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『バイオハザード X(クロス)ナイト』

*この台本は、2013年に渋谷パルコPart1-7F【BIOHAZARD CAFE and GRILL S.T.A.R.S.】にて行われた、カプコンの超有名ゲームタイトル、【バイオハザード】と【THE 黒帯】との奇跡のコラボイベント、「バイオハザード X(クロス)ナイト」で使用されたものです。

#登場キャラクター

ウエスガ 刑事。
タナカ  バイオハザードカフェ&グリルのスタッフでフロアチーフ
クリフ  米カプコンから派遣されたバウンサー(用心棒)
キル   クリフの舎弟
犯人   ???

#1  X(クロス)ナイト ビギニング

店内の照明が変わり、音楽とともに登場しパフォーマンスを始めるAngelique
タイラントが起動、MCの指示で銃を取り立ち向かうAngelique
あと一撃で倒せるという場面で、男が止めに入る

ウエスガ 「ストップ! ストーップ! 止めろ! 音楽!」

音楽が止まり照明も戻る
Angeliqueもパフォーマンスを止めて戸惑う様子

ウエスガ 「随分デカい銃使ってんなあ。しかしそんな撃ち方じゃあ肩外れんぞ? モノホンの拳銃ならな……」

厨房からフロアチーフのタナカが現れる

タナカ  「どういうことです?あなた一体?」
ウエスガ 「おたくが店長さん?」
タナカ  「いえ、店長はいま会議中です。私はタナカ、一応ここのフロアチーフですが」
ウエスガ 「あっそ。じゃおたくでいいや、ちょっと協力して欲しいんだよね」
タナカ  「協力? 何の?」
ウエスガ 「捜査ですよ」

ウエスガ、懐から手帳を出し、タナカの目の前に突きつける

タナカ  「捜査? ……警察?」

ウエスガ、笑って頷いたあと振り返り、周りの客に向かって喋り始める

ウエスガ 「渋谷警察署の方から来ましたウエスガです。皆さん! 落ち着いて聞いて下さい。実は数時間前、インターネット掲示板で、この店に対する犯行予告が書き込まれました。もちろん悪ふざけの可能性は高いのですが万が一という事もあります。お楽しみのところ邪魔をして大変申し訳ありませんが捜査にご協力頂きたい」
タナカ  「犯行予告? 内容は?」
ウエスガ 「驚異的な感染力を持つウイルスをばらまくと言ってます。バイオテロですよ」
タナカ  「バイオテロ!?」
ウエスガ 「今、科警研、科学警察研究所の対策チームが装備を揃えてこちらに向かっているところだ。それまでここを動かないで下さい」
???  「それには及ばないぜ!」

謎の声が響き渡る

ウエスガ 「誰だ?」

厨房から現れるクリフとキル

クリフ  「エキスパートに任せて帰るんだな。国連直轄対バイオテロ部隊BSAA出身の俺たちに!」

照明が変わり音楽が流れ出す

クリフ  「人食いゾンビから徘徊するお爺ちゃん、Tウイルスから台所のイヤな臭いまで、みんなまとめてお相手するぜ! 崖っぷちの大ピンチ、頼れる正義の赤い盾! クリフ・レッドシールド!」

決めポーズのクリフにしなだれかかるAngelique

キル   「リア充まとめて爆発しろ! 夜の街のイルミネーション壊してまわった。日数少ない2月からもう1日削ってやろうか! キル・バレンタイン!」
ウエスガ 「止めろ! 音楽止めろ! 明かり戻せ!」

音楽止まり照明が変わる

ウエスガ 「あんたら役者か? 悪いがイベントは一時中断だ。順番に話を聞かせてもらうからおとなしく待ってろ」
クリフ  「それには及ばんと言っただろう?」
ウエスガ 「はあ?」
タナカ  「彼らはバウンサー、この店の用心棒だそうです」
ウエスガ 「用心棒〜?」
クリフ  「そうだ。国連直轄対バイオテロ部隊BSAAを辞めた俺は、カプコンUSAに拾われてここに派遣された」
ウエスガ 「あいつもか?」

Angeliqueに囲まれたクリフを少し離れたところから恨めしそうに睨んでいるキル

クリフ  「ん? ああ、いやあいつは現地採用のアシスタントだ。気のいい相棒だよ」
ウエスガ 「そうか? すっげーお前の事睨んでるように見えるけど」
クリフ  「今、一番ナイーブな時期なんでな。甘いものでもやって落ち着かせよう……キル! ほれ」

クリフ、ポケットからハーシーズを出してキルの前に出す

クリフ  「キル、おすわり」

キル、相変わらず睨んで動かない

クリフ  「キル、言う事を聞け! おすわり!」

キル、突然クリフの目の前で手を打ち鳴らし、手のひらをグルグル交差しながら回す
クリフの体が回転方向へゆっくり傾いていく

クリフ  「お? お! おーっとっと、おい! キルやめろ、うわっ!」

クリフ、たまらずハーシーズを取り落とし、膝をついてしまう
キル、ハーシーズを何度も踏み砕いて叫ぶ

キル   「キル……バレンターイン!」

キル、ハーシーズを拾い上げ、かじり始める

クリフ  「どうだ! キルは気功を操れるんだぞ? グッボイキル、グッボーイ……子猫ちゃんたち、お部屋に戻ってな」

クリフ、キルを撫でながらAngeliqueを厨房へ帰す。

ウエスガ 「大丈夫か? あんなのが用心棒で」
タナカ  「本部の判断なので」
ウエスガ 「どんな判断だ……」
クリフ  「刑事さん、あんたも帰んな。あとはプロフェッショナルに任せて」
ウエスガ 「あー、おたく……クリスだっけ?」
クリフ  「クリフだ。クリフ・レッドシールド。崖っぷちの大ピンチ、頼れる正義の赤い盾!」
ウエスガ 「もういい! わーかったから……元軍人だって?」
クリフ  「イエス」
ウエスガ 「へー、アメリカ人?」
クリフ  「オフコース」
ウエスガ 「日系? 何世?」
クリフ  「ノーノー、生粋のアメリカ人さ。チャキチャキのアメッ子でい!」
ウエスガ 「嘘つけ!」
クリフ  「アメリカンジョーク! Oh〜HoHoHo!」

ウエスガ、クリフの額を叩く

ウエスガ 「全部足りてねえから! 筋肉、顔の凹凸、ジョークのセンス!」
クリフ  「本当だって。生まれも育ちもマサチューシェッチュシュー」
ウエスガ 「言えてねえし! それに発音完全に日本語ネイティブじゃねえか」
キル   「これ吹き替えだから。海外ドラマ」
ウエスガ 「意味わかんねえよ!」
クリフ  「信じてクダサーイ! ちょっとここ押してみて」

クリフ、自分の右乳首を指差す

ウエスガ 「え? 何? 嫌だよ」
クリフ  「いいから早く押してほら」
ウエスガ 「やめろバカ!」

ウエスガに拒否されたクリフ、タナカの方に向かう
嫌がるタナカの腕を掴んで押させようとするクリフ
軽い揉み合いの末、タナカのパンチが右乳首にヒット

クリフ  「ぐふっ……ビリーブミープリーズ。アイムネイティブアメリカン!」
ウエスガ 「思いっきりカタカナ発音じゃねえか!」

クリフ、自分で左乳首を押す

クリフ  「このように右が英語、左が日本語と副音声切り替えが可能!」
ウエスガ 「ネイティブアメリカンって先住民族のことだからね? ていうか民族問題的にナイーブな言葉だから使わないでもらえる?」
クリフ  「アメリカ人だと信じていただけたかな?」
ウエスガ 「わかったから」
クリフ  「OK〜インディアン嘘ツカナーイ」
ウエスガ 「だからやめろっつってんだろうが!」
クリフ  「HoHooo! アメリカンブラックジョーク」
タナカ  「いい加減にしてください!」

突然大声を上げるタナカ
もみ合っていたウエスガとクリフ、驚いて動きを止める

タナカ  「世界観が台無しだ! バイオハザードってのはもっとこう、ハードで、怖くて、カッコ良くなくちゃいけないんですよ! どこからゾンビが襲ってくるかとドキドキしながら進むスリルとか、急な物音に飛び上がったりする驚きとか」

キル、タナカの目の前で手を打ち鳴らしてグルグル手を回す
タナカ、ふらつきながらもキルに近づいて頭をはたく

タナカ  「そう言う事じゃない! もっとマジメにやれって言ってんだよ!」
ウエスガ 「……ごもっともだ。こいつらのペースに巻き込まれすぎた。タナカさん、改めて捜査を開始したいんだが」
クリフ  「必要ないと言っている」
ウエスガ 「ここは大使館でも米軍基地でもない。治外法権は認められんぞ。捜査にご協力願えるかな?」
クリフ  「……」

クリフ、懐にゆっくり手を入れる
ウエスガ、身構える

タナカ  「クリフさん! やめて下さい。ここは協力して事態の収拾に当たってください」
クリフ  「私はエキスパートだ」

クリフ、懐から素早く手を抜き、ウエスガに名刺を差し出す

クリフ  「よろしくお願いします」
ウエスガ 「え? ああ、お願いします」

ウエスガ、名刺を受け取り、慌てて自分の名刺も出して渡す

タナカ  「そのマジメいらないよ!」
クリフ  「ウエ、カン?」
ウエスガ 「カンじゃない、スガ。漢字の苦手具合が絶妙だな」
クリフ  「ウエス……ウェスカー!? まさか貴様? アフリカの火山に沈んだはずじゃ……
ウエスガ 「ウエスガな! もう拡げないぞ。捜査に入らせてもらう。タナカさん」
タナカ  「は、はい!」
ウエスガ 「来客者リストは?」
タナカ  「え? ああ、チケットをプレイガイドに委託してるので、店の方では特に……」
ウエスガ 「じゃあ、そこに電話してリストをファックスさせるんだ。大至急!」
タナカ  「はい!」

タナカ、受付へ
ウエスガ、客の方に向き直る

ウエスガ 「いいですか? これから皆さんに質問をしていきます。正直に答えればすぐに終わりますのでご協力を」
クリフ  「おかしな真似はするなよ? 頭ぶち抜かれたくなけりゃな」

銃を構え、次々に客に狙いを定めるクリフ
銃を下ろさせてクリフの頭をはたくウエスガ

ウエスガ 「余計な事せずに見てろ……この中で2人以上のグループで来ている方は挙手を」

ウエスガ、近くで挙手したグループ客に尋ねる

ウエスガ 「どうも、ご友人同士で? チケットは誰かがまとめて取りました? (代表でない客に)あなた、お名前は? どちらからお越しで? ありがとうございます」

客の返答をメモするウエスガ
タナカ、受付から戻ってくる

タナカ  「リスト頼んできました。10分ほどで届きます」
ウエスガ 「よし。次は厨房を調べたい」
タナカ  「あのー」
ウエスガ 「なんだ?」
タナカ  「お客様に飲み物をお出ししてもいいですか?」

クリフ、キルに合図してさりげなく厨房へ。

ウエスガ 「ダメだ。飲み物やグラスにウイルスが仕掛けられてたらどうする?」
タナカ  「あ……いや衛生管理は私がしっかりと」
ウエスガ 「タナカさん、俺から見りゃあんたも他の客と一緒なんだよ」
タナカ  「私を疑ってるんですか?」
ウエスガ 「……」

ウエスガ、手帳のページをめくり、タナカに見せる。

タナカ  「『くだらない出し物であの芸術的作品を貶める事は許さない。本当のバイオハザードを起こしてやる。そのためのウイルスは手に入れた』……これは!」
ウエスガ 「犯人はこのバイオハザードというゲームにかなりの思い入れがあるようだ」
タナカ  「狂ってる……」
ウエスガ 「さっき、あんた大声で怒鳴ったよな。世界観が台無しだ! とか、もっとまじめにやれとか」
タナカ  「それは……」
ウエスガ 「……まあここに来てる客の中にも思い入れがある人間は多いだろうさ。つまりあんただけ特別に疑ってるわけでも信用しているわけでもないってことだ」

クリフとキル、厨房からジュース飲みながら出てくる

ウエスガ 「おい! 何飲んでんだ!」
クリフ  「俺オリジナルミックス赤い薬品。コーラとジンジャーエールを7:3で」
ウエスガ 「違う! 勝手に飲むなって言ってんだよ」
キル   「おめーの店じゃねーべ!」
ウエスガ 「やっぱ邪魔だわコイツら」
タナカ  「クリフさん! 何か体に異変はありませんか?」
クリフ  「え? イヤ別に……あ、そういや最近膝の調子が悪くて」
タナカ  「ウエスガさん! 飲み物は大丈夫そうです!」
ウエスガ 「ウイルスには潜伏期間ってのがあるだろう」
タナカ  「じゃあ先に飲み物調べましょうよ!」
ウエスガ 「何でそんなにこだわる? 伏線か?」
タナカ  「違います! (小声)……売り上げです。数字出さないと次のイベントなくなるかも知れないですよ?」
ウエスガ 「そうかそりゃマズい……わかった! 飲み物を先にチェックしよう。おいドリフ!」
クリフ  「クリフだ!」

ウエスガ、クリフにメモ帳を渡す。

ウエスガ 「残りを頼む。さっきやったの見てたろ?」
クリフ  「は?」
ウエスガ 「聴き取り調査だ。掲示板の投稿からIPアドレスを割り出した。今プロバイダにログの開示要求をしているところだ。偽装されている可能性はあるが一応な。チケットの購入者リストが来たら照らし合わせ、リストに載ってない客をそいつで確認する」
クリフ  「……わかった任せろ!」
ウエスガ 「わかったフリしなくてもいい。俺のやった通りにやれ。タナカさん、行こうか」

ウエスガとタナカ、厨房へ入る。

クリフ  「さてと……」

クリフ、音を立ててドリンクを飲み干し、客に向かって話し始める

クリフ  「これから尋問を行う! 正直に答えればみんな無事に帰してやる。いいな! キル、メモを取れ……おいお前!」

クリフ、キルにメモを渡し、目の前の客に尋ねる

クリフ  「今日はどちらからお越しですかっ? お一人で? バイオハザードは好きですか? バイオハザードのどんなとこが好き? バイオハザードのキャラクターで誰が好き? ここのメニューどれが美味しそう? 緊張してる? ドリンクのご注文は? じゃ決まったらアイツに言って。etc…」

タナカ、厨房から戻ってくる

タナカ  「ドリンクのチェック終わりました! これから注文受けられますので、ご遠慮なくお申し付け下さい!」
クリフ  「じゃんじゃん頼んじゃって! むしろ頼まないヤツが犯人な!」
タナカ  「何でですか! すいません皆さん気にしないで下さい! ……余計な事言わないで調査の続きを」
クリフ  「了〜解、キャプテン」

※以降、ランダムに何人かにインタビュー

クリフ  「ようし、だいぶ情報が集まって来たな」

タナカ、キルのメモ帳を覗き込んで首を傾げる

タナカ  「クリフさん、ちょっと」
クリフ  「ん? どうしたキャプテン」
タナカ  「あの、本当にこんな聞き込みで役に立つんですか?」
クリフ  「ああ、喜べ! 店の今後の方針に有益な情報ばかりだ」
タナカ  「え?」
クリフ  「専門家に任せろと言ったろう」
タナカ  「ちょっと! 何の調査ですか?」
クリフ  「CS調査だよ。カスタマーサティスファクション、顧客満足度調査。キャプテン、飲食業やってるならこれぐらいは知っとかないとね」
タナカ  「知ってますよそんな事は! そうじゃなくて今はバイオテロ予告の犯人探しでしょ? ていうか、あなたの専門何なんですか、店舗経営?」
クリフ  「? ……あっ! そうだ、我々は対バイオテロの専門家だ!」
タナカ  「忘れてた! 完っ璧忘れてたよ今!」
クリフ  「大丈夫、大船に行った気分で観音様に祈るがいい」
タナカ  「それを言うなら『おおぶねに乗ったつもり』でしょ。何で大船に行くんですか」
クリフ  「渋谷から湘南新宿線で一本! 途中右手にでっかい観音様が見えて」
タナカ  「もういいですそんなローカル話は」
クリフ  「ローカルとは何だ! 700年くらい前は鎌倉が首都だぞ?」
タナカ  「うるさい! 帰れ! 鎌倉時代に帰れ!」

タナカ、クリフの首を絞める
ウエスガ、厨房から戻る

ウエスガ 「何を騒いでる」
タナカ  「刑事さん! もうイヤこの人」

ウエスガに縋りつくタナカ、素っ気なくあしらうウエスガ

ウエスガ 「知らないよ、お前んとこのだろ? それより今プロバイダーからIPアドレスの照合が完了したと連絡があった」

ウエスガ、手に持っていたスマートフォンをかざす

タナカ  「え?」
ウエスガ 「掲示板に書き込んだ端末の契約者が特定出来たんだよ。あんたも店にファックス届いててないか見て来てくれ」

タナカ  「は、はい!」

タナカ、受付の方へ去る

クリフ  「よくやった! もう少しで解決だな」
ウエスガ 「いやまだ確実じゃない。購入者リストに同じ人物がいればそいつが重要参考人だ」
クリフ  「参考人? 犯人じゃないのか」
ウエスガ 「IPアドレスが偽装されている可能性もあるしな。最近じゃパソコンを遠隔操作するウイルスってのもある。ネットの世界こそバイオハザードだ。手帳を見せろ」

ウエスガ、キルから手帳を受け取り目を通す

ウエスガ 「……おい、何だコレは?」
クリフ  「CS調査だ。カプコンにも報告しなきゃな。バイオハザード7の開発に役立つだろう」
ウエスガ 「ふざけんなこの野郎!」

ウエスガ、クリフの首を絞める
タナカ、ファックスの紙を持って戻ってくる

タナカ  「刑事さん! 来てました、ファックス!」
ウエスガ 「見せろ!」

ウエスガ、クリフを投げ捨てるように離し、タナカから紙を受け取って目を通す

ウエスガ 「……あったぞ!東京都調布市、仙川1丁目」

ウエスガ、スマートフォンの画面と紙を照合する
一人の男性客が立ち上がり、出口へ向かって走り出す

ウエスガ 「待て!」

男性客、導線上でふらつきながらも捕まえようとしたクリフを突き飛ばす

クリフ  「うわっ!」
ウエスガ 「どけバカ!」

クリフとぶつかって足止めされるウエスガとタナカ
クリフの後ろに控えていたキル、目の前に迫った男にビビるが、気功で転がす事に成功
クリフを投げ捨てて追いついたウエスガ、男を取り押さえる

ウエスガ 「おとなしくしろ!」
タナカ  「キルさんよくやった!」
キル   「キル! ……バレンターイン!」

得意げに見栄を切るキル
クリフ、苦しそうに這いつくばって叫ぶ

クリフ  「ゲホッゲホッ……マズい、ライフが0だ! 目の前が真っ赤に……キル! どこだ? 助けろキル!」

キル、ポケットから出した注射器を握りしめ、クリフの上半身を抱え心臓に突き刺す

クリフ  「ブハァッ!! ハァハァ……危なかった。キル、グッジョブ!」

ウエスガ、観念した様子の男を立たせる

ウエスガ 「アマミヤマサキだな?」

男、力なくうなづく

ウエスガ 「バイオテロ予告事件の参考人で署まで同行してもらおうか」
タナカ  「刑事さん!」
ウエスガ 「皆さん、ご協力ありがとうございました」
タナカ  「ちょっと待って下さい! おいウイルスはどうした? どこに仕掛けたんだ!」

タナカ、アマミヤの胸ぐらをつかんで聞き出そうとする

アマミヤ 「まだ! ……まだ何もしてません」
タナカ  「まだ? じゃあ持ってるのか今!」

アマミヤ、ポケットから薬包を取り出す

タナカ  「それが……」
アマミヤ 「これはただの下剤です。料理に混ぜようと思ってたけどタイミングが計れなくて」
ウエスガ 「たったそれだけの量で効果があると思ったのか?」
アマミヤ 「ちょっとした騒ぎになればいいって、そう思っただけで……」
タナカ  「どうして!?どうしてそんな事を?」

BGMがかかる

ウエスガ 「なんだ?」
アマミヤ 「ムシャクシャしてたんだと思います。多分……」
ウエスガ 「え? 独白シーン?」
クリフ  「火サスだ!」
キル   「月曜なのに!」
アマミヤ 「俺はバイオハザードが好きで、バイトの時間以外ずっとやってました。最近はコープ、オンラインの協力プレイにハマってて、よくつるむフレンドも増え、充実した気分でした。ある時、バイト先で気になってた女の子と休憩時間に話す機会があり、その子は友達からバイオを借りたけどなかなか先に進めず困ってると言いました。俺は思わず、手伝うよ! とちょっと大きな声を出してしまいました。それがきっかけで一緒にオンラインでプレイするようになり、バイトのシフトも合わせたりして何かこれもう俺たち付き合ってるみたいじゃね? とか一人で舞い上がってました。それだけで幸せな気分で一杯でした。あの日が来るまでは……」
ウエスガ 「それ結構続くカンジ?」
アマミヤ 「え?ああ、まだ触りの部分なんで」
ウエスガ 「じゃあ続きは警察署でいいな?」
クリフ・キル「 ええーーー?」
ウエスガ 「何だよ!聞きたいかこんな話?」
クリフ  「気になるーーー!」
ウエスガ 「どうせアレだろ、別に男がいたってオチだろ?」
アマミヤ 「うわぁああああ!」

泣き崩れるアマミヤ
歩み寄って肩を叩くキル

クリフ  「形としては火サス展開に戻ったな」
ウエスガ 「だいぶショートカットできたから良しとするか」
アマミヤ 「本当は彼女と来るはずでした。チケットも2枚取ったのに……」

立ち上がって涙を拭うアマミヤ

アマミヤ 「タナカさん、ちょっと前にあなたが言った言葉、響きましたよ。確かにバイオハザードってのはカッコ良くなくちゃいけない。オレ、カッコ悪かったっス。彼女を失ったショックで、どうかしてたんだと思います。すみませんでした」
ウエスガ 「いや、まだどうかしてる状態だと思うぞ?」

ウエスガに向き直り、両手を差し出すアマミヤ

アマミヤ 「行きましょうか刑事さん」
ウエスガ 「え? まあいいけどコレどうなるんだ? 威力業務妨害はまだ立件されてないし、傷害未遂の現行犯?」

首を傾げながら手錠を取り出し掛けようとするウエスガ

タナカ  「待って下さい!」

タナカ、アマミヤに歩み寄る

タナカ  「刑事さん、手錠をかけるのはあと少し待って頂けませんか?」
ウエスガ 「なに!? まだなんかあんの?」
タナカ  「あなたのしようとした事は許せません。しかし同じバイオハザードファンとして気持ちは伝わりました。最後にアレ、撃ってって下さい」

タナカ、タイラントを指差す
*タイラント起動

タナカ  「あれはあなたの心! 恨みや妬みというウイルスに冒されたあなたの弱い心です。このままではあなたの心は死んでしまい、生ける屍、ゾンビになってしまいます……。撃ち砕いて下さい! そしたら罪を償い、きっとあなたは人間としてやり直せる!」

タナカ、拳銃をアマミヤに渡し、タイラントの前まで導く

アマミヤ 「うおおおおおおお!!!」

アマミヤ、拳銃を握りしめて体を震わせ、雄叫びをあげながらタイラントを撃つ
最後の一撃というところでクリフ、後ろからタイラントを撃つ

クリフ  「崖っぷちの大ピンチ! 頼れる正義の赤い盾! クリフ・レッドシールド!」
アマミヤ 「あああああーーー!」

アマミヤ、崩れ落ちる

タナカ  「クリフさん! 何て事すんですか!」
クリフ  「復讐だ。さっきあいつに突き飛ばされてライフ0になったから」
タナカ  「最低だ! アンタ最低だよ!」

もみあうタナカとクリフ

ウエスガ 「行こうかアマミヤ」

ウエスガ、アマミヤを立たせ、手錠を掛ける

ウエスガ 「じゃ皆さんお騒がせして申し訳ありませんでした!ごゆっくりお食事などお楽しみ下さい」

ウエスガ、アマミヤを連れて出て行く
見送るタナカたち

クリフ  「こうして我々は見事バイオハザードの阻止に成功した!」
タナカ  「あなた基本的に邪魔しかしてませんよね?」
クリフ  「この世界は命をかけて守る価値があるのだろうか……」

タナカ、クリフをはたく

タナカ  「皆様! ご協力ありがとうございました! あらためてお料理をこちらにお出し……あれ? これ刑事さんのコート?」

タナカ、テーブルの上のコートを取る

タナカ  「キルさん、ちょっとこれ渡して来て。まだエレベーターあたりにいるかもしれないから」

キル、渋々コートを受け取って出て行く

タナカ  「すみません。あらためてこちらにお料理をお出し致しますので、お時間となります●時〇〇分まで、どうぞお楽しみ下さいませ」

タナカ、深く一礼
クリフ、その隣で銃を構えてポーズを決める

クリフ  「バイオハザードクロスナイト! ミッションクリアー! 命中率90%死亡回数0クリアタイム17分撃退数48トータルランク……S!」

音楽が大音量でかかる
タナカとクリフ、軽く小突きあいながら厨房へ
料理が出される
音楽フェードアウトし、通常状態へ

キル、ウエスガのコートを羽織って戻って来る
タナカ、キルを見つけて話す
キル、見つからなかった風なジェスチャー
タナカ、キルからコートを脱がそうとする
拒んで厨房へ逃げるキル

#2  X(クロス)ナイト ライジング

タナカ、時間を見計らって客に声をかける

タナカ  「皆様、お食事はお楽しみ頂けましたでしょうか?間もなくお時間となります。大変恐縮ではございますがお帰りの準備を」

クリフ、厨房から酒を飲んで酔っぱらって出てくる

クリフ  「みなさーん! 楽しんでますかーーー?」
タナカ  「ちょっとクリフさん! もうおしまいですから! 中に引っ込んでて下さい!」

突然厨房から女性の叫び声がする
厨房からAngeliqueが飛び出してきてクリフに抱きつく
キル、その後に続いて厨房から飛び出し、タナカに抱きつく

クリフ  「どうした? 何があった?」
女性隊員 「シェフが! シェフが突然襲いかかって来たんです! うなり声をあげて!」
クリフ  「なんだって? まさか!」

クリフ、厨房へ駆け込む。

タナカ  「ちょっと! キルさん離して! ……皆様、たびたびお騒がせしてまことに申し訳ございません! 状況を確認致しますのでいましばらくお待ち下さい!」

厨房からクリフの怒鳴り声や争う物音が聞こえ、最後にバタンという音がして静かになる
クリフ、息を切らせながら厨房から出てくる

タナカ  「クリフさん! シェフは?」
クリフ  「冷蔵室に閉じ込めた。くそっ! なんてこった……」
タナカ  「一体何が?」
クリフ  「シェフは感染している」
タナカ  「感染? え?」
クリフ  「Tウイルスだ! ゾンビ化してるって言ってんだよ!」
タナカ  「そんなバカな!」
クリフ  「俺はこれまで何度も見てるんだ。間違いない」
タナカ  「でもテロ予告の犯人は未遂のまま捕まって……しかもばらまこうとしたのはウイルスじゃなくただの下剤だったじゃないですか!」
クリフ  「知るか! それより問題は他にも感染者がいるかも知れない。いやもしかしたらここにいる全員が既に……」
タナカ  「どういうことですか!?」
クリフ  「わからないのか? そこの料理を作ったのは誰だ?」
タナカ  「……まさか!」
クリフ  「可能性の話だ」
タナカ  「大変だ!刑事さんに連絡を……」

タナカ、受付へ向かおうとすると、入口からアマミヤが一人で入ってくる

タナカ  「あんた! アマミヤ!?」
クリフ  「動くな止まれ!」

クリフ、銃を構えてアマミヤを制する

クリフ  「そのままゆっくりこっちまで来い! そうそう、そこに両手をつけ!」

アマミヤ、ビュッフェテーブルに手をつく

クリフ  「よしキル! ボディチェックだ」
タナカ  「あんた逃げてきたのか?」
アマミヤ 「違う!」
タナカ  「じゃ何で一人でここに?刑事さんは?」
アマミヤ 「いや、俺も訳がわからなくって……エレベーターに乗って降りる途中、急にハンカチで口を塞がれて気を失ったみたいです。気付いたら非常階段の踊り場に転がされてて……」
クリフ  「一杯食わされたな」
タナカ  「え?」
クリフ  「ウエスガ、ヤツは刑事じゃない」
タナカ  「でも警察手帳を……クリフさんだって名刺交換してたじゃないですか」
クリフ  「偽造だろう。警察に問い合わせればはっきりする……おい、携帯貸せ!」

クリフ、名刺を取り出して連絡先を確認する

タナカ  「持ってません。勤務中はロッカーです。受付に固定電話が」
クリフ  「いや、問い合わせるまでもないか。この名刺、連絡先を見てみろ」

クリフ、名刺をタナカに見せる

タナカ  「携帯電話? ……090−8732−○□△×……くそっ! ふざけやがって!」
クリフ「あいつがシェフの作っていた料理にウイルスを入れたんだ……おそらく厨房を調べに行った時だろう」
タナカ  「確かドリンクを調べ終わり、あとは自分で調べるから注文を取りに行けと言って、私をフロアーへ追い出しました……あの時か!」

キル、アマミヤのポケットにねじ込まれていた紙を見つけ、アマミヤと2人で見ながら首をひねっている

クリフ  「おいお前ら、何してる!」

キル、クリフに紙を渡す

クリフ  「なんだこれ?」
アマミヤ 「ポケットに入ってたんです。でも俺はこんなもの知りません!」

クリフ、紙に書かれた文章を読む

クリフ  「ワクチンの場所は電話で教えよう。番号は彼らが知っている。汗っかきに踏まれる背中。PS ボタンをしっかりはめること……」
タナカ  「どういう意味だ?」
アマミヤ  「多分なぞなぞじゃないかと」

クリフ、客に向かって声を上げる

クリフ よーしお前らの中に汗っかきのヤツ、そいつに踏まれたいドMのヤツ、それと! シャツのボタンを上まで止めてないヤツ! おとなしく出て来い!」
タナカ  「ちょっとちょっと! そんな短絡的な答えじゃないでしょう? もっとちゃんとした答えがあるはずだ!」
クリフ  「どんな?」
タナカ  「それを考えるんです! キルさん、これコピーとって来て。20枚くらい」

タナカ、キルに紙を渡し、受付にコピーを取りに行かせる。

クリフ  「おい、時間がないぞ? 早くしないと全員発症してしまうかもしれない。そうなったらいくら俺でも手に負えるかどうかわからん」
アマミヤ 「あの……一体何が起こってるのかさっぱりわからないんですが」
クリフ  「本物のバイオテロだ! あのウエスガってやつがウイルスをバラまいて行きやがったんだよ!」
アマミヤ 「ええっ!?」
タナカ  「シェフが感染してゾンビに」
アマミヤ 「そんな、まさか!」
クリフ  「いやまだだ。運良く初期段階で冷蔵室に閉じ込めた。低温で症状の進行が遅れるはずだから助かる見込みはある」
タナカ  「本当ですか? 良かった」
クリフ  「良くないぞ! シェフは料理の味見で感染した。そのあと料理が表に並ぶまで10分もなかったはずだ。それを食べた人間が発症するのは時間の問題だ。一刻も早くワクチンを投与しなければ手遅れになる」

キル、コピーした紙を持って戻ってくる

タナカ  「それ、お客様のテーブルに配って! 手分けして、ほら早く!」

全員で手分けして各テーブルに1枚づつ配布する

タナカ  「お客様! 大変申し訳ありませんが非常事態です。皆さんも一緒に考えて下さい! 我々全員の、いや世界の運命がかかってると言っても過言ではないかも知れない……」

タナカ、客に向かって頭を下げる
クリフ、再度紙に書かれた内容を読み上げる

クリフ  「『ワクチンの場所は電話で教えよう。番号は彼らが知っている。汗っかきに踏まれる背中。PSボタンをしっかりはめること』お前ら、何か気付いたら手を挙げろ!」

しばし考察タイム
以降、徐々にヒント的な読み解きをしていく

タナカ  「前半部分で気になるのはここ、『番号は彼らが知っている』。彼らということはつまり答えは複数に分かれているということでしょうね」
クリフ  「だから汗っかきと、そいつに踏まれるやつと、ボタンはめてないやつだって! みんな周りに汗かいてるヤツはいないかよく見ろ!」

キル、クリフを指差す

クリフ  「俺はいいんだよ!」

アマミヤ、しれっと元いた席に座り、ドリンクを飲んでいる

アマミヤ 「でも今は冬だし、汗なんかそんなにかかないでしょう」
クリフ  「飲んどる場合かーーーッ!」

アマミヤ、グラスを見つめて呟く

アマミヤ 「あ! ……いました、汗っかき」
クリフ  「なに? どこだ」
アマミヤ 「これ」

アマミヤ、立ち上がってグラスを掲げる

クリフ  「それは?」 
タナカ  「そうか! 確かにグラスの結露も汗だ。てことは?」
アマミヤ 「グラスに踏まれる背中、つまり……」

アマミヤ、コースターをつかんで掲げる

アマミヤ 「これの事じゃないですか?」
タナカ  「コースター!?」
クリフ  「そいつに何か仕掛けが?」

アマミヤ、コースターの裏を見て数字を発見する

アマミヤ 「あっ! これ裏に数字が書かれてます、数字の4」
クリフ  「見せろ!」

クリフ、アマミヤの手からコースターを取る

タナカ  「いつの間にこんな……みなさん! コースターの裏をチェックしてみて下さい!」

全員コースターをチェック
数字のかかれたコースターを確認し、番号をメモするタナカ
アマミヤ含めて4つの数字が揃う

タナカ  「1、4、6、9、全部で4つか……」
クリフ  「電話番号には全然足りないぞ? おい、まだ隠してるヤツいるだろう? 早く出せ!」
タナカ  「クリフさん、この期に及んでそんな人はいませんよ」
クリフ  「じゃあ足りない数字はどこだ?」
タナカ  「まだ全部の謎が解けていない……もうすこし考えましょう」

再び考察タイム
以降、徐々にヒント的な読み解きをしていく

タナカ  「残されてる謎はこれです。『ボタンをしっかりはめること』」
クリフ  「PSってのがその頭についてるぞ?」
タナカ  「これは追伸って意味でしょう」
アマミヤ 「え? プレイステーションじゃないんだ」
キル   「ゲーム脳が!」
タナカ  「いや待って! ……もう一度数字のかかれたコースターを掲げて見せて下さい」

タナカ、クリフ、キル、コースターをチェックしに行く

タナカ  「それぞれ数字のインクの色が違う。あと書かれてる位置も……クリフさん! そっちの数字、何番で何色ですか?」
クリフ  「6番で赤」
タナカ  「数字の書かれてる位置は?」
クリフ  「右寄りだな」
タナカ  「キルさん?」
キル   「1番、緑、上」

タナカ、戻ってアマミヤの持つコースターをチェック

タナカ  「4番、青、下……アマミヤさん、この配色に見覚えありませんか?」

タナカ、アマミヤにメモを見せる

アマミヤ  「これ、プレステのコントローラボタンですね。ちょっとペン借りていいですか? えっと、上が△で、右が○、下が×で、左が□……と。こんなカンジです」

アマミヤ、メモをタナカに返す

タナカ  「クリフさん! さっきの名刺!」
クリフ  「え?」
タナカ  「ウエスガの名刺です、早く!」
クリフ  「あ、ああ」

クリフ、名刺を取り出してタナカに渡す
タナカ、メモと名刺を照らし合わせる

タナカ  「これだ!090−8732−○□△×! ここにさっきの数字をはめ込むんですよ」
クリフ  「よし! 読み上げろ!」

クリフ、携帯電話を取り出す

タナカ  「090、8732、6、9、1、4!」

キーを操作し、携帯電話を耳に当てるクリフ
数コールの後に繋がる

クリフ  「ウエスガだな? ……そうだ俺だ。崖っぷちの大ピンチ、頼れる正義の赤い盾のクリフ・レッドシールド様だ。よくもまあこんなふざけた真似を」

タナカ、クリフから携帯電話を奪う

タナカ  「おい! ワクチンはどこだ! どこにある?」
クリフ  「返せよ俺の電話だぞ?」

クリフ、タナカの手から電話を取ろうとする
タナカ、ワクチンの場所を聞き出すと、電話をクリフに返し、厨房へ駆け込む

クリフ  「もしもし? そうだ俺だ。崖ピン頼盾のクリフだ……ウエスガ、お前一体何者だ? ……おい! 待てまだ話は!」

クリフ、もう一度電話をかける

クリフ  「くそっ! 電源切ったな?」

タナカ、キャンディの入った袋を持って出てくる

タナカ  「クリフさんこれ!」
クリフ  「あったか? ワクチン……え? それ?」
タナカ  「ウエスガが言った場所にはこれしか……ヤツは?」
クリフ  「今回のはご挨拶替わりだそうだ。今度はもっと楽しいゲームをしよう。そういって電話を切った」
タナカ  「え? それじゃあ……」
クリフ  「まだ終わったわけじゃなさそうだぞ?」

クリフ、キャンディをひとつ取り出して口に入れる

タナカ  「そんな!」
クリフ  「まあとりあえず今日のところはこいつを配って解散だな。あとはこのキャンディをどうやってシェフに食わせるか……キル!」

キル、イヤそうな顔

クリフ  「露骨にイヤそうな顔するな! 来い! アマミヤ、お前も手伝え!」

クリフ、キルを引きずって厨房へ

アマミヤ 「あの……俺はどうなるんでしょう?」
タナカ  「はい?」
アマミヤ 「逮捕されたと思ったら偽物だったみたいだし、自首した方がいいんでしょうか?」
タナカ  「……逮捕? 何の話かよくわかりませんね」
アマミヤ 「え?」
タナカ  「あなたは皆さんと一緒にこのバイオテロ事件の解決に力を尽くしてくれました。ご協力感謝します。良かったらここで働きませんか?」
アマミヤ 「でも!」
タナカ  「あなたのようなバイオハザード好きなら歓迎です。店長には私から話を通しますよ」
アマミヤ 「……はい! ぜひ宜しくお願いします!」
タナカ  「じゃあすいませんがクリフさんを手伝って来てもらえますか?

アマミヤ 「ラジャー! キャプテン!」

アマミヤ、厨房へ

タナカ  「皆さん! 色々と本当に申し訳ありませんでした! そしてこれでお時間となってしまいましたので、お帰りの支度がお済みの方から出口の方へお進み下さい。そちらで我々がワクチン入りのキャンディをお配りします。発症する前に必ず摂取して下さいね。ありがとうございました!」

タナカ、深く一礼
音楽が鳴る

 END

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