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ミルクボランティアで出会った猫・コスモスくん。小学1年生と兄弟のように過ごす日々  #いい部屋ペット

動物愛護センターから迎え入れたキジ白のオス猫「コスモス」くんと、現在、小学校1年生になった男の子「たい」くん。大人気のInstagramアカウントでは、1匹と1人の体温が伝わってくるような、優しくあたたかなつながりを見せてくれています。

コスモスくんの飼い主であり、たいくんの母でもある、もりもとりえさんは、「お互いがお互いを意識しながらも、好き放題に過ごせる関係」と言います。

コスモスくんとの出会いと、家族として迎え入れるまでの経緯、たいくんの日常、暮らしの中での変化をお聞きしました。

※ 本記事に掲載のお写真は、すべて取材先のもりもとりえ様より掲載のご許可を頂いております。

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穏やかな空気の間にある“ふたり”の絆

「子猫の頃のコスモスに対しては、お世話して甘やかして、完全にお兄ちゃんっぽく接していたなぁと感じますが、最近の“ふたり”は、かなり対等です」と、もりもとさん。

「兄弟がいたら、こんななのかな?と思うくらい。たいが何か始めれば、コスモスが近くに寄ってきて『なにそれ?なにすんの?』と興味津々で参加して。コスモスに新しいおもちゃを買ってくれば、まずはたいが遊んでみる(笑)」

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たいくんが眠りについた瞬間、体が触れる位置に移動するコスモスくん。たいくんが学校に行っている隙に、もりもとさんに甘えに来る。

コスモスくんがツバメ観察に勤しむ間、「ママ〜! ぎゅ〜!」と抱きついてくるたいくん。怒られていじけたら、甘えにいく先はコスモスくん。

家中を走り回って追っかけっこしてたかと思えば、そっぽ向いてそれぞれの時間を過ごしていたり。

「たいとコスモスとの間にある穏やかな空気から、ふたりの絆みたいなものを感じることができます」

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先代猫「ザクロ」くんは、柔らかな心を包み込む存在

コスモスくんが家族として迎えられる以前に、もりもとさんのおうちには、「ザクロ」くんという1匹の白黒のオス猫がいました。ザクロくんが9才のときにたいくんが生まれ、赤ちゃんのたいくんとザクロくんは、もりもとさんの想像を超えて距離を縮めていったそうです。

人と猫の垣根をふわりと超えた関係は、『ザクロとたい』(ぴあ)という1冊の写真集にもなりました。

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「当時はたいとザクロも兄弟みたいと思っていましたが、今のコスモスとのお互い“与え合っている”姿を見てると、これこそ兄弟!と感じます。
ザクロは、愛情・優しさ・信頼・受け止める心の広さ、そういったもので、ふわふわやわやわな生まれたてのたいの心を包み込んでくれていた。親子? もしかしたらおじいちゃんと孫? それか、師匠と弟子(笑)」

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動物愛護センターのミルクボランティアで出会う

コスモスくんとの出会いは、ザクロくんが13才のときに肺がんで他界し、しばらく経ってから。地元の動物愛護センターの「ミルクボランティア(子猫預かりボランティア)」の制度でした。

ミルクボランティアとは、全国的にも広がりを見せている、殺処分を削減するための取り組み。頻繁な授乳など密なケアが必要となる授乳期の子猫を一般家庭で預かり、ミルクを与えたり、排泄を促すお世話や体重の測定などを行います。そうして育てられた子猫は、またセンターに戻って、新たな飼い主への譲渡につなげられます。

「親友のお母さんがベテランのミルクボラさんで昔から話を聞いていて、いつか私もやってみたいとずっと考えていました。ザクロが亡くなって新しく家族をという気には到底なれなかったのですが、それでも猫とは関わっていたい気持ちが強かったのと、命の灯を消そうとしていくザクロを見届け、自分自身も思いがけない病気から抗癌剤治療を経験し、なんというか、こう……『命を身近に感じたかった』というのもあるのかもしれません。いろんなボランティアがある中で、今の自分の生活スタイルにはこの形が一番合ってるんじゃないかな、と」

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もりもとさん自身の病気の治療終了の目処がたった日の病院帰り、その足でミルクボランティアの説明を聞きに行ったそうです。

登録の完了から2カ月経った頃、ついにミルクボランティアを始める日、たいくんといっしょにお迎えに。

「『ミルクボランティアという制度で子猫をお世話するよ』という話は、登録が済んだ時点からずっと話をしていたので、2人でワクワクしながらも大慌てで向かったのを覚えています。一般的に同腹の複数匹を同時に預かるケースが多いそうですが、コスモスは保護時に1匹だけ現場に残されていた子猫。預かりも1匹だけとなりました」

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名前の由来は、「ウルトラマンコスモス」から。名付け親は、もちろん、たいくんです。

「この先もミルクボランティアを続けていこうと思っていたので、子猫の名前のアイディアも尽きてしまいそうで。何かのシリーズから名前をつけていくなんてどうかな、と私と夫が話しているのを聞いた息子が『じゃあ、コスモスがいいよ。ウルトラマンコスモス!』と。ウルトラマンコスモスは、慈愛の戦士。優しくてたくましいコスモスにはぴったりだったかもねー、とお気に入りの名前です」

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優しい手と配慮で、子猫と触れ合う日々

それからは「いつかこの子は家族を見つけて幸せになるから、それまで大事に大事に育てようね」と、たいくんと話す毎日。

「ザクロとの暮らしの経験から、息子の猫への接し方に関してはかなり安心できると思ってはいたものの、子猫との生活は私自身もはじめてだったので、乱暴に扱ったりしないか、うっかり踏んでしまったりしないか、という不安がありました。でもそんな心配は杞憂で、コスモスに触れるたいの手はすごく優しかったし、コスモスがケージの外にいるときは決して走ったりジャンプしたりせず、コスモスの居場所を確認しながら生活している様はさすがだな、と関心すらしてしまうものでした。コスモスが眠っているときに私と夫が話していると、『しーっ!』と言ってきたり(笑)」

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幼稚園から帰ってきたら、一番にコスモスくんを抱きしめ、遊ぶ。

コスモスくんが遊び疲れたら「ここおいでー」と自分の服の中に誘導して、眠りにつかせる。

もりもとさんが“猫使い”なのかしら、と思うほどの立派なお世話っぷりだったそうです。

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そして、家族へ

約1カ月の預かり期間のつもりが、コスモスくんのお腹の調子が悪く、センターに戻すことができずにいたそうです。お世話を続けるうちに生まれたのは、「このまま家族として迎える」という選択肢。

「コスモスが『幸せだな〜! 安心だな〜!』って思ってくれるように、ママとパパとたいで一生懸命お世話して、『愛していける!』って自信もないと、家族として迎えられないんだけど、どうかな? というようなことを、息子と何回か話しました」

答えはいつも「ぼく、ずっとコスモス大事にする」という、自信に溢れた言葉。

それから動物愛護センターの職員との相談を経て、コスモスくんは正式に、もりもと家の家族となりました。

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言葉が通じなくても、「だいすき」は伝えられる

ザクロくんとコスモスくん、2匹の猫との関わり方をそばで見守ってきたもりもとさんから見て、たいくんはどんな子でしょうか? 

「心根の優しい子だなぁ、と思います。ザクロとコスモスからの『だいすき!』をストレートに受けてきた息子の言葉もまた、ストレートな愛情に溢れています。最近特に強く感じるのは、周りの人の些細な表情の変化や声色、空気に対して敏感だということ。今、たいは小学生1年生なんですが、集団の中にいると『こわい』『疲れる』と感じることがあるようで、学校生活では苦しそうな面も出てきました。この敏感さは、言葉の通じない猫と心を通わせてきた中で培ったものなのかもしれません」

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こうした側面もありながら、一方で、「ポジティブな気持ちを素直に伝える」ことを、2匹との関わり方の中で培ってきたとも感じるそうです。

「コスモスと接するたいの言動には、すべてザクロとの関わり方が根底にあります。コスモスに『だいすきだよ』『だいじだよ』『なんでそんなに可愛く生まれちゃったの?』なんて言いながら、たいは優しくマッサージします。言葉が通じない相手でも『だいすき』の気持ちを持って接すれば伝わる、と教えてくれたのはザクロです。たいのこれからの人との関わり方にも、何かいい形で現れてくるんじゃないかなぁ、と思っています」

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これからのたいくんとコスモスくんには、どんなふうに過ごしてほしいですか?

「変わらず、相棒のような関係でいてくれたらいいなぁと思います。たいがこれから成長していく中で、親の前で見せたくない涙が出そうになった時に、コスモスがそばにいてくれたらいいなと。たいの体がたくましく大きくなって、コスモスが安心して甘えられる膝上に成長してくれたら嬉しいし、コスモスにとっていつまでもたいの隣が最高の寝床であったら嬉しい。……たいにとって、コスモスのお腹の匂いが安心する匂いであったら嬉しいです」

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構成/本木文恵
写真/もりもとりえさん提供
もりもとりえさんのInstagramはこちらからご覧いただけます。
Instagram  @rie_mrmt
Blog 「たいとコスモス ときどきザクロ


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