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データでみるため池協議会-活動内容編-

みなさまこんばんは。ため池のある暮らしの未来をつくる研究者,柴崎浩平です。

今回は,ため池協議会(以下,協議会)の活動内容をデータとともに紹介していきたいと思います。ため池協議会が作られた背景や概要は以下のページにまとめています。

0. データに関する注意点

•  2018年度に,ため池協議会がおこなった活動内容を整理しています。2020年8月現在の協議会の数は76であるなど,現在の状況とは異なる場合があります。

• 以下で紹介する図表は,いなみ野ため池ミュージアムの事務局をつとめている,東播磨県民局地域振興室水辺地域づくり担当が把握・整理したデータとなっています。このデータから漏れている活動もありえることをはじめに述べておきます。

1. 活動内容の全体的傾向

まず,ため池協議会ってどんな活動してるの?という点について,全体的な傾向をみていきます。

下の表1は,ため池協議会の活動内容を,クリーンキャンペーン(以下,CC:Clean Campaign),草刈り,かいぼり,環境保全,その他イベントに分けたうえで,それぞれの活動を実施しているのか,という点をまとめたものになります。

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「東播磨全体」の行をみると,最も実施割合が高い活動は「CC」であることがわかります。東播磨全体で77協議会あるうちの59協議会が実施しており,割合でいうと77%に及びます。

次いで多いのは「その他イベント」で31%,「草刈り」で23%が挙げられます。一方,「かいぼり」や「環境保全」は12%,17%と実施割合は少なく,「伝統行事」は3%にとどまっています。また,「活動なし」の協議会も17%と一定数存在することがわかります。

2. 活動の実施回数

続いて,表1にあげた活動をどの程度おこなっているのか,という点についてみていきます。

下の図1は,ため池協議会としての活動の実施回数を整理したものです。なお,CCや草刈りは同日におこなわれることが多く,同日開催の場合は1回として計算しています。

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1番多いのは,年1回活動をおこなうケースで,18協議会が該当します。この1回の活動内容としては,CCが大半を占めています。

続いて,多いのは0回や2,3,4回で,それぞれ11〜13協議会が該当します。

一方,5回以上活動をおこなっている協議会は少数ではあるが,存在します。なかには,19回や30回といった協議会も存在します。こういった協議会では,小学生を対象とした環境保全に関する活動やクリーンキャンペーンが多くおこなわれいました。

3.  クリーンキャンペーン(CC)について

表1でもみたように,多くの協議会がCCをおこなっていました。そこで以下では,CCについて詳しくみていきます。

① クリーンキャンペーンの実施概要

下の表2は,東播磨全体でどの程度CCがおこなわれいるのか,そのCCにどの程度の人が参加しているか,という点をまとめたものになります。

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実施回数は東播磨全体で137回おこなわれており,1協議会あたりの平均は2.3回(137/59)となっています。また,参加人数はのべ8,136人,1回あたりの平均は59.4人となります。

② クリーンキャンペーンの実施回数

下の図2は,一つのため池協議会が何回ほどCCをおこなっているのか,という点をまとめたものです。

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一番多いのは2回で,19のため池協議会が該当します。その他,0回や1回,3回のため池協議会も13〜18と多くみられます。また,4回の協議会も7と比較的多いことがわかります。

5回以上のため池協議会もみられますが,少数であることがわかります。最も多くCCをおこなっていた協議会では,12回実施されていました。月ごとで班体制を組んで,CCを実施している地域もあり,そういった地域では実施回数も多くなっています。

③ クリーンキャンペーンの参加人数

下の図3は,1回あたりのCCに,どの程度の人数が参加しているのか,という点をまとめたものになります。

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表2でみたように参加人数の平均は59.4人でしたが,図3をみると,1〜20人規模のCCが,60回と最も多いことがわかります。内訳でいうと,10人以下のCCが26回,11~20人以下のCCが34回となっています。また,最も参加者数が少ないCCは,5人で実施されています。

次いで多いのは,21〜40人,41〜60人,61〜80人規模のCCで,それぞれ14〜16回ほどおこなわれています。

一方,100人,200人規模のCCもおこなわれていることがわかります。「それ以上」のCCも2回実施されており,一番参加者が多いCCは450人となっています。なお,101人以上のCCを計算すると,23回となり,比較的多くおこなわれいることがわかります。

④ CCの回数と規模(参加者数)の関係性

以上にみてきたように,実施回数や規模(参加人数)は多様でありました。

ただし,協議会ごとにみた場合,回数と規模には,以下のような関係性がみられます。

規模の小さいCC:高い頻度で実施される
規模の大きいCC:低い頻度で実施される

図2でみたように,実施回数が7回や8回,12回もおこなっている協議会のCCの多くは,参加者数が20人程の小規模なCCとなっています。

一方,100人や200人といった規模の大きいCCは,1協議会あたり1回,多くて3,4回であり,頻度は低い傾向がみられます。

⑤ CCの規模(参加者数)の違いが意味すること

以上にみたように,CCごとの規模は大きくことなっていました。このような規模の違いは何を意味するのでしょうか。

20人規模のCCは,農家など,日頃から草刈りなどの作業に参加している人のみでおこなわれるCCである,ということが考えられます。つまり「従来の管理者のみでおこなうCC」といえます。このようなCCでは,草刈りのついでにゴミ拾いをおこなう,というニュアンスで実施されていと考えられます。

一方,100人やそれ以上の規模でおこなわれるCCは,普段草刈りなどの管理作業をおこなっていない人も多く参加しています。つまり「みんなでおこなうCC」といえます。

このタイプのCCでは,近隣の小中学校と連携したCCや町内会の行事としておこなうCC,イベント(いも掘り体験や魚の掴みどり,かいぼり,ウォーキングイベントなど)を実施する際におこなうCC(そういったイベントの参加者がため池周辺のゴミを拾う)など,様々なタイプがみられます。

このように,CCと一言でいっても,従来の管理者のみでおこなうCCと,みんなでおこなうCCがある,といえそうです。

まとめ

活動内容の全体的な傾向
• クリーンキャンペーンをおこなう協議会の割合が顕著に多い。
• イベントや草刈りを実施している協議会も比較的多い。
•かいぼりや環境保全に関する活動を実施している協議会は少数。
• 協議会としての活動は,年間1〜4回おこなわれているケースが多い。が,なかには,10〜30回程おこなう協議会もみられる。その一方,0回の協議会も比較的多くみられる。

クリーンキャンペーン(CC)について
• 東播磨全体でみるとCCは,137回おこなわれており,その参加者数はのべ8,136人に及ぶ。
• 1協議会あたりの実施回数の平均は,平均は2.3回(137/59)であり,1回あたりのCCの参加者数の平均は,59.4人である。が,実施回数(最も少ない協議会:1回,最も多い協議会:12回)や参加者数(最も少ないCC:5人,最も多いCC:450人)の,ばらつきは大きい。
•CCには,従来の管理者のみでおこなうCCと,みんなでおこなうCCがある。
• 従来の管理者のみでおこなうCCは,規模が小さく(20名程度の参加),高い頻度で実施されている。一方,みんなでおこなうCCは,規模が大きく(100名程度の参加),頻度は高くない。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

文責:柴崎浩平







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