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鶯谷所印|ラブホテルのスタンプを押したのは初めてだ

この夏開催された東京ビエンナーレ 2020/2021、この一連のプロジェクトの中に鶯谷ベルエポック主催「鶯谷所印」という鶯谷を巡るスタンプラリー形式の企画があった。
私はただ「スタンプが押せる」という情報だけで(ただのスタンプ好きなので)何となくこのイベントに参加したのだけど、この鶯谷所印という企画がとても良かったのでぜひ紹介したい。

なんと、ラブホテルもスタンプ設置場所に組み込まれていたのだ。

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しかもこのスタンプのデザインがとても素敵じゃないか。かわいいんだけど、かわいいだけじゃなくて妖しさも秘めている。

山手線沿線の鶯谷という場所を訪れたことがある方ならご存知かと思うけど、鶯谷にはラブホテル密集地帯がある。あんなに密集していてそれぞれ営業が成り立っているのだろうかと心配になるくらい密集している。

こういう、地域を紹介し、巡ってもらうためのスタンプラリーで、ラブホテルを「ないもの」ではなく「あるもの」として取り扱っているのが珍しい、というか私としては初めて見たので驚いた。そうだな、ラブホテルって別に存在を隠すべきもんでもない。
街に風を通している。何でもかんでも風通しをよくすればいいってもんでもないのだろうけど、これはいい風だろうと思った。

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ちなみにスタンプはこのように「ホテル内」ではなく「ホテル前」に設置されていて、ホテルを利用しなくても押すことができた。

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ラブホテルスタンプは1つではない。さすがラブホテル街!
こちらはホテル名も入っている。しかもおっぱいのイラスト。かわいい。

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3つめもかわいい。
ラブホテル街を1人でぐるぐる歩いている間、巡回中の2人組の警察官と何度か遭遇した。こんなに警察官の視線を感じるスタンプラリーは初めてだ。(警察としてもこの地区でのこんなイベントは初めてだっただろう)

ちなみにこの HOTEL YAYAYA 貳番館のオーナーさんが鶯谷所印の公式サイトでインタビューに答えていらっしゃって、

はじめて駅に降りると、どうしてもラブホテルが目立ってしまいますが、30〜40年前頃にはそれらのほとんどが旅館だったんですよ。時代の流れの中でラブホテルという商売が人気になり、次第に増えていったという経緯があります。そういった背景だからか、同じ商売なのに喧嘩することもなくオーナー同士の仲は良いです。

とのことだった。なるほど。こういう背景を知れるのもいい。

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時系列が前後するけど、スタンプラリー出発地点であり、専用の「所印帳」を配布していたランダバウト東京は一般のホテルなのである。これは中に入って押させてもらった。

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インクで少し汚れてしまったけど、これが今回のスタンプ収集専用の所印帳。てのひらサイズで蛇腹式のノートになっている。期間中、無料で配布していた。(前出のラブホテルと一緒に写っているメモ帳はこれではなく、私が持参したもの)

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ラブホテル以外のスタンプもとても良くて、これはランダバウト東京の1階にあるランダバウトテーブルというカフェのスタンプ。

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そしてこれはレストランQという小さな個人経営らしきお店のスタンプ。

他にも銭湯などもスタンプ設置場所になっていて、この日は押せずに後日お風呂に入りがてら、と思っていたけど、残念ながら押せずに終わってしまった。

駅の乗降者数はワーストの常連。
人気度や好感度も思わしくありません。
でも、実際に訪れてみると感触は違います。
駅前のラブホテル街はほんの序の口。
路地に現れる古い建築や、文化人の残した足跡、
オーナーの個性が爆発するお店の数々……。
本当にたくさんのカルチャーが混在していて、
歩けば歩くほど、新たな発見に出会えます。

(鶯谷所印 公式サイトより)

最初は、ちょっと攻めたスタンプラリーだな、と思ったけど、鶯谷という街を宣伝するのに当たり前のように組み込まれたパーツのひとつひとつを見てみると大きな「鶯谷愛」を感じずにはいられない。「山手線のあまり降りたことない駅」からこうやって「誰かが愛する街」へと解像度が上がる。

良い体験でした。
またぜひやってください。(押せなかったスタンプもいつかまたの機会に押せますように!)

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