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「世にも不思議な猫世界」作者KORIRIさんと、被災地で生まれた猫との暮らし。日々を快適に、いざというときは守りたい。 #いい部屋ペット

潰れがちな顔にシワがギュッと寄せられた渋い表情の猫たち。コスプレしたり、ゆるゆると人の日常に溶け込んだり。そんなちょっとクセが強くて…クセになる、イラストシリーズ「世にも不思議な猫世界」。Instagramから始まり、LINEスタンプ(現在7種類)、書籍化、多数のグッズ化……そして人気は海を渡り、台湾でも人気を集めています。

作者でありイラストレーターのKORIRIさん(@koriri222 )は、2匹の猫と暮らす愛猫家。「世にも不思議な猫世界」の誕生秘話や、猫たちとの出会い、猫愛に満ちた暮らしの工夫をお聞きしました。

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猫との暮らしがきっかけに誕生した「世にも不思議な猫世界」

人気イラストシリーズ「世にも不思議な猫世界」が生まれたのは、2014年8月のこと。当時の愛猫ニャン子さんと、Instagramを通じて知り合った飼い主さんの愛猫たちをモデルにしたSNSでのイラスト投稿をきっかけに、「世にも不思議な猫世界」の名を冠したLINEスタンプの販売を始めました。

その人気からグッズ化のお声がかかるようになるものの、「最初の1年くらいは、なにかのドッキリにかけられているのでは?と半信半疑でした(笑)」とKORIRIさん。

「いつも快くモデルを引き受けてくださるみにゃさまや、応援してくださる皆さま、いっしょにお仕事をしてくださっている皆さまに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。絵本など新しいことにもチャレンジ中なので、さらに猫世界を楽しんでいただけるよう、私も楽しみながらがんばっていきたいと思っています!!」

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「世にも不思議な猫世界」の初代モデルで、先代猫のニャン子さん。「お水を優雅に手ですくって飲む姿がとてもとてもかわいい子でした」

東日本大震災後、被災地で生まれて保護された2匹

KORIRIさんが現在いっしょに暮らす2匹の猫は、みかんちゃんと春男くん(ともに推定6才)。迎えるきっかけとなったのは、2011年3月、東日本大震災によって起きた福島第一原発事故でした。みかんちゃんも春男くんも、住民が避難していた地域で震災後に生まれた猫で、保護ボランティアの方によって保護されました。

「ボランティアさんのお手伝いをしていた知人がInstagramで飼い主さん募集の投稿をしていて、初めてみかんのことを知りました。目つきがちょっと悪いところが可愛くて気になる存在だったものの、先代のニャン子さんが持病をかかえていたこともあり、幸せになってほしいな、と願いつつ見守っていました」

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KORIRIさんがその目つきに惚れたという、シェルター時代のみかんちゃん

その後、ニャン子さんが病気のため他界。それからほどなくして、みかんちゃんとの縁がつながります。

「みかんはほかのお家に迎えられることが決まりかけていたのですが、急遽白紙になって、みかんを気にかけていた私に、『ニャン子さんの導きかも』と知人が声をかけてくれました。ふしぎな縁を感じ、迎えたいと思いました。みかんを迎える日が近付いた頃、別の場所で保護された春男とシェルターで意気投合していると聞き、急遽、2匹いっしょにお迎えすることにしました」

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保護されて間もない、シェルター時代の春男くん

2015年5月末、東京のシェルターからKORIRIさんと夫が暮らす広島のマンションまで、知人の手を借りて2匹はやってきました。

「迎えた日の夜から、みかんは私の布団で寝るくらいすぐに打ち解けました。そんな姿を見て春男も安心したのか、すぐに甘えてくれるように。2匹いっしょだったからこそ新しい環境にもすぐに慣れてくれたんじゃないかなと思います」

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迎えたばかりの頃の2匹。すでに仲よし

“まんま台”と“湿り飯”。食事はおいしく、快適、健康的に

血縁関係はないけれど、兄妹のように仲睦まじいみかんちゃんと春男くん。並んで食事するときの様子にも、KORIRIさんの愛情たっぷりの工夫が見られます。

まずは、2匹を迎えた頃に友人に作ってもらったという食事テーブル、“まんま台”。床のそのままフードボウルを置くと猫が前屈みの姿勢になってしまいますが、高さをつくってあげることで食べやすくなります。

「もう一回り高い台にある自動フード供給器からカリカリが出て、まんま台の上の猫用の器に入ります。台の高さは、成長に合わせて食べやすいように少しずつ調節しています」

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猫がかかりやすい腎臓病などの病気の予防には、水分摂取が欠かせません。猫がさりげなく水を飲めるように飼い主さんが工夫してあげることが大切です。そうした配慮から、KORIRIさんは、ドライフードとは別に2匹に水分たっぷりのごはんもあげています。

「水分摂取量をアップさせるため、お気に入りのウエットにさらに少しぬるま湯を足しています。名付けて “湿り飯”(笑)」

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トイレは、猫に理想的な「匹数+1個」

2匹の猫に、トイレは3つ。きれい好きな猫が快適に用を足せるように、可能なら匹数よりも多くトイレを用意してあげられると理想的です。

「最初は2つだったんですが、人間が寝てる間とか、ちょっと出かけている間にタイミングよく両方にウンチがあることがあって。ウンチが残っていると春男がトイレに入りたがらずソファとかでしちゃったりして……。我慢しちゃうといけないので、3つに増やしました」

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日常からできる、いざというときに猫を守るための対策

台風や大雨による被害が増えている昨今。KORIRIさんは、災害時の猫のための備えとして、フードを少し多めに買って消費した分だけ新しく買い足す「ローリングストック」で、常に備蓄があるよう心がけているそうです。

また、災害時や距離の移動時にストレスなく使えるように、折りたたみ式のソフトケージもふだん自宅の部屋に置いてくつろぎスペースに。

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「中に入れてある段ボールのベッドは、底にペットシーツとビニール袋を敷いています。災害時等に猫砂を入れたカゴと合わせて、簡易システムトイレとして使用したいと考えていて。日々試行錯誤、改良中です。今年、大型台風の接近のタイミングで、折りたたみ式のポータブルトイレもさらに1つ買い足しました」

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こうした猫のための防災を考えるきっかけとして、新型コロナウイルスの感染拡大もあったそうです。

「もし自分と夫が新型コロナウイルスに感染して不在になったときに、猫たちをどう守るのかという課題があります。それはコロナに限らず、ほかの病気や事故による入院、災害にも当てはまり、今までいかに『自分ありきの備え』だったかと痛感しました。いざというときのいろいろなシチュエーションを想定して、考えていかなければと思っています。実際にその状況にならないとわからないことのほうが多いと思うのでとても難しいですが、SNSなどで体験談を聞かせていただいたり、日々情報収集しながら自分なりに考えていけたらと思っています」

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2匹といっしょに暮らせる毎日は奇跡

KORIRIさんは、愛する2匹といっしょに暮らせる毎日を「奇跡的」と表現します。

「うまく言えないけれど、この日常を大切に大切に過ごしていきたいと日々感じています。毎日同じ姿、同じような行動を見ているはずなのに、新鮮で可愛くて面白くて愛おしくて……。2匹の存在に、そして2匹に出会わせてくれたニャン子さんに感謝でいっぱいです。元気で長生きしてもらえるように、私も元気でがんばらなくては!」

構成・文/本木文恵
写真/KORIRIさん提供
KORIRI
Instagram @koriri222
Twitter @koriri222


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