見出し画像

esports×公認会計士/税理士の成澤さんにインタビュー(前半)

今週のe-話では、自ら会計事務所を立ち上げ、プロチーム運営やイベント運営など、esports関連の会計・税務のサポートしている、公認会計士/税理士の成澤さんにお話を伺いました。

-------------------------------------
成澤 | eスポーツ会計士

画像1

Twitter : @e_spo_kaikei
HP : https://www.eskaikei.com/
-------------------------------------

何故esports業界で活動をしようと思ったのか。

今は東京に住んでいるのですが、去年までは愛知県に住んでいました。

そこで公認会計士と税理士として、会社の経理として普通のサラリーマンをしていました。

一方趣味の方は、今私は32歳なんですが、スーパーファミコンくらいからずっとゲームをやっていました。なのでもちろんゲームは好きだったんですが、趣味は趣味、仕事は仕事というようにプライベートとして自分なりに楽しんでいました。

ただ、去年の頭くらいからその考えが変わってきたんですよね。

そんな生活をしていた頃、世界的に有名な、とあるコンサル会社がある告知を出していました。

その内容が、esports事業推進室を作りますという内容でした。

それに凄く興味があって調べてみると、「esports業界に参入したいけど、どうすれば良いかわからない会社をサポートしますよ」というものでした。

大きなコンサル会社がそんな部屋を建てたということに衝撃を受けまして、「大きなコンサル会社もesportsをビジネスとして捉えているんだ。じゃあ自分も仕事にできるのではないか」と考えました。

今までの仕事も全然楽しかったんです。待遇も全然悪くなく、非常に満足していたんですけど、ただ、一生それで良いのかというとそれはそれで考えるものがありました。なので、まだ30代で気力があるうちに、自分が好きなゲームという業界で、プラス自分の専門領域である会計士/税理士として勝負してみたいなと思ったんです。

それで調べてみると、esportsに強い公認会計士、税理士はいなさそうでした。たまにプロゲーマーの確定申告みたいな記事を書いていらっしゃる方もいるんですが、そんなに数もあるわけではありませんでした。

なので今やればパイオニアになれますし、パイオニアになれれば、後発の方々のサポートをすることができ、より業界に貢献できるのでは、と思ったんですよね。

そこで、こういう始まりたての業界に関わるとなると東京一択になるかなと思い上京しました。東京には知り合いが1人もいなかったですし、うちの会社は「急に何を血迷ったんだ!?」「仕事辞めてどうすんの」って止めてきましたね(笑)


観戦者として見た際のeスポーツの魅力

僕が思うに、esportsは観戦する人=そのゲームのプレイヤーである比率が他のリアルスポーツに比べると高いと思うんです。

スポーツ観戦って、そのスポーツを全くやったことのない人がやるよりは、多少なりともかじったことのある人の方が観戦側としても楽しみ方や見どころが分かると思います。

esportsは、そのような観客の割合が高い。これはつまり、観客同士で「同じ世界を共有してる」という非日常的な一種の「一体感」を得られるのではないか、と思っています。日常で同じゲームのファンが集まって盛り上がるなんていう機会、なかなか得られませんからね。

例えば、サッカーをやったことのない人よりは、部活とかでやっていた人の方が技術的な理解度は高いと思いますし、将棋とか囲碁みたいなマインドスポーツと呼ばれる業界だと、ここだとこういう手を打つなとか想像しながら見ると、普通にぼーっとしてるよりは楽しめる度が違うのかなと思うんです。

一歩で、これってデメリットでもあると思っていて、esportsの大会って、esportsの中の特定のゲームの大会という感じなので、その競技をまったくやったことのない人はほとんど見ないと思うんですよね。ルールもわからないし、どっちが勝ってるかもわからないし、やってる人からすると「今凄いシーンだった!」というのも、知らない人からすると全然わからなかったりする。

観戦者がプレイヤーの比率が高いという事は、やったことのない人が仲間に入りにくいのかなと思っています。そういう敷居の高さというのは、業界の今後を考えるうえでもどうにかしないといけないなと思います。

そういう意味だと、任天堂のゲームとか凄い上手いなと思っています。スプラトゥーンとか、初めて見た人でも何となく楽しいじゃないですか。塗りの面積とかで、何となくこっちが勝ってそうだなとか。スマブラもパーセントが付いてて、パーセントが低い方が勝ってそうだなとか。

やっぱり発想が凄い良いなぁと思います。


それから、大会を開いたときに、その大会の演出面などが、ここ数年で凄く盛り上がるようになってきていると思います。多分、お金をかけれるようになってきたというのはあると思うんですが。

今までesportsの大会は、家で生放送で見ることばかりしてたんですよ。そっちの方が快適ですし、好きなことをしながらできますからね。

ただ、この間初めてesportsの大会に行ってみて、めちゃくちゃ楽しかったんですよね。現場でないとわからないような熱狂のようなものが凄いありまして、ライブに行く感じに近かったんですよね。

リアルスポーツに負けないような熱狂を味わえるので、観戦側としてもいい傾向かなと思います。


esportsとスポーツの違いについての議論

esportsはスポーツなのかそうじゃないのか議論ってずっとある議論ですが、最初その議論は意味がないのではないかと思ってたんですよ。

「言葉として、『ゲーム』というよりは『esports』の方が馴染みやすいし、理解も得やすい、だからesportsがスポーツかどうか議論というのは意味がない」と思っていたんですよ。

ただ、その考えがちょうど今日変わりました(笑)

とある用事で役所に行った時、案内図のような所に「スポーツ振興課」という課がありました。

ふと思ったのが、「このスポーツ振興課ってesportsを扱ってくれるのかな?」ということです。なので、こういうお役所的なものを考えるときに、esportsがスポーツかという議論は必要になってくるのかなと思いました。


esportsはスポンサー以外の収益があまり想像できず、赤字続きなのかなと思ってしまいます。リアルスポーツとesportsの収益構造は似ていると思うんですが、スポーツはどうしているのでしょう?

動く規格でいうとそうかもしれないですが、リアルスポーツはチケット収入が大きいと思います。

esportsは、基本的には大会を見るのもビデオ配信ですし、はまっている層は若者が多いじゃないですか。ただ、若者は色々な所にお金を使いたいですし、お勉強もあるのでまだまだ経済的な基盤は築けていません。

なのでお金をとるために配信を有料にしようとなると、一気に視聴者数が減るんですよね。数百円とか安かったとしてもがくんと減ってしまうと思います。だから配信は無料がベースとなっている。

ただいつまでもそれでいいかというと、今度は企業の体力が持たないじゃないですか。スポンサー料をだしているけど、全然回収ができていないんですよね。なので収益基盤というのは一生懸命頭を捻って作らないといけないところだと思います。

一週間くらい前に、先ほど話題に出した会社とは別の、ある大きなコンサル会社もesports参入をするみたいで、市場調査という名目で僕のところにインタビューをいただいたのですが、そのコンサル会社の方もそこを一番気にしていらっしゃいました。

なので、リアルスポーツとの大きな違いっていうのは、黎明期だからこその不安定感かなと思います。

ただ、esportsに限らず、リアルスポーツでもこういったことはあると思うんですよね。

前にオリンピックでのカーリングが凄い流行ったじゃないですか。ただ、その後カーリング業界凄い儲かるようになったかというと、そういう話はあんまり聞きません。「オリンピックを見てカーリング始めました!」とか、「カーリング教室爆発的に儲かってます!」とか。

ちょっと怖いのが、esportsもその道を辿ってしまわないかなという事ですね。

今新型コロナウイルスでゲームセンターが凄い潰れてますし、オフラインイベント中心で開いていた人達もTwitterで凄い悲鳴を上げてますもんね。

ただ、一方で注目はされてるじゃないですか。「今こそ家に籠ってPS4だ!」というような空気にはなっているので、言い方は悪いかもしれないですが、このコロナショックをどうとらえるかですよね。

悲観的にとらえるか、今こそ頑張ってこの業界の社会的な地位を上げていくかというのは僕も含めて関わる人間の発想が重要になってくるのかなと思います。

-------------------------------------

前半はここまでです。

後半は23日(土)に更新予定となっています!お楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?