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ここに居ることの難しさと『ギャルと恐竜』と

話題の「Clubhouse」盛り上がっていますね。最近の私はClubhouseで読経を聞くことにハマっています。

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落ち着くのでオススメです。

「Clubhouse」が登場した時は、なんだか心がザワザワしました。Twitterでフォローしていた人たちがみんな始めていって、招待されるまでは「取り残されている感」を感じてしまいました。これが最近よく聞く”FOMO”(Fear Of Missing Out:取り残される恐怖)ってやつでしょうか?

SNSもなんだか大変です。たくさんの人と繋がっているはずなのに、どこか不安で孤独。面白いけれど、何かに追い立てられている気がしちゃいます。

そんなことを感じている時に、とある方からこちらの本をオススメいただきました。

臨床心理士がデイケア施設で働くなかで、「ただいること」の重要性を見いだしていくエッセイ風の学術書です。

『居るのはつらいよ』ってどんな本?

大学院で臨床心理学を研究した東畑さんは、沖縄の精神科デイケア施設で働くことになります。赴任前は「セラピーを通して患者をどんどん治療していくぞ!」とやる気に満ちていたのですが、実際の現場で求められたのはただ、いることでした。

施設を利用する人々が、テレビを見たり、新聞を読んだりしているのを見守ることがその施設の最大の役割でした。社会に居場所を見つけられない人々がこの施設で居場所を見つけられるように、ただ見守ります。

積極的に治療できないことに東畑さんは悶々としますが、次第に「ただ、いること」の大事さに思いを巡らせるようになります。

仕事の本質は「ただ、いる、だけ」にこそあった。(中略)メンバーさんが「ただ、いる、だけ」のために、僕も「ただ、いる、だけ」。それこそが僕の仕事だった。(引用:本書p316)

施設の利用者が、施設に「いる」ことができるようになるために、臨床心理士も近くに「いる」。施設でのエピソードをふんだんに紹介しながら、そのことに気付くまでを描いています。

「ただ、いる」って難しい

SNSにどっぷりつかった生活を送っていると、「自分の価値はなんだ?」と常に問われ続けている気がして、焦るときがあります。

何もしていない時間が無価値に感じられてきて、「ただ、いる」ことが私自身も難しくなっている気がします。その一方で、疲れた時には「ただ、いる」だけの時間がすごく必要な気もする。

そんなことを考えている時に、頭に浮かんできたのが『ギャルと恐竜』でした。

「いる」ことを大事にする『ギャルと恐竜』

『ギャルと恐竜』は、何かを「する」物語というよりも、「いる」物語のように思います。

ギャルがいて、恐竜がいる。「いる」ことが尊重された世界の中で、二人の日常が描かれます。

「ただ、いるだけ」っていうのは本来退屈なのですが、この作品にはユーモアと優しさとちょっとした驚きが付け加えられていて、ずっと読み続けたいと思える心地いい空気が流れています。

「ただ、いる」ことが受け入れられた空気感って、こんな感じなのかもしれないなぁと、私は思いました。なんだか心が安らぎます。

疲れたときには『ギャルと恐竜』を。

個人のフォロワーが数値化された現代社会は、刺激があるし、自己実現がしやすいしで面白いです。ただ、たまに疲れちゃうときもあります。

『ギャルと恐竜』はそんな私たちに「まぁとりあえず、今はここでゆっくりしてこうよ」と笑いかけて、読者の心をふわっと軽くしてくれます。

今の社会に居心地の悪さを感じたときは、『ギャルと恐竜』を読んでみてはいかがでしょうか?「ただ、いる」ことができるヒントが見つかるかもしれません。


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