたちで溢れかえっているのをみているので、地方と都市の差が大きくなってきているのをひしひしと感じました。

伊方町では、そんな中でも課題解決に取り組まれている方もいらっしゃるというのは一筋の光ですね。

次回は「ようこそ先輩!農業遺産についての出前授業」の詳細が明らかに?

ぜひ読んでくださいね〜

※ 全国数値出典
データがない年度については、伊方町のデータに近しい年度を使用
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1417059_00006.htm


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