歴史学の面白さについて(ダーントン『猫の大虐殺』を題材に)②:『猫の大虐殺』って歴史学の本なの?
歴史学の面白さを紹介する題材として、ダーントンの『猫の大虐殺』を選びました。
面白さの内容に移る前に、この本を簡単に紹介したいと思います。
著者は、アメリカの歴史学者であるロバート・ダーントンです。
現在は、ハーバード大学の名誉教授で、18世紀フランスにおける啓蒙主義を専門としています。
ダーントンは、文化史や書物の歴史について数多くの著作を出版しています。そんななか、『猫の大虐殺』は、彼の代表作です。
原著は1984年に出版され、今回は、2007年に出版された岩波現代文庫版を使います。
『猫の大虐殺』は、序文と4つの章で構成されています。
第1章は、「農民は民話をとおして告げ口をする:マザー・グースの意味」といって、18世紀ヨーロッパにおけるおとぎ話の分析から農民たちの世界観に迫ります。
第2章は、書名にもなっている18世紀パリの印刷工の猫の大虐殺について考察した「労働者の叛乱:サン・セヴラン街の猫の大虐殺」です。
第3章は、「作家の身上書類を整理する一警部:フランス文壇の分析」で、18世紀フランスの作家たち(有名なヴォルテールやディドロから無名の作家まで)について、当時の警察が残した批評を見ていきます。
第4章の「読者がルソーに応える:ロマンティックな多様性の形成」では、ルソーの著作への読者の反応から読書の歴史について考えています。
歴史上の重大事件や偉人たちを扱っているわけではありませんが、この本には、歴史学の面白さが詰まっています。
それでは、見ていきましょう!
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